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#4「成長する市場はどのようにわかりますか?」

「世の中はどう変化するの?」
今日は、この問いについて考えてみます。

成長する・注目される市場はどのような情報から読み取ることができるのか、マクロな視点で聞いてみました!

成長するマーケットの見分け方ー⑴人口動態の変化
 

そもそもビジネスには、課題発見型と理想追求型の2つのタイプがあります。課題発見型とは、ある問題(社会課題や日常生活での不便)を解決するためにサービスや商品を生み出すタイプ。理想追求型とは、ある理想(幻想的な空間やエンターテイメント、ゲーム、新しい技術を活用したなど)を体現するためにサービスや商品をつくるタイプです。

今回は、特に課題発見型のビジネスに注目して考えてみましょう。例えば、現在の日本は、人口減少が続き、さらに団塊の世代が後期高齢者となることから、社会保障費の急増が懸念されている、2025年問題を抱えています。そこで普及してきているのが、少子高齢化を背景としたお葬式のWEBサービスや若者の晩婚化に対応した出会いマッチングアプリです。人口動態の変化によって、新たな社会課題が発生し、特定領域が市場としてニーズが高まるっているのです。

逆に人口が増加に転ずれば、食料供給やエネルギー問題などに関わる市場が成長していくでしょう。

成長するマーケットの見分け方ー⑵PEST分析
 

人口動態の変化から分析する他に、PEST分析という手法があります。

PEST分析によって、社会現象を4つの要因Politics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)から分析し、成長するマーケットを見極めたり事業戦略を企画するのです。(参考資料:PEST分析とは Mission Driven Brand ブランディングの解体新書より)

PEST分析を用いれば、東日本大震災のあとに省エネ家電が売れたり、メッセージアプリの安否確認のための既読機能が普及したのも、必然だったのかもしれません。

ただし、この理論通りに現実が動いているばかりではありません。後日談的に後から分析すると実際にはこうだった、ということも少なくありません。市場を分析する際には、近視的に見る虫の目と、俯瞰して全体をみる鳥の目、どちらもが必要になります。

また、どこの経済圏をターゲットにするかによって、消費動向が異なることも忘れてはなりません。地域とそのエリアの年齢分布、関東・関西、都市部・地方、国内・海外…などといった様々な市場を軸にしたバランス感覚も必要です。

【発展編】
成長するマーケットの見分け方ー発散と収束

これまで説明した成長マーケットの見極め方の他にも、「発散」と「収束」の2軸で特定の産業分野が振れている、という考え方です。

 例えば、衣食住は人々の生活においてなくなることがない産業分野ですが、必ず流行りと廃りがあります。例えば、衣類アパレル業界で考えると、90年代は様々な高級ブランドを中心に色々なファッションブランドが多種多様(=「発散」)でしたが、現在はユニクロやH&Mをはじめとするファストファッションが主流ですね。つまり、「収束」する状態に変化しています。

また、食の分野はどうでしょうか。ポテトチップスを例にすると、少し前までは大手のカルビーや湖池屋などの様々なナショナルブランド商品が市場を占めていましたが(=「収束」)、今では小売流通のプライベートブランドの商品が増えています。また、インターネット通販の普及によりポテトチップスの種類も多種多様に「発散」する状態に変化しています。

 さらに、料理レシピ情報でも同様の動きがあります。以前はテレビや雑誌、新聞にのみレシピ情報が集約されており、情報発信する人も著名なプロの料理人や料理研究家に限られていました(=「収束」)。しかしクックパッドの登場により、主婦をはじめとする一般層もレシピの発信が可能となりました(=「発散」)。現在では、SNSの普及に伴い再度、デリッシュキッチンやクラシルのような編集権を自社に集約した形の旧来の「収束」したモデルが台頭して来ています。

”発散”=商品の種類や選択肢が増えていく。
メリット:いろんなものが試せる・楽しめる
デメリット:消費者の選択における煩雑さ・分かりにくさが増す
”収束”=種類が制限されて一定の品質が担保されていく。
メリット:わかりやすい・選びやすい
デメリット:多様な選択肢が減る

メリットとデメリットは物事の表裏を意味するので、発散と収束どちらに有意がある、というわけではありません。市場は、発散と収束の間に揺れる状態にある、ということです。このように、市場の法則性は、マクロな視点でのメカニズムを捉えることで、原理原則を見極めることができるのですね。


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「働くってどういうこと?」
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「ブラック企業の見分け方は?」
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素朴で漠然とした疑問は、教科書や授業に特定の答えが載っているわけではないですよね。


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このnoteでは「働く」ことや「仕事」、「就職活動」について考えたはじめた大学生からの素朴な疑問に、山口豪志さんが答えます。

会社の選び方や働き方を、ビジネスモデルと関連させながら、解説していただきます。

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