宗教記者七つ道具 専門紙を作る仕事の流儀
こんにちは。宗教専門紙「文化時報」編集局です。
文化時報の記事を書いているのは、宗教記者と呼ばれる専門の記者たちです。いわゆる一般紙の記者とは共通点もあれば、相違点もあります。
ではどんなところが同じで、どこが違うのでしょうか。私たち宗教記者が普段持ち歩いている「七つ道具」を紹介することで、その仕事ぶりを知っていただければ、と思います。
①ペン
「ペンは剣より強し」という格言があります。言論は暴力に勝る、という意味です。
平和を希求する宗教を取材するからには、なおさら大切にしたい言葉です。というわけで、七つ道具の一番目は、ペンです。
書きやすさで同じメーカーのペンを使い続ける記者、「弘法筆を選ばず」とばかりに、こだわりを持たない記者。
十人十色です。
②ノート
ペンと同じく、ノートも千差万別です。
ポケットに入る小ぶりなものからA4判の大きなものまで、使うサイズも、記者によってさまざまです。
ノートは種類よりも「取り方」に個性が出ます。
これと定まったノート術があるわけではなく、誰から教わるわけでもないので、各自で工夫しています。
③数珠(念珠)
これは一般紙の記者にはない持ち物でしょう。
宗教記者は法要を取材する機会が多いので、数珠(念珠)を持ち歩いています。
一般の取材でも、お寺を訪ねる際は、可能な限りまずご本尊にお参りしてから、取り掛かるようにしています。
信仰への尊重なくして、取材はあり得ません。
④腕章
映画やドラマに出てくる新聞記者は、事件現場や記者会見でよく腕章を着用していますが、日常の取材活動で身に着ける機会はほとんどありません。
しかし、宗教記者は比較的よく使います。
法要のとき、お堂の中を動き回って撮影するからです。
腕章で身分を明かしつつ、僧侶や参列者の邪魔にならないよう心掛けています。
⑤カメラ
「弘法筆を選ばず」とはいかないのが、カメラです。
スマートフォン内蔵のものも性能が良く、新聞写真には十分使えるのですが、法要やインタビューなど暗い屋内での撮影には、できれば一眼レフが欲しいところ。
プロのカメラマンに負けじと、ニュース写真をお届けしています。
⑥ICレコーダー
これもカメラ同様、スマートフォンで代用可能ですが、持っていた方が絶対に便利です。
講演やインタビューはもちろん、高僧の発言は、短いあいさつでも録音します。
一言一句を聞き逃すのが惜しいからです。
通常は確認用で、全編を聞き直すことはほとんどなく、外部に音源を流出させることもありません。
⑦パソコン
七つ道具の七つ目は、パソコンです。
これまでの六つは取材のための道具でしたが、パソコンは、原稿作成と送信に使います。
締め切り間際に、現場で原稿を書いて送ることは、宗教記者にもあります。最近はずいぶん軽量化されたとはいえ、毎日持ち歩かねばならないのです…。
番外編・記者ハンドブック
ここからは番外編です。
ご紹介するのは『記者ハンドブック―新聞用字用語集』(共同通信社)。
漢字かひらがなか、洋数字か漢数字か、西暦か和暦か。紙面では記事の表記を統一しておかねばなりません。
文化時報はこのハンドブックに準拠しているので、記者たちに常に参照するよう求めています。
宗教用語はあまり掲載されていませんが…。
番外編・腕時計
もはや七つ道具では収まりません。九つ目は腕時計です。
何か大きなことが起きたとき、時刻を正確に記録することが新聞の役割でもあります。
スマートフォンや携帯電話でも時間はわかりますが、「今何時?」「そうねだいたいね~」では困るのです。
「この腕時計は時間がわかる」
それが一番。それで十分。
番外編・ネクタイ
記者の服装は自由、というイメージがあるかもしれません。
「クールビズ」が定着して久しく、男性のネクタイは不要、と考える向きもあるでしょう。
しかし、宗教記者にとっては必需品です。取材する神事や法要で、ノーネクタイは失礼に当たります。
誰に対してでしょうか。神職や僧侶、他の参列者のためでしょうか。
それもありますが、むしろ、神様と仏様への礼儀だと考えています。
番外編・名刺
昔は「名刺一枚で誰にでも会える」と言われました。それが記者という職業である、と。
今は違います。名刺だけでは、誰も相手にしてくれません。
この記者はどんな人物なのか。何を書いてきたのか。
それが厳しく見定められるからこそ、己の腕が頼りです。
◇
いかがでしたでしょうか。宗教記者の仕事ぶりの一端をお分かりいただけましたでしょうか。
私たちはこういう「七つ道具」を使い、寺社仏閣や宗教の現場を取材して、記事を書いています。少しでも興味を持っていただいて、「スキ」や「フォロー」をしていただけるとうれしいです。
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