9.芝居の創作

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 ここからやっと創作活動が始まります。音楽で言えば作曲です。今の現場は時間がないのか予算がないのか脚本家も演出家も役者も皆で既存のコード進行を使いまわしているように見えます。役者のやるべき作業を知ると、役者は作家並みの発想力が必要だとわかります。一番大切なパートであるにも関わらず、日本のドラマでは軽視されすぎている「創作」について、イメージをわかりやすく伝えたいと思います。ここが一番つらいかもしれません。ここを「面倒だ、それでもやりたい、やらずにいられない」と感じるなら長く続けられます。そうでなければ役者より楽しいと思える仕事を別で必死に探してください。必ずあるはずです。
 同時に、この部分を味わないで、役者が自分に合っているかどうか判断するのは本当にもったいない。もし、ここまでたどり着くのが難しいのであれば、どうか、他の手を借りてでも、一度味わってから別の道に進んでください。もし、この場所がとても楽しいと感じられるのならば、前の部分の面倒な段階を勉強する覚悟ができるかもしれません。

 ずっと昔、旅番組のディレクターとして、秋田のヤツメウナギの漁師のおじさんに取材しました。おじさんは漁をする以外は酒を飲んでいて、ほとんど話をしてくれませんでした。私が20代女であるという事で、責任者は年をとったおじさんのカメラマンだと信じていました。(もしかして最後まで思っていたかもしれません)そんなおじさんが私の質問に短く答えてくれたのが忘れられません。
漁をしていて
一番つらい時はいつですか。「……5月」
一番楽しい時はいつですか。「……5月」
5月はおじさんの漁場の一番忙しい時期でした。仕事はそうであるのが、一番だと思います。

 話を戻します。では、この芝居の創作活動をしなかった場合と行った場合のイメージを音楽、料理、洋裁を使って伝えたいと思います。日本でプロとして十分稼いでる方ででもここまでやっている方は数えるほどじゃないかと感じています。

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