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ライター×編集者×研究者のユニット「BUNBOU」が運営するnote。 文化・芸術・言葉を軸に、日本とアジアをつないでいくことをめざしています。

マガジン

  • 連載「東京消費」sandz

    食・ファッション・工芸――。東京には国内のみならず世界各地から洗練されたものが集まる。「消費」には必ず対価がある。洗練されたものを手に取り、比較し、楽しむ。幾ばくかの使えるお金があれば、東京は今なお世界でも有数の楽しめる都市だ。  インバウンドが徐々に戻り、アジアの大国・中国からも大勢の観光客が来日しつつある。〝爆買〟の時代は終わった。これからは、まだまだ広くは知られていないが、洗練されたものを探し求める時代だ。  中国語と日本語を話し、東京を消費によって楽しむsandz。この連載では、sandzが日々楽しむ食・ファッション・工芸を紹介する。

  • 連載「本を包む」カラサキ・アユミ

    ブックカバーのことを、古い言葉で「書皮」と言う。書籍を包むから「書」に「皮」で「書皮」。普通はすぐに捨てられてしまう書皮だが、世の中にはそれを蒐集する人たちがいる。  連載「本を包む」では、古本愛好者のカラサキ・アユミさんに書皮コレクションを紹介してもらいつつ、短文のエッセイを添えてもらう。更新は毎月5日と20日を予定。

  • 連載「中国茶のある暮らし」澄川鈴

    「中国茶のある暮らし」には、2つの意味が込められています。 日本の暮らしで中国茶をもっと気軽に楽しむこと。そして、お茶を通して見える中国の市井の人びとの横顔。 歴史に磨かれた豊かな中国茶の周辺を、中国政府公認高級評茶員・高級茶藝師の澄川鈴さんが綴ります。(毎月更新)

  • 連載「タイBL考現学」福冨渉

    BLを切り口に、現代タイ社会のさまざまな変化や課題、タイの若い人々のカルチャーに触れる連載。書き手はタイ文学研究者・翻訳/通訳者である福冨渉さんです。

ストア

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    単行本『順茶自然』澄川鈴著

    〈内容説明〉 大阪・高槻市で中国茶教室を営む澄川鈴(中国政府公認評茶員・茶藝師)が、これまでに得た〝茶縁〟の数々を綴る。茶を通じて等身大の中国やそこに生きる人々の息づかいが見えてくる。note「BUNBOU WEB」での連載が部数限定で単行本化! ※ 本書はnoteでの連載を改稿したものです。内容については、下記の〈目次〉と画像にある「はじめに」をご覧ください。 〈目次〉 はじめに/水餃子とおばあちゃま/ラサ行きの寝台列車/私はあなたにキスします/儀式っぽさが大事なのよ/つながる〝茶縁〟/中華風素麺の味/未修復の〝万里の長城〟/ネットショッピングの思い出/山水は上から汲みなさい/ドラえもん好きの言語学者/あとがき 〈著者略歴〉 澄川鈴(すみかわ・れい) 兵庫県生まれ。大学卒業後、輸入商社で香港発ホテルブランド食品部門のスーパーバイザーとして従事。中国茶の販売を通して中国茶に興味を持ち、学び始める。2009年中国安徽農業大学で中国政府公認評茶員・茶藝師の資格を取得。その後「現地の言葉で中国茶文化を理解したい」という思いから、2012年2月より北京語言大学へ留学。2017年7月修士課程修了。帰国後は「気軽に手軽に中国茶」をモットーに中国茶講師として活動する。華文教師証書取得(2017年)。現在はオンラインで中国語講座を開講中。2020年3月に、大阪府高槻市内の福寿舎2階・蓮室に中国茶教室 時々茶席「鈴家-suzuya-」を開店。 〈情報〉 書名:『順茶自然』 著者:澄川鈴 ページ:96ページ 製本:上製本 サイズ:四六判変形(188×123mm) ISBN:978-4-9912834-0-6 2023年3月下旬刊行
    2,750円
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    単行本『順茶自然』澄川鈴著

