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猫も杓子も:ねこもしゃくしも #53 辞書の生き物

ネコもしゃくしも

 「猫も杓子も」は、誰もかれも例外なく全員という意味で使われます。「杓子」はご飯をお茶碗に盛るときに使う「しゃもじ」のことです。

一休さん

 「猫も杓子も」は、江戸時代の「一休咄:いっきゅうばなし」に「生まれては死ぬるなりけり おしなべて 釈迦も達磨も猫も杓子も」という記載がありますが、これが語源ではなく、由来には諸説あるようです。
 代表的な説は、猫は「神主:かんぬし」を表す「禰宜:ねぎ」がなまったもの、杓子は「お釈迦さま」を表す「釈氏:しゃくし」で、「禰宜も釈氏も(神主もお釈迦さまも)」が変化して「猫も杓子も」になったとするものです。

 他にも杓子がしゃもじであることから主婦を表すとして、「猫も主婦も家族みんなで」というサザエさん一家的な説もあり、個人的にはこちらが好きです。
 一休さんが僧侶であったことと、彼が語ったとされる先ほどの言葉からすると、どんなに尊い人であっても下々の者でもみんな、死からは逃れられないという使われ方のようですので、猫は神主、杓子はお釈迦様と解釈するのが良さそうです。

 猫も杓子もは、類義語が「だれでもかれでも、どいつもこいつも、揃いもそろって」などと、どちらかというとネガティブなイメージがありますが、肯定的にも使える言い回しです。

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