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【食べ物について】 エッセイ


貝を食べた。少しアレルギーがあるけれどなんとなくお味噌汁にして食べたくなった。

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貝にもいろんな貝がいる。たまに地方のスーパーや市場で見たこともないような貝がずらりと並んでいるのを見ると、日本の海は豊かだな(豊かであった)、そう思う。

たくさんの魚が並ぶより、海岸から続く砂という大地の続きでもあり海の中でもある場所に住む貝が並ぶ土地により豊かさを感じる。

海の水を濾過しながら生きる貝。水が悪ければ味は落ちるし、水がおいしくなければ当然味も落ちる。海の味は大地や川から染み出してくる森や山の味でもある。雨が水となり海へ滋養を運んでくる。だから海はいろんな味がする。その海の水を体に流し続ける貝は海である(カイとカイをかけてるわけではない)。わたしたちは生き物の中に詰まった海を食べる。

食べるものは大事。貝が良い海を食べることで健康な貝になるように、わたしたちの体の中もいろんな食べ物が流れ、染み込んでいくのだから、できたら良いものを食べたい。

値段の話ではなく、体に自然に染み込んでいくような食べ物。質の良いリンゴを食べるとその甘さと酸味が腸を柔らかくしていく感じがある。元気なセロリを齧ると体の水分がその分だけ入れ替わるのを感じる。感じるだけでなく、実際にそれをイメージしてみる。ありがたい、頂いた命です。そうすると自然とよく噛むようになる。噛むリズムが穏やかになり食事に時間をかけるようになります。頂いた命に向き合う時間です。

もちろん生活のリズムで時間をとれないこともあるけれど、たまに時間をかけて食べることも大事。時間をかけて食べることは食べづらいお料理を食べることにも繋がってきます。

貝や丸の魚、骨つきの肉、繊維質な野菜。多くの命は生きるために捕食されづらくなるように生きている。自然なもの、不自然なもの。無理に環境に合わせられたもの。食べづらい形の命をいただく。それは自然の意味を感じる最初の場所に立つような感覚をわたしに与えてくれる。







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