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#1「飲食業と金融業の違いを考えてみた!」

日本の街中にはたくさんのお店が存在しています。例えば、駅近くを想像してみましょう。

お花屋さん、立ち食いそば、コンビニ、銀行、歯医者…と様々です。そこで働く人々は、制服も、働く時間も、適性や資格の有無も多様でしょう。では、ビジネス面において、どのような違いがあるといえるのでしょうか?

そこで、記念すべき第1回目のテーマは「飲食業と金融業の違いを考えてみた!」です。

この問いに対し、山口さんは、「飲食業と金融業の違いは、ビジネスモデル*から生まれる。」ときっぱり。
(*ビジネスモデルとは、企業が利益を生むための仕組みを指します。企業の戦略によって商材が有形か無形か、販路がオフラインかオンラインか等の違いが生まれます。)

ここからは、うどん屋さんと銀行を例にして詳しく解説していきます!

飲食業と金融業のビジネスモデルの違い
今回のキーワード:「費用」

まずは、飲食業。
例えば、飲食業の例として、うどん屋さんを考えてみましょう。うどん屋さんのビジネスモデルでは、1杯400円でうどんを提供するとします。麺の原価が1玉約40円だとした場合、それに加えて材料費や店舗の固定費、光熱費などを重ねれば、1杯あたり利益として残る金額は、約50~100円です。
また、うどん屋さんを経営する上で、アルバイトや社員の採用など、従業員を継続的に確保するためのコストも発生します。新作のレシピを開発する必要性もありますから、時にはアイディアを得るための出張費や開発費が発生することもあるでしょう。
そして、従業員が受け取る給料(人件費)は、こうした費用を全体の収益から差し引いて出た利益によって決まります。


このようなうどん屋さんをはじめとする飲食業のビジネスモデルは、全体の収益から費用として差し引かれる割合が高く、販売の量を増やすことが重要といえます。一般的に、金融業よりも飲食業の営業時間が長いのは、これが要因でもあるでしょう。より多くのお客さんにうどんを食べてもらうことが売上に繋がるからですね。

一方、金融業はどうでしょうか。
銀行をはじめとする金融業のビジネスモデルは、個人・法人(=会社)の口座開設や、投資(リターンを期待して支出する)・融資(お金を貸す)、経営や事業のコンサルティング、*M&Aの仲介など様々な業務によって構成されています。

*M&Aの仲介:事業を買いたい会社と、事業を売りたい会社を繋ぎ、その買収金額の〜%を手数料としてもらう業務

例えば、金融業で銀行が「M&Aの仲介をする」という設定で考えてみます。M&Aが成立した場合に銀行が成果報酬として譲渡価格の3%を得るとしましょう。
この場合10億円で事業売却の契約が成立した場合、銀行は3,000万円の経常収益(≒売上)を得ることができます。
このビジネスモデルでは、飲食業を経営するために必要だった原価(材料費)、固定費などの「費用」が発生しにくいですよね。そのため、収益性が高くなるのです。

このように、一度に大きくリターンを得ることができるビジネスモデルとそうでないビジネスモデルが世の中には存在するのです。
したがって、今回のテーマである「飲食業と金融業の違いを考えてみた!」はこうしたビジネスモデルの違いによる収益性の差が生み出している、ということになります。そして、これらの違いが給料(=人件費)が高いか低いかの差を生み出しているのです。

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参考:一般社団法人全国銀行協会「やさしい銀行の読み方~銀行の財務諸表とディスクロージャー~」
ホーム> 全銀協の活動を知りたい方>ニュース&トピックス>平成28年>冊子「やさしい銀行の読み方~銀行の財務諸表とディスクロージャー~」を作成

補足

銀行と似たビジネスモデルに「代理業」があります。
例えば、就活生にも人気な広告代理店は、広告を出したい企業と、広告を掲載する媒体としてのメディアを繋ぐ、というビジネスです。
さらに、M&Aを行う会社は、ある特定のニーズに合わせて企業と企業を仲介・マッチングする、という価値で売上を得ています。
このように、代理業はアドバリューな(=商品以外の付加価値)営業を提供して、対価を得るビジネスモデルです。
人件費以外の費用はさほどかからず、手数料や仲介料が収益になるため、粗利益が確保しやすいビジネスといえるでしょう。

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このnoteでは「働く」ことや「仕事」、「就職活動」について考えたはじめた大学生からの素朴な疑問に、山口豪志さんが答えます。

会社の選び方や働き方を、ビジネスモデルと関連させながら、解説していただきます。

過去記事は、こちらからどうぞ!


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