    〈内容説明〉 大阪・高槻市で中国茶教室を営む澄川鈴(中国政府公認評茶員・茶藝師)が、これまでに得た〝茶縁〟の数々を綴る。茶を通じて等身大の中国やそこに生きる人々の息づかいが見えてくる。note「BUNBOU WEB」での連載が部数限定で単行本化! ※ 本書はnoteでの連載を改稿したものです。内容については、下記の〈目次〉と画像にある「はじめに」をご覧ください。 〈目次〉 はじめに/水餃子とおばあちゃま/ラサ行きの寝台列車/私はあなたにキスします/儀式っぽさが大事なのよ/つながる〝茶縁〟/中華風素麺の味/未修復の〝万里の長城〟/ネットショッピングの思い出/山水は上から汲みなさい/ドラえもん好きの言語学者/あとがき 〈著者略歴〉 澄川鈴(すみかわ・れい) 兵庫県生まれ。大学卒業後、輸入商社で香港発ホテルブランド食品部門のスーパーバイザーとして従事。中国茶の販売を通して中国茶に興味を持ち、学び始める。2009年中国安徽農業大学で中国政府公認評茶員・茶藝師の資格を取得。その後「現地の言葉で中国茶文化を理解したい」という思いから、2012年2月より北京語言大学へ留学。2017年7月修士課程修了。帰国後は「気軽に手軽に中国茶」をモットーに中国茶講師として活動する。華文教師証書取得(2017年)。現在はオンラインで中国語講座を開講中。2020年3月に、大阪府高槻市内の福寿舎2階・蓮室に中国茶教室 時々茶席「鈴家-suzuya-」を開店。 〈情報〉 書名:『順茶自然』 著者:澄川鈴 ページ:96ページ 製本:上製本 サイズ:四六判変形(188×123mm) ISBN:978-4-9912834-0-6 2023年3月下旬刊行
    2,750円
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    蓮の暗号: 〈法華〉から眺める日本文化

    東晋平
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    法華衆の芸術

    高橋伸城
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    芸術論

    達男, 宮島

最近の記事

東京消費 #12=完 「中国茶会」sandz

 ついに最終回を迎えてしまった。まさか、本当に1年も続けられるとは思わなかった。ありがたいことに、毎回更新するたびに感想を伝えてくれた友人や、取り上げた商品を手に取ったり、購入したりしてくれた読者の方もおられる。「さんずさんの連載のおかげで新しい世界を知るきっかけになりました、ありがとうございます」とコメントを頂戴したときは、心の底から嬉しかった。  自分が大切にしているものや、生活の一部になっているものを、誰かと共有でき、なおかつその喜びを分かち合えるというのは、普通に暮

    • 東京消費 #11 食「サラダ」sandz

       思えば、ひとり暮らしで働きながら自炊をする生活もずいぶん長くなった。僕は、単身世帯にしては毎日しっかり食事を準備するタイプだと思う。  とはいえ、勤めの仕事なので調理において〝時短〟はとても大切。そんな僕にとっての主力の副菜はリーフサラダである。なるべく休みの日に伊勢丹新宿店のデパ地下でリーフレタスミックスをまとめて購入し、数日分をストックしている。  僕にとってのリーフサラダの利点はおもに2つ。1つは彩りの良さで、もう1つは味の複雑さだ。リーフレタスミックスのお気に入

      • 東京消費 #10 筆記具「万年筆」sandz

         中国に「字如其人」という慣用句がある。字は人なり――。日本でもよく「字(書)は体を表す」と言われたりするけれど、この手の言葉で最も有名なのは中国前漢時代の文人・揚雄の「書心画也」(書は心の絵なり)と、唐の書家・柳公権の「心正則筆正」(心正しければ則ち筆正し)だろう。  今回は学生時代から愛用している万年筆を取り上げる。おもに中国語の学習において、僕はこのウォーターマンの「メトロポリタン」を使い倒した。  日本のデジタル化が遅れていることは、基本的にはネガティブな話題とし

        • 東京消費 #9 修繕「金継ぎ」sandz

          「大量消費」を支えた発想のひとつに「使い捨て」がある。使っては捨て、壊れては捨てる。「消費」が前面に出過ぎた結果、長らく「愛用」や「愛玩」が影を潜めてしまっているのではないだろうか――。  それは自宅でひとり、ゆっくりと中国茶を飲んだ日のことだった。トラブルは何気ない日常に起きる。嗜好の時間を終えて茶器を片付けようとしたその瞬間、手を滑らせて茶杯を落としてしまい、それが蓋碗にぶつかってしまった。どれもこだわりがあって買った茶器である。すぐにそれぞれを確認すると、落とした茶杯

        東京消費 #12=完 「中国茶会」sandz

        マガジン

        • 連載「東京消費」sandz
          12本
        • 連載「本を包む」カラサキ・アユミ
          24本
        • 連載「中国茶のある暮らし」澄川鈴
          13本
        • 連載「タイBL考現学」福冨渉
          1本
        • 連載「現代アジアの華人たち」河内滴
          12本
        • 連載「黒の深淵」岡崎素子
          4本

        記事

          東京消費 #8 中国茶(下)「白茶」sandz

          〈中国茶(上)「茶摘み」の回はこちら〉  午前と午後に合わせて3時間ほど、ひたむきにお茶の葉を摘んで、でき上がった茶葉はたったの64gだった。お茶を一度飲むのに3.5gの茶葉を使うとしたら、20回分にも満たない量。でき上がった茶葉を手に持ってみて、その軽さに改めて製茶の大変さを痛感した。  もちろん、北京で茶市場などに足を運ぶようになるとすぐに、製茶の大変さを情報として耳にするようにはなった。それでも、茶畑に足を運び、汗をかいて手を動かしてみて初めて、情報に手触りの感覚が

