マガジンのカバー画像

ばるぼらさんの全記事アーカイヴ

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追加します。あとnoteの有料記事もここに… もっと読む
2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相… もっと詳しく
¥980 / 月
運営しているクリエイター

#quickjapan

吉川晃司、SNAIL RAMP、シュヴァリエ(2006年8月『Quick Japan』67号)

『Quick Japan』67号ではテレビ取材以外にもタイアップ関係の短いレビューをいくつか執筆しています。(文・BB)というクレジットが入ってたりします。普段なら絶対ワタシが書かなそうな対象なので、別の意味でまあ面白いのではないでしょうか。吉川晃司の原稿だけ最終稿が見つからないので草稿です、すいません。それではまとめてドン! 相変わらずだぜ、吉川晃司!

「イグザンプラーテレビ」収録現場体験記。(2006年8月『Quick Japan』67号)

蒸し暑い気候が続いていた七月某日、「『鈴木タイムラー』の人たちがなんか始めたらしいから見て来て」と編集部・Hに言われて原宿にあるテレビ番組制作会社のザ・ワークスに「イグザンプラーテレビ」の収録現場をウォッチしに行った。カルトヒットした情報バラエティ番組「テレバイダー」(東京MXテレビ系 〇一年〜〇三年)、前述の「鈴木タイムラー」(テレビ朝日系〇四年〜〇五年)のスタッフが中心となって製作している「イグザンプラーテレビ」は、〇五年二月からインターネット上で試験的に配信が開始され、

ネットレーベルから登場した突然変異imoutoid(仮)(2008年2月『Quick Japan』vol.76)

例えば「鯖缶レコード」「16次元レコード」「-N」「ON-LI」「Bump Foot」「Maltine Records」「deathdoll」「Mizukage」「逆襲レコード」「Eightynine Production」などの名前から音を逐一想像できる人がいないのはまだ仕方ない。ウェブ上でMP3配信で活動するこれらゼロ年代以降に登場したネットレーベルが、これまで各種メディアでまともに紹介されたことがあるのかは知らないが、CDの販促としてのネット進出ではなく、自覚的にMP3

伝説のネットラジオ now & then(2005年12月『Quick Japan』63号)

個人がラジオ番組を作るなんて、一昔前までは想像もつかなかったと思うが、今ではインターネットを利用した放送は半ば常識化している。ここではネットラジオの変遷を、個性的な番組の紹介と共に解説していきたい。 *

ポスト・ノームコアの行方は……なにこれ?(2015年10月『Quick Japan』122号)

ちょっと前に「ノームコア」って話題になったの覚えてるかな。ファッションは流行を追い求め続けてついに究極の普通に辿り着いた、「他人と違うもの」の差異化の果てに「他人と同じもの」を求める新しい差異化が起きた、って感じの話だった。この造語の発案者はニューヨークのトレンド分析集団K-HOLE。二〇一三年秋にノームコアの一語で世界中から注目をあびることになった彼らが、二〇一五年夏、いよいよ新しいレポートを発表したのはご存知だろうか。海外ファッション業界では早速、ポスト・ノームコアを求め

「著作権切れ」は新しい自由を手に入れることだ(2014年4月『Quick Japan』113号)

二〇一四年から小津安二郎や力道山がパブリック・ドメイン(PD)入りした。と言われてもナンノコッチャな人がいるかもしれない。PDは知的財産権(著作物・発明などの権利)の保護期間が満了した状態のこと。たとえば日本では著作権は一般に死後五十年間残るけども、五十年経過した人の著作物は自由に利用できる状態になる。PDに入った、とはだいたいそういう意味だ。とはいえ「そんな昔の人の作品なんて興味ないや」という人も多いと思う。夏目漱石や芥川龍之介の小説がPDだからといって、泣くほど喜ぶ人はい

Next Quick Japanese 100(2007年2月『Quick Japan』70号)

この号には「ゼロ年代日本 次の100人」という、複数のライターがそれぞれ「これから注目すべき人」を何人かを選んで紹介する特集があり、そこでワタシも参加しました。ワタシの掲載基準はとにかく世間的に無名であること! 漫画家なら単行本を一冊も出していないこと、映像作家ならテレビに出てないこと、などを自分は考えて入れたのですが、他のページを見るとどこかでちょっとブレイクしててこれから全国区の人気が出るぞ!くらいの知名度はある人が多くて、企画意図を間違えた!と思いました……。

