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学習塾をお寺に 誘致したのは京都の法衣店

※2021年4月19日号の掲載記事です。

 京都の法衣店が、学習塾をお寺に誘致する活動を始めた。寺子屋としての機能を回復させたい寺側と、人間教育を重視している塾側の思惑が一致。今月、2カ寺で相次ぎ開校した。保護者を含めて、お寺に入ることへのハードルを下げる狙いもある。(大橋学修)

いい影響、集中力つく

 母親の自転車から降ろされた年長クラスの男児は、物おじすることなく、自分からすたすたと本堂へ上がり込んだ。9日に開校した「花まる学習会」明覺寺教室(京都市下京区)。体験教室で1度来たことのある子どもだった。

 柱本惇住職は「子どもは柔軟。『行ったことがあるお寺』と思って、自然と出入りするようになってくれれば」と話す。

 明覺寺教室には、5歳児対象の年長クラスと小学1~3年生クラス、小学4~6年生クラスが設けられた。このうち年長クラスでは、幼児4人に講師2人が対応。積み木を用いた学習などに楽しみながら取り組んだ。

 保護者の瀬戸康夫さんは「周りに気を取られずに集中している。お寺では、普通だとできない体験をさせてもらえそう」と話した。

 「花まる学習会」の関西ブロックを統括する鈴木和明さんは、寺院が持つ「場の力」が学習にいい影響を与えると感じている。「仏様の前で心が落ち着くのは、大人も子どもも同じ。大人の働き掛けがなくても、子どもたちがリラックスしている」と語った。

関連産業が役立つことを

 「花まる学習会」は、株式会社こうゆう(さいたま市浦和区)が運営。今月、浄土真宗本願寺派の明覺寺と、臨済宗大徳寺派大本山大徳寺の塔頭、雲林院(京都市北区)に教室を設けた。

 塾とお寺を結び付けたのが、株式会社昌慈法衣店(京都市北区)の昌子久晃さん(41)。小学生と幼稚園児の男の子3人の父親でもある。独自の教育プログラムで意欲と思考力を伸ばす教育方針に感銘を受け、「何とかわが子を通わせたい」と考えた。

額十塾をお寺に1

誘致した昌子さん(右)と柱本住職

 2019年5月、臨済宗妙心寺派大本山妙心寺の塔頭、壽聖院(じゅしょういん、京都市右京区)に開設されたが、自宅から通える距離ではなかったことから、開設記念の講演会に駆け付け、こうゆうの高濱正伸代表に直談判。寺院への誘致に取り組むことを了解してもらった。

 元々知人だった柱本住職は、以前から学習塾を開きたいと考えていたという。「受験を目的とした学習塾と違って、人間力を高めようとしている点に共感した」と話し、「子どもたちに親しみを持ってもらえれば、将来もお寺に来てもらえる。保護者とも接点が持てる」と期待する。

 昌子さんは「お寺が地域に必要とされる存在であるから、私たち関連産業も生きていける。これからも、お寺の役に立つことをしていきたい」と話している。

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