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メモオフ「音羽かおる」シナリオ考察。

 一昨日クリアしたメモリーズオフの音羽かおるちゃんについて思ったこと。

 かおるは智也のクラスメートである。最近転校してきたばかりで、席は智也の隣。気持ちはとてもいい子で、さばさばしているという表現が最もよく似合う。時折寂しそうな横顔を見せるが、その理由はわからない。

 智也とかおるは、お互いに勉強を教えあうことで距離を縮めていく。この作品中で、一番高校生らしい付き合いをしているように思う。自然で、実際にありそうな展開だ。

 物語は、かおるルートに入ってから動く。(以下ネタバレ)
 彼女と一緒に映画を見に行く智也。かおるは、映画の最後に流れるスタッフロールを見て激しく動揺する。それがなぜなのかは、次第に明かされていく。
 かおるには、転校してくる前の土地で付き合っていた彼氏がいたのだ。5歳年上とあったが、大学生だろうか。その彼が映画関係の仕事を目指していた。名前がスタッフロールにあったのだ。
 かおるは、彼との別れに後悔があった。具体的に何があったのかはわからない。彼女の中の動揺は、それを吹っ切れていないところにある。
 かおるは智也に惹かれている。だから洗いざらい元カレとのことも智也に話す。智也も彩花のことをかおるに打ち明ける。過去に想いを残しているという共通点を持つふたり。
 やがてかおるは元カレに再会し、どのような話し合いがもたれたのかは描写されないものの、一応の決着を見るかたちで智也の彼女になるのである。

 ここまで展開をまとめてきたが、わたしが引っかかったのは、智也がかおるの元カレに対してあまり嫉妬していない様子をみせるところだった。
 元カレはかおるに(おそらくは)会うために彼女の住む町までやってくるのだから、話の内容など気になることも多いだろうに、智也はあっさりと彼らを二人きりにしてしまう。
 大人といえば大人だが、智也はあまりかおるに執着していないのだろうか。もしくは、執着するところまで関係が深まっていないのか。諦めが混じっているのか。
 答えは出せないが、そのすべてなのかもしれないと私は思う。智也のなかでは、彩花を失ったことで何かが死んでいるのだ。

 かおるはおとしまえをつけて、智也との道を歩き始めたのだから、それでいいとは思うけれど(こういうことは一般的に女性のほうが切り替えが早い)、よくわからない点もあるシナリオだった。
 ノベライズには書いてあることなのだろうか。手元にないので検証できないのが残念だ。


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