ふと思い出してしまうこと。

大学時代の友人の話。
学校以外で連絡するときの手段といえば主にメールだったが、SNSが身近になったことで、メッセージやリプライでやりとりすることが増えた。

ある日の夜。
その友人(以後、N)とツイッターのリプライで会話をしていた。
いつものように返信1分以内という今おもうと気持ちの悪い早さでリプを飛ばしていたが、夜も深かったこともありNからの返事は途絶えた。
「寝落ちかな」と思い、私もそれ以降はアクションをしなかった。

翌朝、知らないアカウントからリプライが届いた。
知らないユーザー名からだったが、内容は「ごめん寝てた〜」から始まっていた。
「誰?」と思いながら内容を確認すると、昨日やりとりをしていたNだと気付く。
私はそのNからのリプライの返事に「っていうか、ユーザー名が今までと全然違うようになってて、誰かわからんかったw」と返信した。

その後、Nのページを開いた。
Nの好きな車のアイコン画像が、Nのお腹から顔までの服を着ていない写真になっていた。
ユーザー名が大学のみんなから呼ばれているものから、自分の下の名前になっていた。
数人だったフォロワーの数が、300人を超えていた。
疑問を抱きながらNのツイート欄をみた。
いまでも覚えているのが、投稿の一つが「がっつり○られてきました!」だったこと。
スクロールして見ていくと、よく似た内容の投稿ばかりだった。
「人違いかな・・・?」と思って再度トップページに戻ると、アカウントがなくなっていた。
その後、昨日のNのアカウントからリプが届いた。
内容は
・親戚を揶揄う用につくったアカウントと間違えたこと
・ほとんどツイートしてなくて見る用だったから消した
などというものだった。

私はNが同性愛者だとしても気にしない。
そしてこれは誰にも言うべきではないと、自分のなかにしまっていた。
それ以降は、Nくんと学校で過ごすときも何事もなかったかのようにしていた。


卒業前。
大学の後半から親しくなった男友達といるときに、彼が私に言った。
「お前ってさ、ゲイなの?」と。
Nのツイッターのことからあってから、私は「ゲイ」という言葉に少し過剰反応するようになっていた。
「なんで・・・?気になる女の子の話とか、以前好きだった人の話をしたことあるのに、なんでそんなこと聞くの?」というと、彼がまた衝撃的なことを言った。
「だって、Nくんと毎日一緒に授業受けてご飯食べてるやん」と。
これは、私とNくんが毎日一緒にいる=できていると彼が認識しているのだろうか。そうだったらそれは勘違いだし、そういう目で人を見ている彼にもがっかりする。
もしくは、彼がNくんのアカウントのことを知っているのか。

「Nくんとはゼミが同じで、一緒の授業を組んでるから過ごす時間が多いだけだよ。なんでそんなふうに思うの?」と聞くと彼は言った。

「Nくんのツイッター、しらんの?」

知ってる。

「Nくんとはツイッターもやりとりしてるよ?」
さりげなく言うと、「裏垢は?」と聞かれた。

微妙な間を開けてしまったことで、彼も「知ってるんやな」と言った。
誰にも言うてないから、ということで少しその話になった。

彼は消えた後のNくんのアカウントを見つけていた。
彼の彼女(=私も友達)が偶然見つけたらしい。
そのツイート内容や自己紹介をみたところ、彼の好みが私の容姿に似ていたことや、暴力的になっても快楽を求めにいくというツイートがあり、私を心配してくれいてたとのこと。それで、彼が聞いてきた。

私もNくんの誤爆リプがあったことと、それがあっても変わらず過ごしていることを話して、この話は終わった。
この友人とは卒業してもたまに会うが、「Nくん元気かな」とSNSを確認するが、あらゆるSNSもほとんど更新されていない。

数年前、めずらしくNくんから連絡が来た。
内容は、近々私の住む県に行くから、お昼のランチでも行かないかと。
平日の1時間くらいだったから出張だろうと思い「久々やし、是非!」と返事をした。
久々に会う彼は以前と変わっておらず、懐かしかった。
今日は仕事で来たのか聞くと、予想外の返事がきた。
「この県で車屋をしている友達がいて、オイル交換にやってきた」と。

オイル交換で、高速3時間かかるところに来るのか・・・。

疑問を抱きながらも食事をした。
Nくんはずっとスマホを確認していた。
そして、予定よりかなり早い時間に「ごめん、そろそろいくわ」と。

私は「また来るとき連絡してね」と伝えて、彼と別れた。
それ以来、彼からの連絡はない。


彼は遠路遥々ここまできて、本当は何の目的できたのだろうか。

ふと、思い出してしまう。

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