グーグルを疑う方法(2015年4月『Quick Japan』119号)

グーグルと野村総研が二月末に「インターネットの日本経済への貢献に関する調査分析」という報告書を発表したけど読んだ人いるかな。二〇一三年度の日本のアプリ経済の市場規模は約八千二百億円とか、二〇一四年時点で推計五六万五千人分の雇用を生み出してるとか、ますます成長するインターネットは日本経済の発展に不可欠!マジ期待!という話が書いてある。読んだらさすがインターネット!と思う人がいるかもしれない。 でもちょっと考えればわかることだけど、そのお金がまるまる日本経済に上乗せされたとは書

今日からあなたも個人情報の露出狂になろう(2014年2月『Quick Japan』112号)

二〇一五年をめどに個人情報保護法が改正される予定らしい。すでに個人情報を本人の同意なく第三者に提供するためにはどんな例外措置が必要か、を議論する検討会がはじまっている。と書くと物騒だけど、現状は、そのまま情報を渡すのは当然アウトなので、個人を特定できないようにする加工が必要だね、でもその匿名化の方法が決まらないね、と困ってるところ。こういう話を聞くと「プライバシーが侵害される」と反対の声をあげたくなる人はいると思う。ただ、自分の情報が企業にどこまで知られているのか、考えたこと

ルンペンレコードは二〇世紀インターネット・リヴァイヴァルだ(2013年12月『Quick Japan』111号)

二〇世紀のインターネットの盛り上がりがどんな雰囲気だったか、今となっては説明が難しい。それがアンダーグラウンドな方面だったらなおさらだ。IPアドレスが知られたら即ハッキングされるかのように怯え、本名と顔写真がバレたら人生が終わるかのように怯え、住所が知られたらピザが百人前届くことに怯え、よく考えたら怯えっぱなしだった。使えもしない商業アプリを海外から三日かけてダウンロードしたり、違法アップされた音楽ファイルを掲示板にお礼を書込みつつダウンロードしたり、そういえばダウンロードも

缶コーヒーがマイナーになる未来(2013年10月『Quick Japan』110号)

いま日本で一番店舗数の多いコーヒー店ってどこか知ってる? ドトール?スタバ? 残念、正解は約一万五千店あるセブンイレブン。「それコンビニじゃん」なんて認識じゃ二〇一〇年代のコーヒー戦争のビッグウェーヴにはのりきれない。最近、どこのコンビニに入ってもレジ横付近でコーヒーが売られていることには、目ざといあなたは気づいているだろう。しかしあのコーヒーコーナーがいま一番激戦区であることについては、流石のあなたも驚きを隠せないだろう。別に驚いてないですか。

今、クール・ジャパンが熱い!(2013年8月『Quick Japan』109号)

普段ニュースを見ないあなたでも、「クール・ジャパン」って言葉くらいは知ってるだろう。そう、それ。経済産業省が打ち出したクリエイティブ産業の振興政策のこと。これまでの日本の基幹産業だった自動車とか家電が海外で弱くなってるから、その代わりになる日本文化に投資して産業育成します、ってヤツだ。佐藤可士和デザインのロゴが日本オリンピック委員会のエンブレムにそっくりだとか、一部で話題になったりもした。 このクール・ジャパンが予算五百億円を使って日本の文化を海外に売り込む戦略だと聞いて、

漫画レビュー:高野雀『低反発リビドー』(2015年6月『Quick Japan』120号)

二〇一五年一月に初の単行本『さよならガールフレンド』を刊行、その丁寧な会話劇と心理描写で大きな話題を集めている漫画家・高野雀の、半年待たずに出た二冊目が『低反発リビドー』である。

漫画レビュー: 高野雀『さよならガールフレンド』(2015年2月『Quick Japan』118号)

自分の斜め後ろから覗いてる監視カメラで自分ごと見えているみたいに客観視してしまう。このマンガはそんな人たちの物語であり、つまりそんなあなたの物語でもある。 日本最大の自主制作漫画誌即売会「コミティア」に二〇〇九年から参加、地道に人気を獲得していったマンガ家・高野雀は、二〇一四年に『フィールヤング』で商業誌デビュー。そこで発表したいくつかの短編と、コミティア読書会投票で第一位を獲得した表題作を含む、満を持しての初単行本が本書だ。 舞台は地方から都市まで、年齢層は学生からOL