岩松勇人プロデュース@ビジネス本研究所:仕事に使えるデカルト思考 齋藤孝
【仕事に使えるデカルト思考 】はこんなあなたのための書籍です。
●デカルトの哲学に触れたい人
●デカルトから仕事論を学びたい人
●物事を正しく判断したい人
●デカルト思考を仕事に活かしたい人
●仕事に行き詰まっている人
【仕事に使えるデカルト思考の目次】
はじめに
第1章デカルトの哲学は仕事に使える
第2章デカルト思考で「考える自分」をつくる
第3章論理的思考力が身につく「四つの規則」
第4章判断力が身につく「三つの基準」
第5章感情コントロール力が身につく思考法
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【要約】
今回は、
「仕事に使えるデカルト思考」
という本を解説します。
この本は、「我思う、故に我あり」
で有名なデカルトの哲学や思考法が
書かれた本です。
今から400年以上も前、産業革命よりも前に
生きた人物ですが、その思考は現代の
ビジネスパーソンにとっても十分に通用する
本質的なものです。
本書では、いろんな場面で
湧き上がってくる感情の良い面を
どのように活かすかも紹介しています。
人生に迷ったり、ブレたりすることが
多い現代では、デカルトの
「不安と後悔から一生、脱却できた」
と語る思考法を学ぶことは超重要です。
この本の結論は、
という内容です。
哲学は、実践しなければ意味がありません。
デカルトの人物像を知ること以上に、
その思考を仕事の場面で使えるように
なることが重要なのは間違いありません。
本書では実践するにあたって、
デカルトの思考法を「四つの規則」
「三つの基準」としてまとめています。
是非、この動画を見てくださっている
あなたは、仕事でアウトプットしてみる
という前提でデカルトの哲学を
インプットしてみてください。
本書に書かれているデカルト哲学を
仕事で活かすための重要なポイントを
3つ解説します。
それでは順に解説していきます。
まず1つ目のポイント
1 デカルト哲学とは
デカルトは、フランス生まれの哲学者であり、
数学者でもあります。
デカルトは、一つずつ整理して順番に解決する力として、
「理性の力」の重要性を強調しています。
このデカルト思考法を身につければ、
目の前の視界がパーッと晴れていくかと思います。
自分の感情をコントロールしつつ、
仕事の判断を早く、正確に下すことができます。
哲学を学ぶことは、
ものの見方や自分の精神を変化させます。
これはなぜかというと、哲学の本質は
「自分自身に問いかける」ことにあるからです。
紀元前の古代ギリシャ時代には、
ソクラテスやプラトンなどの哲学者が、
自分を成立させている根本は何か、
世界の根源は何か、といった本質的な問いを立ててきた。
そうした問いは、自分の思考を深めてくれるんですね。
一方、「儲かればよい」「とりあえず効果があればよい」
といった態度は実に表面的です。
一時的にうまくいったとしても、
将来的にビジネスシーンに貢献するもの
となるかどうかは疑問です。
また、判断を先延ばしにしたり、
確たる根拠もなく判断したりすることも、
哲学的な態度が不足しているといいます。
哲学は私たちに生き方を問う学問なので、
その内容を知るだけではなくて、
実践することが何倍も重要なんですね。
たとえば、実存主義という言葉について
一通り説明できること自体には、
それほど意味がありません。
実際に、実存主義を使った生き方をすることで、
自分が理不尽な状況に追い込まれたとしても、
「自分の未来は自分の選択によって変えることができる」
と、前向きに考えられるようになるんです。
このようにデカルト思考は、
現代人の「何となく不安」な精神状態を
打破するためにも役立ちます。
思考が整理できず堂々巡りして、
不安ばかりが大きくなることがないように、
筋道を立てて考えられるようにしてくれます。
また、デカルトの有名な言葉に、
「我思う、故に我あり」というのがあります。
当時のヨーロッパでは自明だった
神の存在を疑っている時点で、
私は確かに存在することから、
デカルトは「考える私」を第一原理に据えた。
この「考える私」の精神を身につけようと判断して、
行動しようとしている自分は今、
確かにここにいると初めて感じられるようになります。
この第一原理は、私たちの意思や決意が揺らいだ時に、
判断し、行動するのを助けてくれます。
リストラなどの苦境に陥ったとしても、
自分を冷静に観察し、外側から見ている視点
を持つことで、人間は動じなくなるんです。
2 思考の整理方法「4つの規則」
デカルト思考法は、四つの規則にまとめられています。
これをしっかり身につけ、実践できるようになると、
情報に的確に向き合えるようにもなるし、
仕事の改善、業務の改革にもつながる。
一つ目は、「明証性の規則」
根拠や証拠を明示して証明できる事以外は、
受け入れないことを指します。
即断自体は悪いことではないですが、
軽率な判断は避けようということです。
SNS時代の今、すべての人が発言力を持つと同時に、
発言に責任を持つことが求められるようになった。
情報を取り入れる際は、一つ一つ、
よいことはよい、悪いことは悪いと、
個別に判断する姿勢が重要です。
第二の規則は、「分析の規則」
難問を理解するには、小さく分解すると
解決しやすい、ということです。
あなたが大きな仕事のリーダーを任されたとしたら、
その仕事をA、B、Cなどの小さなテーマにわけると、
やるべきことが見えやすくなります。
このように細分化した仕事を個々の担当に
割り振っていくといくイメージです。
第三の規則は、「総合の規則」と呼ばれます。
物事に取り組むとき、単純で分かりやすいものから、
複雑なものへと順番に取り掛かることを指すので、
段取りとも言い換えられる。
この規則は物事をスムーズに進められるだけでなく、
仕事の指示においても有効だ。
たとえば新人指導の際、挨拶のような単純で
