亡羊の嘆:ぼうようのたん #135 辞書の生き物

亡羊の嘆

 学問の道があまりにも幅広くいくつにも分かれているため、真理にたどりつくことの難しさを嘆くことを表す慣用句です。また、どこから手を付けてよいかわからず、途方にくれている状況や、選択肢が多くて迷っている様子を表現する場合にも使われます。

 戦国時代の中国の故事に由来します。
学者の隣の家の羊が逃げ出し、大勢の人が探しましたが、逃げた道の先が複数に分かれていて結局見つけられませんでした。その様子を見ていた学者は、学問の道も同様に分かれていて極めることが困難であることに思い至り呆然としたということです。

 選択肢が多いことは自由度が高くて良いようですが、多すぎると逆に選べなくなることが知られています。お店で2種類しかなければ、比較してどちらかに決めやすいですが、20種類から選ぶとなると急に決められなくなり、結局買わずに店を出ることもあります。

 うな重などの料理の場合も、松竹梅の3種類で提供されていることがありますが、日本人は真ん中の竹を選ぶ傾向が高いようです。
 最近ではマッチングアプリでの結婚も増えていますが、お見合いの場合、何人目に会った人との結婚がよいのでしょうか。数学的には10人と順番に会う場合、4番目か5番目あるいは10番目がベストである確率が高いのだとか。
 人生での選択も同じでしょうか。あそこの分かれ道で選びなおせたら、学生時代に戻って勉強しなおせたらと後悔するのが人間でしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?