- 運営しているクリエイター
2021年4月の記事一覧
チラシ配りのうた 2
おばさんはどんな恰好でチラシ配りの面接にいけばいいのだろう。
まさかスーツではいけないしな。まだまだ暑いしな。汗かくしな。でもちょっとは決めとかんとな。落ちたらカッコ悪いしな。
こういうところが我ながら困るところである。思案し始めるときりがない。白と黒でいこう。髪はきっちり縛って。ちょっときりりとした顔で。チラシ配りの面接に行こう。
面接を受けるのは、こわい松浦教授に泣かされ、ハンカチを貸し
チラシ配りのうた 1
それはずいぶん前のこと。
*****
夏のおわりに50歳になった。ああ、年寄りになったのだと思った。自意識が過剰気味の自分にとっては、なにかが取っ払われたような、肩のあたりがふっと楽になるような感じでもあった。
ではあったが、同時にこころもとなくもあった。更年期のこころは振り子のように振れるのだ。
思いがけずよい出会いに恵まれながら、それを生かしきれず、何者にもなれず、ただ漫然とこのまま、
キルトに寄せて 〜そんな日のあたしのアーカイブ〜
♡おんなたちの旅
友人のキルト展で、見事に並んだパッチワークキルトの大作を眺めながら、それに費やされた時間を思った。それに向き合うおんなのひとの気持ちを思った。
完成するまでの長い長い時間、日々は明け暮れ、晴れた日ばかりでなく、額が曇る日もあったにちがいない。
こころ晴れやかな日、その単純な作業の繰り返しのなかで、どんな光景を思い出していたろうか。頬に笑みなど浮かべたろうか。
沈みがちの日
注意深く節度ある振る舞い
2006年04月18日の朝日新聞には大江健三郎さんの「定義集」という記事があった。そのなかのこと。
*****
障害があり成人病のきざしもあるご子息の光さんと大江さんは歩行訓練のため遊歩道を歩く。 その歩行訓練中に光さんが石に足を取られて転んでしまう。光さんも大江さんも動転してしまう。
大江さんが光さんの上体を起こし、柵に寄らせる。それはもたもた頼りない動きに見えた。
そこへ自転車でや