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【後編】自分のルーツとこれから 〜一人のデザイナーとして〜【新卒2年目】

BYTHREEの新卒2年目デザイナーによるnote、後編です。前編はこちら

デザイナーを志したきっかけ

前編の最後に少しお話したように、私は絵を描くことが好きです。小学校の卒業文集には「将来の夢:イラストレーター」と書いたほど。それともう一つ、字を書くことも同じくらい好きでした。そのことを知った母親が、フォントデザイナーという職業を教えてくれました。その頃ちょうど中学校の美術でレタリングの授業を受けていたこともあり、文字をデザイン(=設計)することへの興味関心が一気に高まりました。

そこから街の広告や看板に注目し文字を意識する生活が始まり、それは自然とグラフィックデザインに触れる機会となりました。その中で、広告の大半は絵(写真含む)と文字で構成されていることに気付きました。そこには自分の好きなこと・やってみたいことが詰まっており、「これだ」と思いました。

このような経緯で、高校生あたりからグラフィックデザイナーを志すように。美大入学後は特に文字のデザインに熱を注ぎ、自主制作の一環で作字をしたり、卒業制作では文字をテーマにした作品づくりに取り組みました。

ことばにふれる(2020)
テキストデータが膨大に溢れる世の中。伝えたいことを素直に伝えることが困難な現代。 文字をただ目で追うだけで言葉は咀嚼できるのか、という疑問を抱いたことをきっかけに、人と文字の距離を近づけ直接的に触れることで、言葉の意味を補完できる作品を制作しました。

また、頑張って貯めたバイト代でモリサワとフォントワークスの書体をまとめ買いした時の幸福感は最高でした(もうすぐライセンスが切れてしまうので悲しいです)。


大学時代から活かせていること|今でも大事なルーティン

私は課題に取り組む前、クロッキー帳に自分の考えやイメージを書き出し、頭の中を可視化することを習慣づけていました。大学での課題はテーマとコンセプトどちらも自分で考えることが多かったので、その軸がブレないよう、デザインよりも思考に重きを置いて取り組んでいたためです。先述したように私は字を書くことが好きなので、正直はじめは「考えを書き出す」というより「紙を字で綺麗に埋め尽くす」ことを目的としていました(笑)。

大学2年生後期から卒業するまで、ずっとこの一冊でした。
卒制のテーマ決めに関するメモ。
美しくない殴り書きのメモは、 家に帰ってから必ず書き直していました。

何気なく始めたことが元より大事な意味を持ち自分のためになる行為になったので、今もデザインを始める前にはメモ程度に簡単なイメージを書き出し、考えを整理するよう意識しています。


入社一年を振り返って|あっという間の一年だったけど…

私は今年入社2年目として働いていますが、3つの観点から昨年の1年間を振り返ってみたいと思います。


■身についた力:ラフを描くスピードの向上

前編でも話題にしましたが、イラストをデザインの一部とする考え方が身についたおかげで、どういう構成にすればよいかの判断が速くなりました。あとは単純にラフを描く機会が多かったので、量をこなしていくうちに手が速くなりました。これは画力が向上したからではなく、力の抜き方を覚えたからです。あくまでラフなので、どういったデザインになるかの雰囲気が伝わらなければ意味がありません。描き込む箇所はしっかり描いて、不要な箇所は力を抜いて描くと強弱がついてイメージしやすいラフになります。

自分が得意ではなかったタッチの絵も描けるようになり、表現の幅も広がったように感じます。

■考え方の変化:丁寧に時間をかける=よいものができる とは限らない

この考え方は、デザインにおいてとても大切だと思っています。もちろん、時間をかけて作るといいものができることが多いです。私も以前は「時間をかければかけた分だけクオリティも上がる」と絶対に信じてやみませんでした。
しかし、少ない時間の中で肩の力を抜いて作ったものの方が案外よい評価を受ける場合もあります。制作時間とクオリティは必ずしも比例の関係ではありませんし、ビジネスとしてはより効率よくクオリティを高める方が重要です。

どのような取り組み方が正しいかはその時々や人によりますが、私はこの考え方が身について時間への執着が少なくなりました。必要以上にデザインに時間を割くことがなくなり、他のタスクとの作業配分も考えやすくなりました。


大変だったこと:揺るがない存在「締切」

仕事でデザインをする以上、先にはクライアント(お客様)がいます。仕事相手はデザインではなく人なので、終盤で大きな修正が入ったり当初予定になかったことを要望されたり、急な方向転換がある場合もあります。クライアントワークは締切りが絶対。場合によっては遅い時間まで作業が続くこともあり、理解できますがそれでも少しモヤモヤしたり……(自分がまだ未熟で、ただスピードが遅いせいでもあるのですが)。そんな時は、大学時代お世話になった先生の「怒りはパワーに変えて楽しく仕事しなきゃ」という言葉を頭に思い浮かべます。

デザイナーというとキラキラしたイメージを抱いている人もいると思います。会社にもよりますが、そのイメージとは離れた大変なことも多いので、デザイナー志望の人は少し心構えが必要かもかもしれません。ですが、頑張った分最終的には良いものに仕上がり達成感もあります。大体は報われるので安心してください。


今後の展望1|一人のデザイナーとして

2年目に入ってから任される仕事も増え、先輩デザイナーのアシスタント業務ではなく自分が主体となってデザインをする機会もさらに増えました。その中で、一つでも多く「これ、実は私がやったんだ」と胸を張って言えるものを作っていきたいと思います。

なぜかというと、お世話になった親や友人の目に届く範囲で、自分のデザインで何か貢献・還元したいと考えているからです(私が関西で就職した理由の一つでもあります)。

そのような一人前のデザイナーになるためには、先述した通り、時間に執着するのではなくクオリティに執着すべきだと考えます。単純にデザインという作業に対して時間をかけるのではなく、デザインの中で時間をかけるところ・かけないところを考えながら手を動かすことが大切だと思っているので、今は現在進行形でその力を養っているところです。

最終的には、BYTHREEのデザイナーという認知を超え、一人のデザイナーとして認知されるようになりたいなと思っています。


今後の展望2|将来は地元に帰って…

何年先になるかは分かりませんが、将来は地元に戻って地域のデザインに関わりたいと考えています。最近では地元を盛り上げようとする企画やイベント、広報活動は増え始めている反面、まだ人目につかず残されている課題もあると思うので、それを解決できるよう何か力になりたいと思っています。

また単純に地元が好きというのも理由の一つで、好きな土地に対して自分のデザインで何か貢献できればいいなと考えています。そのためにはデザインスキルだけでなく思考力も必要になってくるので、今のうちに少しずつ力をつけていきたいなと思っています。

私の地元・福知山。
思い出の場所の一つである、高校の通学路から撮った夕焼け。


まとめ

前編ではバイスリーでのデザイナーの仕事についてお話しましたが、後編では私という一人の人間に焦点を当ててお話してみました。少しでもデザイナー志望の方や進路に迷っている学生の参考になればいいなと思います。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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