見出し画像

初めまして

突然文章を書きたくなり、noteを思い出したのですぐに登録し、メールでの認証に成功し、2リットルのペットボトルから水をがぶ飲みしてから書き始めている。特に多勢伝えたいことなどはなく、日記のようなものと考えて頂ければと思う。なぜ文章を書きたくなったかというと、ラジオを聴いていたら、文章を書くことについての話題をしていたからだ。

私の職業は、自動販売機を補充する人だ。
雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにも何たらかんたらといった感じで毎日自動販売機と向かい合う日々を過ごしている。
一応、名前を言えば一度は必ず聞いたことのあるような会社だ。
離島などに住んでいる訳でもなければ一度は、自動販売機を補充しているところを見たことがあるはずで、自動販売機の中はこんな風になっているのかと3秒もすれば忘れてしまうくらいの薄い記憶になったことがあるはずだ。

今回は自動販売機を補充する人に関しては全く関係のないお話を、少し、

先週、ようやくコロナウイルスのワクチンの1回目の接種を受けた。予約の電話をすると、家の近くの病院を教えてくれたのだが、車で15分かかるところだった。近い遠いの感覚は人それぞれか、友達としたら感覚違い過ぎて一線を引くな、正確に住所を伝えていない自分が悪いのか、とか色々な考えをめぐらせ、結局は、遠いなという一言をつぶやいて接種日の朝家を出た。
初めていく病院、なるべく病院には頼りたくないと頑固に生きてきたので、病院という存在はあまり得意ではない。病院好きという人にも出会ったことないが、きっともっと老いたらそんなことを思ってしまうのかもしれないと考えてなんだか萎えてしまう。
病院につき接種券を渡す、受付の女性に「そちらで体温を測ってください」と言われた目線で促された先には、小さなタブレット程の大きさの画面に顔を近づけて体温を測るタイプの体温計があった。
もちろん顔を近づけるのだが、何回ニワトリのように体を動かしても反応されない。横を見ると、大学生くらいの女性とそのお母さんといった感じの女性が受付をしようと待っていた。マスクがあるご時世でよかったなと脇汗をかきながら、ニワトリを続ける、反応しない。見かねた受付の女性が「こちらで測りましょうか」とマスクとアクリル板越しでもしっかり認識できる苦笑いを浮かべながら、野球のスピードガンタイプの体温計で測ってくれた。最初からそれでやれよ、と少しイラッとしながらもこちらも満面の苦笑いで前髪をかき上げた。
受付を済まし近くのソファーに座る。ボーッと壁に貼ってあるポスターを興味もなく眺めていると予約時間を15分ほど過ぎた頃、名前が呼ばれた。
案内された部屋で予診を受け、こちらでお待ちくださいと連れられた場所には4畳程のスペースにパイプ椅子が5つ、優しそうな感じの坊主頭のおじさん、きっと主婦な人、そして受付で私がニワトリしていたのを見ていたであろう女性2人が座っていた。気まずさと恥ずかしさと再度汗ばんだ気持ち悪さを我慢し、座って待つ。ここからまた予診を受けたところにそれぞれが呼ばれていくのかな、それなら予診後すぐに注射を打った方が効率良くないか、さっきの先生裸足でローファー履いてたな顔に似合わず、とかまた頭でどうでもいいことを考えていたらその先生が私たち座るスペースに「はい、お待たせしました。今から1人ずつ打って行きますからねー」と白衣をたなびかせ、アシスタントらしき女性を連れ入ってきた。
え、ここでみんなで集団接種?と衝撃を受けていると、きっと主婦な人の接種が終わり、おじさん、きっと母と子が打ち終わり、私の番もすぐに終わった。注射としての痛みが無さ過ぎて、終わったかもわからないまま先生は去っていった。アシスタントらしき女性から「こちらで15分程お待ちください」と言われ、ここで沈黙のまま15分も待つのか、受付近くのソファーではダメなのかと思ったが、4人とも黙って待つことを始めていたので、同じようにして待つことにした。15分も何もせず待つことなんて今まであったかな、どうでもいいか、寝たふりをする。15分の座ったままの寝たふりは肩と首に大きなダメージを与えるということだけを学びにし、その後副反応についての説明をなぜか個別に受け、1回目の接種は終了した。2回目も同じ病院で予約しているので、またここにきて少し不思議なワクチン接種するのかとネガティブになりながら、外に出ようと入り口の自動ドアに向かう。きっと自動ドアが開くであろうタイミングとスピードを考えながら、一瞬足を停める。開かなかった。頭をぶつけるとようやく自動ドアが動いた。
外に出た後、肩をぶつけられた後の誰もが描くあの肩ぶつけたくない人のように、首を後ろに振ると、そこには大学生くらいの女性とそのお母さんらしき女性が私の後に続くように帰ろうとしていた。
一瞬だけマスクと透明の自動ドア越しでもしっかりと認識できるくらい満面の苦笑いを浮かべ、すぐに前を向き車へ向かった。
こんな日って、とことんこんな日だよなとマスクの中で唇だけ動かした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?