ウィーンの辻音楽師
グリルパルツァーという劇作家の短編小説を読んでいます。小説のタイトルは『ウィーンの辻音楽師』。本を開くと、もう一編『ゼンドミールの修道院』と題されたお話も載っていました。私はこちらの方から読み進めました。
圧倒的な迫力。ただならぬ感じが伝わってくるような、一分の隙もない物語です。内容は殺人、不倫、贖い、とかなり重苦しかったですが、読了後の胸の重たさは心地よく、所感としては、すごいものを読んだな、という気がしました。
感動のさめやらぬ内に、『ウィーンの辻音楽師』を読んでしまおうとページを捲り、先ほど読み終えたのですが……なんと言うべきか……、小説というよりも、宗教の聖典に触れたような清らかな心地になりました。
上で引用したのはウィーンの祭りにおける主人公の語りです。その後、とある年老いたバイオリン弾きが出てきます。主人公との会話から、その人の台詞を引用したものがこちらです。
物語というよりかは、私はこのバイオリン弾きの言葉の一つ一つに胸を打たれました。
語るのは野暮かな、と思うほど素晴らしいお話でした。こんなふうに年を取りたいと心から思います。
グリルパルツァーは劇作家なので、書いた小説というのはこの二篇のみのようです。
上手く言葉にはできないけれど、よかった。とにかくよかったです。
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