住宅を断熱することの弊害

住宅内を適切な温度に保つためには暖冷房が必要になりますが、暖冷房を省エネにするためには断熱材を入れて住宅の断熱性能を高める必要があります。
ただ、断熱材を入れることの弊害もあります。

壁内結露

外壁や天井などに断熱材を入れると、当然ですが外気と室内に温度差ができます。
冬の場合は暖房しますので室内の温度が高くなります。
室内の空気が壁を通って外に抜けていくとき、壁の中で空気が冷やされます。
空気は温度が下がると相対湿度が高くなり、ある温度(露点温度)まで下がると結露します。

たとえば温度20度、湿度40%の空気の露点温度は約6度です。
つまり、冬に室温が20度、湿度が40%であれば、その空気が6度まで下がれば結露します。
断熱材が入っている場合は、断熱材の室内側は室温に近く外気側は外気温度に近くなります。
そのため、冬は壁の中で結露する可能性が高くなります。
壁の中が結露することを壁内結露といいます。
特にすき間が多い住宅(低気密住宅)は壁の中に入る水蒸気量が多くなり、結露水も多くなりますので注意が必要です。
壁の中が結露しますと、カビ、木材の腐朽の原因、グラスウールなどの断熱材の性能低下などの原因になります。

壁内結露は冬だけでなく夏も発生します。
これも外気と室温の温度差で発生します。
ただ夏の内外の温度差は冬ほど大きくなりません。そのため、夏型の壁内結露が発生しやすいのは、冷房風が直接当たる場所、冷気が溜まりやすい場所となります。
結露が発生する範囲は冬ほど広くはありません。
夏は湿度が高いので結露しやすいイメージがあるかもしれませんが、空気の温度が高いので露点温度に達する場所は限られます。
なお、夏に結露すると温度が高いのでカビは発生しやすくなります。

夏に熱がこもる

断熱すると住宅内の熱が外に逃げづらくなります。
そうしますと夏は熱がこもりやすくなります。
特に日中は窓から入った日射により室温が上がり冷房費がかかります。
正しく設計されている高断熱住宅であれば、軒や庇など何らかの日射遮蔽物を設けるのが一般的ですが、夏の日射のことを考慮していない住宅も多いのが現状です。
温暖な地域では西日の問題もあります。
西日は庇などでは遮蔽することはできないため、すだれ、よしず、外付ブラインドなどの設置が有効です。
西日を遮蔽する方法としては、広葉樹やアサガオなどのツル性植物も効果があります。

通常日射を遮蔽する場合は室内側にレースカーテンやブラインドを設けます。
ただレースカーテンなどは日射が当たった場所で熱を発生します。つまり室内で日射が熱に変わってしまうためあまり効率的ではありません。
冷房の省エネを考える場合は家の外で日射遮蔽する方が効率的です。

しっかり日射をコントロールした高断熱住宅であれば、外の熱が中に入ってきづらくなるため、冷房時にも省エネになります。

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