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2022.2.28 バストリオ日記

ボスと呼んだ猫、俺が呼んでるだけなんやけど体がここらの猫のなかで一番大きい、窓の外歩くとうつる影が馬鹿でかくて生き物感が他とちゃう、獣みたいやからどきってなって窓開けてみてみたらそのときもう屋根からドンって降りるところや、すぐになんやねんってなったんはボスが来てしまったからとらもとらちゃんもたぶんこーへんくなる。いつもそう。匂いやと思うねんけどなってくらい匂いに敏感な猫はこーへんから当分とらととらちゃんには会われへんやろなって朝。そう元気でいてくれ。あんま無理せんと。

目でよく見えてへんもんにできるだけ触れないとなってなってどんどん暗闇に向かって歩くことになる、映画をみた。ずっと遠くから見てる景色に小さく車が映ってて坂をジグザグに右に行ったり左に行ったり降りていって巻き上がってる砂まみれになった車体と顔が日に当たって赤くなってる濃い顔。たぶん眉毛のせい、濃い。それよりもっと濃い年老いたおじいちゃんが話してたな。むっちゃしつこい不安そうな若いほうはそれほど若くないけど、その若いほうに年老いたほうがずっと話してるのもほとんど車の中やねん、でも画面は坂を降りていく間も兵隊がたくさん歩いてて訓練の途中やから、はあ、ふっ、へっ、ほっ、ってできるだけ疲れへんくらいの音を出しながら兵隊が走っていくのが車からも見えた。女たちはその中にいないのは兵士が男だって思われてるけど、ウクライナでは火炎瓶を街中でつくりまくって生き生きと必死に働いてる女たちがいた。それはiphoneで見た。生きたほうがいいって濃い年老いたほうがずっと言ってくれてる、あんたを信じてるって。だからなんかむちゃくちゃ不安なってきて死にたくなくなった若いほうはたぶん死なないだろうなって太陽を高いところからみた。太陽が落ちていってるから全部もっと赤くなってた。死なないって思うことになってそのまま暗くなって真っ暗で雨が降ってたぶん濡れてるんやろなって、泣くのやめてたけどそれでまた泣いてたんやと思う。あのあとタバコ吸って歩いてたからきっと生きとったんやな。俳優やろうがなんやろうがその前に人間なんが当たり前のこと。

窓開けたらとらが寝とった、いつひいたんかベランダのブルーシートは雨漏り避けや、青が青くないくらい汚れてるけど土とか雨とかでついたその匂い変わったら猫たぶん嫌なんかもなって洗わんから見た目は汚いけどとらはその上で安心して寝てた。左の前肢をふらふら揺らしてた。なんか刺さったんか見てないけど怪我はしてて治ってきてるけど痛いから揺れてた。もう治ることないんかもしれへん、自然で生きるのはそういうもんやから。飯はあげてる。誰かが勝手に捨てた、勝手に増えたとかそんなふうに言われても人間も勝手に増えた。おとんに飯をもらってた。食卓に並んでるおかずはおとんの方が多くなってたのはおとんが稼いだお金で食べさせてもらってたから。

今したいことは沈黙することやけど言葉にするための沈黙やから出来るだけiphoneは脇に置いて机に向かう。書いたり音聴いたり作業してる100年前から建っている家の中で。戦争なんてもうずっとやってたで。

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