重要な習慣から始めると、できたことの
ステップをお互いに確かめやすい。
最後は、「枚挙の規則」である。
最後にすべてを列挙して、
見落としがないか再検討することを指す。
なにも見落とさなかったと確信するためには、
チェックボックスなどを使って一つずつ
見ていくことが有効です。
テスト終了5分前の「見直し」のように、
確認する習慣をつけたいものです。
このような4つの規則にならうと
思考をよりスムーズに整理できるようになります。
また、思考法を磨いていく上で
重要なことは、先人から学ぶ姿勢です。
これは、先人の積み重ねた成果の上に、
自分自身の新たな成果を築くという意味です。
ニュートンがいたおかげで、
のちの時代のアインシュタインの功績があるように、
私たちは誰しも先人たちの力を活かすことができる。
仕事や教養においても、先人たちの偉業を
完全にコピーする勢いで学べば、
自身の水準も格段に上げることができます。
学ぶの語源は「まねぶ」と言われていて、
真似ると同じ意味です。
先人たちを真似ることが学ぶことにつながり、
「知らないことを知る」ことでもあります。
自ら主体的に学ぶことで、新たな発見に出合える。
それによって思考がひらけ、自分がよいほうへ
変わっていけるんですね。
3 デカルト思考の「3つの行動基準」
次に、デカルト思考を手助けする
三つの行動基準を見てみましょう。
デカルトは第一の基準として、
慣習に従うことを勧めている。
一般的な行動様式である慣習に従っている限り、
批判されることはほぼない。
しかし、慣習は時代や地域によって変わります。
変えるべき慣習があることは念頭に置いたうえで、
慣習を尊重することも大切だ。
「郷に入っては郷に従え」と言われるように、
そこでの慣習に従いながら、
自由な判断がそがれないように、
極端にならない意見や行動をとることを
デカルトは勧めている。
第二の基準は、熟慮断行です。
「熟慮断行」とは、物事を判断するにあたって
関係するさまざまな要素について検討し、
十分に考えてから行動を決定することです。
デカルトは、疑いうるものを排除することで
確実さを求める一方で、一度こうすると決めたら
一貫してそれに従います。
そうは言っても私たちは、
不安になって決めたことを後悔したり、
変更したりすることってありますよね。
このようなことを続けては、成果が出ない。
一度決めたらやり通す覚悟を持つことが大事です。
第三の基準としてデカルトは、
「変えられるのは自分の考え方だけであることを認識せよ」
といっています。
自分でコントロールできるものと、
できないものを分けて考えるということです。
コントロールできないものを無理に何とかしよう
としないことが肝心なんですね。
また、自分の判断がすべてであって、
才能の有無で悩んだり迷ったりする必要はない、
ということも述べている。
これらの4つの規則や3つの行動基準を
実践するにあたり重要なことは
感情のコントロールです。
人が行動を移すまでのプロセスは、
感情 →思考 →行動
と移り変わっていきます。
例えば、稼ぎの少なさを馬鹿にされて、
女性にフラれてしまったとします。
このとき、感情が激しく動き、
「あの女、絶対に見返してやる!」
と思う人もいれば、
ショックで自信喪失に陥ってしまう人もいます。
感情がどちらに動いたかどうかで、
思考パターンも変わり、
そのあとの行動にも大きな違いが出てくる
ことがイメージできますよね。
このブレを小さくしていくためにも
感情のコントロールが必要なんです。
しかし、デカルトは「感情そのものが悪い」
と言っているわけではありません。
怒りや恨みといった悪い感情を減らし、
喜びや楽しみを増やす。
そうしたストレスマネジメントは理性
によって実現できることを教えてくれます。
感情は、ネガティブな思考も
ポジティブな思考も両方増幅させます。
負の感情に流されがちで、
精神や理性の力が弱い人であっても、
読書や音読、文章を書くことによって、
感情のコントロールは可能なんです。
デカルトは、
憎しみや悲しみは常に害がある
と断定していた。
仕事にも競争はありますが、憎しみのある競争
がいいものであるはずがないと。
健全な嫉妬というのは、
理想の自分自身との比較です。
他者と比較して嫉妬や妬み、憎しみを
抱いてしまうと他人を攻撃する人間に
なってしまって、人生は最悪な方向へ進みます。
これだけは特に注意してくださいね。
それでは最後におさらいしましょう。
1 デカルト哲学とは
デカルトは、一つずつ整理して順番に解決する力として、
「理性の力」の重要性を強調しています。
デカルト思考を身につけることによって、
自分の感情をコントロールしつつ、
仕事の判断を早く、正確に下すことができます。
2 思考の整理方法「4つの規則」
デカルト思考法は、四つの規則にまとめられています。
「明証性の規則」
「分析の規則」
「総合の規則」
「枚挙の規則」
情報に的確に向き合えるようにもなるし、
仕事の改善、業務の改革にもつながる。
3 デカルト思考の「3つの行動基準」
三つの行動基準とは、
慣習に従うこと
十分に考えてから行動を決定する熟慮断行
変えられるのは自分の考え方だけだと認識すること
感情をコントロールしつつ
行動を判断基準を高めていきましょう。
著者について
齋藤孝
1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ、ラジオ、講演等、多方面で活躍。
著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社文庫、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『座右のゲーテ』『座右のニーチェ』(以上、光文社新書)、『使う哲学』(ベスト新書)、『他人に振り回されない自信の作り方』(PHPエディターズ・グループ)など多数。著者累計発行部数は、一千万部を超える。