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若手芸術家にアトリエ 大本山萬福寺

※文化時報2021年11月1日号の掲載記事です。

 黄檗宗大本山萬福寺(京都府宇治市)は、倉庫となっていた旧茶店を、ギャラリーとカフェを兼ねた「香福廊(こうふくろう)」にリニューアルした。若手芸術家に一定期間アトリエと居住環境などを提供した上で、参拝者へ向けて作品の制作過程を公開。現代アート市場の活性化を図る狙いだ。(高田京介)

 萬福寺は、来年迎える開山・隠元禅師350年大遠諱記念事業の一環で、法堂や伽藍堂など計4カ所を整備。境内の修復事業に伴い、各堂内に納められていた諸仏像を収蔵する倉庫として、昨年まで旧茶店を用いていた。

 今後の活用を検討する中、現代芸術の支援の一環で、芸術家に長期滞在してもらって交流や創作環境の向上を図る「アーティスト・イン・レジデンス」と呼ばれる取り組みに着目。新型コロナウイルス感染拡大で出展の機会が減った若手芸術家から参加者を募り、6月にオープンした。

 香福廊には、京都市北区の幸山ひかりさん(28)と大阪市平野区の監物紗羅さん(29)が滞在。ドリップコーヒーを片手に、両者が専門とする日本画の鑑賞ができるほか、アトリエを開放し制作過程を公開する。限定の御朱印も授与し、幸山さんが参拝者の要望に合わせて作画する。

萬福寺写真①

要望に合わせて作画した御朱印を授与するほか、アトリエも公開する

 幸山さんは「自然豊かで伝統ある萬福寺での創作は、今後の活動にも生かせる」。監物さんは「自宅で制作していたが、閉塞感を覚えていた。広くて高い天井で、創作活動の幅が広がった」と話した。

 萬福寺の吉野弘倫主事は「カフェの売り上げの一部が芸術家に還元され、作品の販売も行っている。芸術家の支援は黄檗文化の活性化にもつながる」と手応えを語った。

 営業時間は午前10時~午後4時半。水曜定休(2人が不在の場合は休業)。問い合わせは大本山萬福寺(0774-32-3900)。

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