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雑談:trf『preset sound』にはちゃんとしたトラックリストが存在する

bxjp

1990年代に一世風靡したダンスミュージックユニットtrfが、1994-10-21にリリースした2枚組CD『preset sound』(AVCD-11260~1)のことは、J-POPリスナーなら世界中の誰よりも忘れられない存在として胸に刻まれていると思います。今回はこのCDをおさらいしながら聴いていきましょう。元ネタ解説とかではありません。

まずはCDのジャケットですが、それよりもこれはパッケージに貼ってあった注意書きシールが重要なのでそれ付で。

この商品にはいわゆる”楽曲”は入っておりません。ここに収録されている各種音源/効果音等を音素材として利用(サンプリング)し、コンポーズあるいはリミックスを個人的に楽しんで頂くことを目的としたものです。音楽を聴いて頂く為のものではありませんので、あらかじめ御了承ください。

はい、『preset sound』はサンプリングCDなのです。当時爆発的なヒットを飛ばしていたtrfが、その名前を冠したまま、トラックメーカー向けのCDを商業流通させたという、恐ろしい商品でした。聴いても曲らしい曲は一切流れてきません。あの時代に5000円のCDを間違って買ってしまった人、非常に気の毒だと思います……。サンプリングCDを知らない人は下記動画を再生してみて下さい。音の部品というか素材というか、短いパーツみたいなのが死ぬほど入ってるCDです。

で、このtrf『preset sound』について語っている人にはほとんど出会ったことがありません。trfファンも「よくわからん」ってことでスルーしている事例が大半だと思います。

ということでまずは『preset sound』について語る小室哲哉のインタビューを読んでみましょう。

これは、日本では初のサンプリング・ネタのアルバムです。僕は今まで、ブレイク・ビーツを始めとして、アカペラ集など、かなりのアルバムの中からサンプリング・ネタをひっぱってきてまして、そうですね、キーボードの鍵盤上に並べたら20台近くなるぐらいのネタがあるんです。で、それを組み合わせて、楽曲の大切なところに使ったりするんです。特にtrfに関して言えば、僕の持っているサンプリング・ネタが入っていない曲はほとんど無いんですね。
自分にとっても大切なものなんですが、そのネタを使って曲を作りたいとか、リミックスに使いたいという、プロ、アマのミュージシャンの方、DJの方たちのために、あえて作りました。

『beat freak』82号(1994-11-30、PRIME DIRECTION)p49「小室哲哉氏 スペシャル・インタビュー」

サンプリングCDを使ってるうちに、サンプリングCDを自分でも出してみたくなった、というのは、なかなか面白いと思います。実作業的には、1990年代当時の小室哲哉のマニピュレーターを務めていた村上章久が集めていたサンプリング・ネタを使ったようですが、著作権的にヤバそうなこんなブツをリリースまで持っていけたのは小室哲哉の当時の力ということで……。

で、本題。『preset sound』のダメなところは、まともなトラックリストがないところです。いや、海外製でもよくあるんですが、どんな音が入ってるかの見当がつくような名前をつけてほしいところじゃないですか? しかし実際は裏ジャケこんな感じなんです。

1~12曲目まではビートのループ(BPM記載)。というのはいいとして、13~72曲目に「SAMPLE & SE」なんてざっくりとまとめてるのはいかがなものかと!? 簡素すぎる。実際にこのCDを聴くとわかるんですが、明らかにこの13曲目以降のほうが聴いてて面白いんです。trfのボーカルのYUKIの声が一部分出てきたりして、trfの曲をリミックスしたい人にとっては素材として嬉しいのではないかと思います。

なんて不親切なCDなんだ、と長らく思っていたところ、avex traxの販促ペーパー『beat freak』のバックナンバーを見てたら、『preset sound』の宣伝ページに、なんとトラックにちゃんと名前がついたリストが載っていた! なんでこれをCDに載せなかったのか不思議になります。どん!

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