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東京モーターショー:ぜんぜんモビリティ革命じゃないじゃん

東京モーターショーが開幕している。モビリティ革命によってモーターショーの役割が変わってきている。今年は輸入車がほとんどでない。期間中来場者100万人を目指す。など、いろいろ話題に事欠かない。

分散会場となった東京モーターショー

プレスデーの取材で感じた、今回の東京モーターショー。とくに会場が有明(従来からの場所)と青海(MEGA WEBやビーナスフォートがあるところ)に分散したことによる移動ロジと、両会場をつなぐオープンロードについて考えたい。

会場の移動まず、展示会場が分散型になったことで、見たいブースや展示があるなら、下調べを入念に行う必要がある。現地の案内やパンフレット類の地図も、わかりやすいとはいえない。また、調べた範囲では、出展企業や展示車両、その他ごとのインデックスがないので、行きたいブースや目当ての展示だけあっても、どこにあるのか、を探すのではなく、まず、どこにその情報が載っているのかを探す必要がある。

いちばんの問題と、注意したいのは有明、青海会場の移動だ。方法は以下のとおり。

1 シャトルバスを使う

運行は5分間隔となっているので、タイミングがあえばこれがいちばん早いが、行列に並ぶ時間によっては、その他の移動手段より時間がかかる可能性がある。列の動き方をみて、待ち時間を予想するしかない。

ちなみにプレスデーは20分間隔の運行で、あまり実用的な移動手段になっていなかった。

2 ゆりかもめを使う・りんかい線を使う

移動としてはいちばん確実だが、平日昼間の両線のダイヤはそれほど過密ではない。タイミングが悪いと10分またされる覚悟が必要だ。ゆりかもめは編成や車両そのもののキャパが大きくないので、改札・ホーム・車両内部での混雑が予想される。

子どもやベビーカーには申し訳ないが、お勧めできない。空いていれば問題ないのだが。(ベビーカーは電車に乗るなということではなく、このシチュエーションでは子どもがかわいそうという意味だ)

3 タクシーを使う

たぶん、思ったようにつかまらない。たまたま運よくつかまったらラッキー、という以上の期待をしないほうがいい。

4 歩く

有明会場と青海会場をつなぐ、公園にもなった遊歩道が「オープンロード」として開放される。ここを歩いての移動だ。普通にあるけば20分もあれば移動できるが、途中にも展示やアトラクションがあり、人の量が多いと、急いでも30分はかかるとみたほうがいいだろう。

逆に、展示や散歩を楽しむつもりで歩くのは、オススメだ。車両展示のほか、電動キックボードやセグウェイ的なパーソナルモビリティの体験コーナー、トヨタのiROADのような一人乗り小型EVの試乗コーナーもある。これらの一部は、オープンロードの移動にも利用できる(片道利用が可能)。

移動だけが目的なら、オープンロードではなく、ゆりかもめの高架と並行する海沿いの道路(歩道)をひたすら歩くほうがよい。

モビリティ革命への程遠さ

会場間の移動は、それなり考慮されてはいるが、いまのところ自分の感想は、どれも不十分であまり解決になっていない。厳しいようだが、あえてそう言わせてもらう。

そもそも今回のモーターショーは、モビリティ社会への対応を含めた業界の在り方も考えるという題目もあったと思う。

そのためにオープンロードでパーソナルモビリティなど走らせた、と言いたいのだろうが、閉鎖区間でちょっと試乗させる程度の利用では、体験型としても弱すぎるし、すべてを制御下において運営しようという考え方も古い。

安全や防犯など考慮すべきリスクはわかるが、手軽に利用できてこそのマイクロモビリティの利用に、いちいち誓約書を書いたり、レクチャーをうけたりする必要が、本当にあるのだろうか。(すべて不要とはいわないが)

しかも、オープンロードを横切る一般道(横断歩道がある)では、電動モビリティは手押しをしなければならない)

せっかく移動のシームレスや移動のパーソナライズが広がろうとしているのに、スケボーや自転車に乗るのに、誓約書とか面倒な手続きで、しかも走れる場所も極めて限定的では、その利便性や楽しさなんて感じられようもない。ああ、やっぱりこんなのはおもちゃの域をでないな、で終わってしまう。

業界としてのMaaS革命が、いかに上辺だけで、中身がないのかが図らずも露呈してしまっている。

国土の狭い日本にMaaSは無理なのか?

100年に一度の変革ならば、業界としてもうすこしがんばって(行政も協力して)、周辺道路にセグウェイやiROAD、ツィギー(日産のチョイモビ)やその他ベンチャーのマイクロEVや超小型モビリティを自由に走らせる(当然、会場の移動にも)くらいすべきだったのではないか?

登録や利用は、それこそアプリを使えばよい。トヨタも日産もそのための実証実験を行い、アプリもインフラも開発したはずだ。こういうときに活用できないから、実験予算の消化プロジェクトと呼ばれてしまう(日産は、車両以外をe-シェアモビ事業へとつなげているが)。

せめて、電動自転車くらい臨時に大量投入できなかったのか。安全面や貸出・返却の混乱は予想できるが、入場パスに免許証情報を入力させるくらいの手間で、あとはアプリでもスタンドアローンのバーコードリーダーでもなんとでもできるはずだ。

混雑や安全性の問題は、おそらく、多くが物理的なスペースの問題に行き着くのかもしれない。お台場のような比較的歩道スペースが確保されたエリアでさえこのような規制になってしまうなら、普通の都市部や駅前では、モビリティ革命なんて不可能なのだろうか。

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