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【所感】ねえ先生、なぜ演習問題をやらなきゃいけないの?

例えばあなたが学生で、運動部に所属しているとします。

サッカー、野球、バスケ、陸上、なんでもOKです。

あなたは筋トレをします。

おそらくするでしょう。

そこで2つ質問です。


Q1 あなたは筋トレが好きですか?
Q2 なぜ筋トレをやらなきゃいけないの?


筋トレが好きだという方はぜひ続けてください。

問題は、好きじゃないが「やらなきゃいけない」と思っている人です。


なぜ筋トレをやらなきゃいけないのでしょう。

「筋力がつくから」

なるほど。ではなぜ筋力をつける必要があるのでしょう?

「フィジカルを強くしたいから」

ではなぜフィジカルをつける必要があるのでしょう?

「(サッカーなら)1対1の場面で当たり負けしないため」

ではなぜ1対1の場面で当たり負けしてはいけないの?

「その1対1の結果が試合の局面をガラリと変えるから」

ではそれの何が問題なの?

「それがピンチの数、逆にチャンスの数に直結するから」

ではチャンスの数に直結すると何がいいの?(困るの?)

「チャンスが増えれば増えるほど得点の可能性が高まるから」

ではなぜ得点の可能性が高まるといいの?

「サッカーは多く得点をした方が勝つスポーツだから」



・・・

このあたりで十分でしょう。

この内容は、私の小説「わけるとつなぐ」の言葉を借りれば「つなぐ」を使うことでこのように表現できます。

「筋トレをしなきゃならない」→「筋力がつくから」→「フィジカルを強くしたいから」→「(サッカーなら)1対1の場面で当たり負けしないため」→「その1対1の結果が試合の局面をガラリと変えるから」→「それがピンチの数、逆にチャンスの数に直結するから」→「チャンスが増えれば増えるほど得点の可能性が高まるから」→「サッカーは多く得点をした方が勝つスポーツだから」

つまり、筋トレは勝ちに直結する。

だから筋トレをする。

そういうことだと思います。


では、数学教育の話。


Q1 あなたは演習問題が好きですか?
Q2 なぜ演習問題をやらなきゃいけないの?


もしあなたが教育者なら、学生のこの問いにどう答えるでしょうか。

私は大学などで基礎学力養成講座といった場に立ちます。

ひと昔前は「リメディアル教育」いった言葉で表現される場です。

極めて基礎的な内容をわかりやすく解説し、計算問題や演習問題を解いてもらう講義です。

問題があり、正解がある。

はっきり「×(バツ)」と「◯(マル)」が存在する。

正解のないビジネス数学が専門の私にとって、唯一の「違う分野の仕事」となっています。


そんな私は、このような講義において「なぜこの単元を学ぶのか」「なぜ演習問題を解くのか」を論理的に説明し、理解させてから問題を解かせます。

教育者はそれを学ぶことが当然と思っています。

それが学生のためになると信じて疑っていません。

しかし学生はそうではありません。


なんでこんなことやんなきゃいけないの?」と思っています。

「こんな問題を解いて何の意味があるの?」と思っています。

「先生の解説でもう理解できました。なのになんでボクが演習問題なんて解かなきゃいけないの?」と思っています。


その問いに答えていないのに、「いいから解け」という教育者がいないことを祈ります。なぜなら、このような問いを持てる学生こそ、優秀で伸ばしてあげたい学生だからです。


ではひとつ例を。

なんで損益計算なんて勉強しなきゃいけないの?

なんで演習問題なんて解かなきゃいけないの?

ちなみに来週、某女子大でする講義の資料(一部)です。


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あなたは、どうやって「つなぐ」をしますか。




参考までに。『わけるとつなぐ』(ダイヤモンド社)





ビジネス人教育、講師養成、作家、独自の数学でいろいろやっています。

あなたのお役に立てるものがあれば幸いです。


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