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大阪市立美術館 コレクション展

 特別展ではありませんが、とても良かったのでご報告させて頂きます。

 この展覧会は、大阪市立美術館の所蔵品と、寺院からの寄託品で構成されていました。

 4室のうち、第1室〜第3室が大阪の仏像、第4室が中国・南北朝時代の石像仏教彫刻でした。

第1室、第2室の仏像はケースには入れられておらず、すぐ近くから見られますし、第1室から第4室まで壁を背にした展示が無いので、仏像の横や後もよく分かりました。

 19体の仏像(神像を含む)の内、印象に残ったのは以下の7体でした。

地蔵菩薩立像 10世紀 三津寺(大阪市)

 この展覧会で一番惹かれました。
 170センチ位なのですが、たいへん大きく見えます。がっしりとした作りで、彫りは簡素で深いです。静かな表情ですが、見るものを引きつけてしまうエネルギーを感じさせます。長い時間見ていても見飽きない仏像です。

毘沙門天立像 12世紀 三津寺(大阪市)

 同じ三津寺の仏像で、大きさもほぼ同じですが、毘沙門天なので装飾性があります。ただ、甲冑の中心線が緩やかにカーブしていたり、胸もとの紐の結び目が僅かに左が下がりだったり、仏師の個性が感じられました。

十一面観音菩薩立像 17世紀 三津寺(大阪市)

 これも同じお寺の、大きさも同じくらいの仏像ですが、時代が異なります。少し厳しい顔つきですが、膝前や、その上で大きくカーブしている天衣が、同じ幅で4列でなく、2列ずつ変えられていたり、上下でパターンが変えられていたりしているのが面白いなと思いました。

阿弥陀如来坐像 13世紀 専修寺(大阪市)

第1室から第2室へ向かう暗く短い廊下を進むと、この仏像がこちらに向かって置かれているので、ちょーど廊下が絵画のフレームのような感じになっていて、「おっ」と思いました。胸の前で説法印を結んでいて、鎌倉時代の写実性が表れていました。

釈迦如来立像 13世紀 来迎寺(守口市)

 70センチ位の小ぶりの仏像です。所謂、清凉寺式の釈迦如来ですが、それ程忠実な模刻像ではありません。顔がたいへん小さく、9等身かなと思うほどです。正面から見ると、顎の尖ったお顔がやや右に少し傾いてる気がしましたが、後に回ってみてその理由が分かりました。虫の害が首の周辺に及んでいたのです。たいへん痛々しかったです。
 
十一面観音菩薩立像 13世紀 四天王寺(大阪市)

 等身大よりも大きい仏像で、この展覧会の告知記事に使われていた仏像です。聖徳太子で有名な四天王寺の寄託品です。顔の表現等からもたいへん女性的な感じがします。裳の裾や衣のひだが普通見られるような曲線でなく、いろいろな場所でうねっていて、布の感触を上手に表現しているなと思いました。

観音菩薩坐像 1702年 舎利尊勝寺(大阪市)

高さ80センチ程の金色に輝く坐像ですが、拝観者に対して正対しておらず、やや身体を捻って、水月観音の様に斜め下を見ています。また、手足の先も全て衣の下に隠れていました。中国の影響なのでしょうか、私はあまりこのような仏像を見たことが無かったので目に止まりました。

 この他にも白鳳時代の金銅仏や、熊野十二所権現立像等あまり見ることのない仏像がありました。

図録どころかポストカードの販売すらないですが、それを差し引いても十分お釣りがくる展覧会でした。

因みに入館料はご朱印代と同じ300円でした。

会期は2020年9月1日から10月11日です。