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新しい視点のための徒然

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小さな発信だけど、あたらしい視点を得られるような記事を目指して。
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#演技論

クライマックスでない地味なシーンの演技について考えてみる。

 皆さんはどんなきっかけで映画を見ますか。多くの人が制作陣、脚本、役者で見るんでしょうか。または何等かの賞、テーマに興味がある+予告編。なんて場合もありあすよね。私は脚本家とプロデューサーがとても気になります。あとは親しい人がおもしろいよ、と言った場合。  トランスジェンダーの草彅さん?おもしろそう!と予告編をみた映画がありました。「日本アカデミー賞」で評価された作品。  予告編を見て、見たいと感じなかった理由を考えてみました。単純に、予告編にそそられなかった。なぬ、と思

演技のオーディションはどの技能を試すべきなのだろう

 知人が携わっているので、いくつか見た事があったのがabemaTVのいわゆるティーン向けの「恋愛リアリティーショー」。役者が番組内の恋愛ショートムービーの主役の座をオーディションで競い合います。無論、番組の本筋は恋が生まれるかどうか、ですが。私の気にかかったのは無論、演技の方。    もう終わってしまった過去のシーズンの中(現在無料で見る事はできません)で興味深い話を聞きました。ある回のお話のオーディションで4組中3組が解釈を間違えて泣かんでいいとこで泣いた、そうです。で、

首の演技

 おもむろに見たネットフリックス『プリジャートン家』がすごかった。    ハーレクインな脚本の甘さや主人公の相手役のセクシーな俳優さんの実力不足(ただし、性の表現についてはすごく難しい塩梅を見事こなしていて、これはシンプルにすごい。無論、ここに関しては演出もいろんな意味ですごい)をスーパービッグ予算でもって、全ての見た目、音楽、新しい挑戦でぶっ飛ばしています。コロナな雰囲気に花火を打ち上げているようです。ロンドンが舞台ですが、アメリカンな雰囲気です。心に静かに刺さるようなもの

演技の「泣く」について、少し考えてみる。

 「泣く」のが苦手です、と若い役者さんに相談された事がありました。  気持ちはすごくわかるけど「『泣く』のが苦手」という悩みそのものについて考えてみる必要がありそうです。  どこかの漫画で読んだ、好きな言葉の一つに、正しい質問には解が含まれている、というような表現があります。そうだなあ、としみじみ。「『泣く』のが苦手」は解にたどり着くまでには遠すぎる「まとめ」。悩みを言い換えて、解決までの道を整備してみよう。  まず、「泣かななきゃ」と生理現象と捉えると本来必要ないプレッ

演技の現場で意見の食い違う時の対処法の提案

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。  作家の方々などが、話しを作っている時に勝手にキャラクターが動きだす、とか、話し出す、というのは誰もが聞いた事ありますよね。ちょっと聞くとなんか恰好いいですが、私の場合は、困った方向に発動する事が多い。個人的には創作活動の中で最も楽しくて、最も難しい瞬間の一つです。  例えば、想定の範囲で「勝手に」動いてくれる時。急にお母さんが息子の頭に手を置いて、ぐるぐる頭を回し始めて、二人でふふふと笑ったりします。かわい

どんなセリフで演技の練習をしようか。勝手に考えたおすすめの演技創作練習法。

グレイズアナトミー1-1より。31’ あたり。  ある手術で男性が亡くなります。手術前、安易に手術はうまくいく、と家族に「約束」したインターンを執刀医が責めています。そんな約束をできるのは神だけだ、と。  見られる方は是非、シーンを見てから記事を読んでください。得るものが少し増えるはずです。(ネットフリックスで見られます) ここで執刀医のセリフを見てみましょう。字幕翻訳は  「約束した奥さんに 旦那の死を伝えろ」  ここから読みとれるのは、シンプルに命令と(表情から)怒り

こすってはいけない

 ここで何度も言ってきたけれど表現は「こすってはいけない」。(詳しくはこちら)最悪、こする時は新しい意味が生まれるよう、意図してこする事。  私が脚本を書き始めたの同時、それを知った友人が彼女の母上の貴重な嘆きを教えてくれました。 「清掃員のおばさんがおしゃべり」のキャラが嫌。  当時、彼女のお母さんは某デパートで清掃の仕事をしていました。そして、サスペンスドラマによく出てくる「おしゃべりな清掃員」にもやもやしていたのです。「私はあんなしゃべりません!」というわけです。ごも