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3代悲願の鐘楼堂建立 善光寺東海別院

※文化時報2020年12月9日号の掲載記事です。

 善光寺東海別院(林敬順住職、愛知県稲沢市)は11月28日、3代にわたって悲願だった鐘楼堂を建立し、落慶法要を営んだ。朱色の鐘楼堂に吊るされ、金箔が施された高さ2㍍の梵鐘を林住職が突くと、集まった参拝者らは「大きい音」と喚声を上げた。

 善光寺東海別院は1910(明治43)年、1本の茎から二つの花が咲いたハス田を機縁として、信州善光寺(長野市)の別院として開基された。他の善光寺などと同様、参拝者を幅広く受け入れようと単立として運営されるが、本院の根福寺は2007(平成19)年に天台宗寺院となっている。

 同寺で、本格的な鐘楼堂が建てられたのは初めて。2代目住職で林住職の父・旭山(きょくざん)師が発案した梵鐘は、高さ2㍍、口径約1.3㍍。人間国宝の長野垤志(てつし)氏が手掛け、1955(昭和30)年に完成した。仮の鐘楼堂を建てたが、59年の伊勢湾台風で倒壊し、61年の第2室戸台風で本堂屋根が壊されてから修復が2008年までかかったため、本格的な鐘楼堂を建てられない状態が続いていた。

 善光寺東海別院は、信州善光寺や全国の別院など6カ寺とそろって7年に1度の本尊ご開帳を行っており、初の鐘楼堂は2021年に予定されていたご開帳の記念事業として発願した。「梵鐘にふさわしい鐘楼堂を」と懇志を募り、比叡山延暦寺の鐘楼堂をモデルに設計。総工費約1億円で完成した。

 ご開帳は、信州善光寺が新型コロナウイルスの影響で1年の延期を決めたため、22年4月3日~5月29日に行うという。

 法要後、林住職に続いて来賓として鐘を突いた村上圓竜天台宗宗議会議員は「3代にわたってつながれてきた思いを強く感じた」と感想を話した。

 林住職は「開基からの思いを無事に受け継ぐことができた。幸せと平和を願う鐘としたい。今後は参道などを整備できれば」と語った。

善光寺東海別院法要

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