          東京消費 #8 中国茶(下)「白茶」sandz

          東京消費 #7 中国茶(上)「茶摘み」sandz

           鬱蒼とした低木に囲まれた小道を抜けると、そこには東京の都心部では決して見られない光景が広がっていた。整然と刈り揃えられた茶畑と、眼下に広がる見渡す限りの緑――。  北京留学中に中国茶を飲み始めて10年余。友人からの誘いを受け、10月中旬に初めて茶畑を訪れた。  そもそも僕が中国茶を飲み始めたのも、その友人の勧めがきっかけだった。彼女は中国茶を学ぶために30歳を過ぎてから仕事を辞めて北京に渡った。僕の留学が始まった2012年、僕と彼女は大学の授業で知り合い、意気投合し、そ

          東京消費 #7 中国茶(上)「茶摘み」sandz

          東京消費 #6 香水「FUEGUIA 1833」sandz

           香りに紐づいた記憶というものがある。 「気になる香水があるんだけど……」と、当時付き合っていた彼に誘われて、僕はその店を訪れることになった。  六本木のグランドハイアット東京。広々としたロビーから少し奥に進むと、重たく濃密な香りが徐々に立ち込めてくる。  香りのもとをたどると、格子入りのガラス壁の奥に濃紺を基調とした店内が見えてくる。よく見てみると、抑制的なスポットライトに照らされた金色の文字が外壁にぼんやりと浮かび上がってきた。「FUEGUIA 1833」――。

          東京消費 #6 香水「FUEGUIA 1833」sandz

          東京消費 #5 ファッション「ETRO」sandz

          「良かったら今度、ETROの銀座本店に一緒に行ってみない? 店員さんに知り合いがいるんだよね」  大学時代の友人から突然、そんな連絡が来たのは数年前のこと。二つの意味で驚いた。一つはそのままで、友人の知り合いにETROの店員がいること。もう一つは、その友達は絶対にETROなんて着ないタイプの女性ということ。  だとしたら、なんで彼女が僕をETROのお店に誘ってくれたのか。理由は簡単で、大学時代から僕が〝ETRO好き〟を豪語してきたからだ。僕たちはとても仲が良かったから、こ

          東京消費 #5 ファッション「ETRO」sandz

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第24回=完 「モダンガールの寄り道」

           着物姿の女性がソファに腰掛け本を読んでいるシルエット。なんと優雅でお洒落なデザインだろう。  銀座の一等地にかつて存在した老舗書店で使われていたブックカバーと知って納得している。  この近藤書店は明治16年、初代の近藤音二郎が草創期の銀座4丁目交差点近く、現在の三越の左端に出店したのが始まりだ。その後、何度かの移転を経て、昭和56年に同一経営で隣接していたイエナ洋書(昭和25年創業)とともに銀座5丁目に新しくできたビルに移り、和洋書の総合書店となった。それ以降は、閉店す

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第24回=完 「モダンガールの寄り道」

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第23回 「夏読書のすすめ」

          「夏休み」という言葉を聞いて人は何を思うだろうか。どんな記憶を浮かべるだろうか。  それは、子供時代や学生時代にさよならを告げた大人にとってはほろ苦さや甘酸っぱさを纏う言葉かもしれない。  今回紹介するのは1978年夏に全国の書店で流通した新潮文庫の広告ブックカバーである。  毎年夏休みのシーズンになると、各出版社による文庫の販促が書店で目立つようになる。とりわけ、1976年から始まり47年もの歴史がある「新潮文庫の100冊」のキャンペーンは、本好きなら誰しも一度は見か

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第23回 「夏読書のすすめ」

          東京消費 #4 コーヒー「KhazanaCoffee」sandz

           お金と時間を上手に使う。無駄使いをしないだけでなく、使うときには惜しみなく使う。それが日常における〝豊かな消費〟だと僕は考えている。  つい先日、手挽きのコーヒーミルを買った。1867年にドイツで創業されたZASSENHAUS(ザッセンハウス)という老舗コーヒーミルメーカーのものだ。  価格は手頃に買える電動ミルの10倍ほどするが、豆を粉砕するときに手に伝わってくる感触や挽いた後の粉の粒度の均一性、それらを可能にしている刃の工業的な美しさを体感すると、価格にも納得がいく

          東京消費 #4 コーヒー「KhazanaCoffee」sandz

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第22回 「リーブルなにわの落書きコーナー」

           恐らく、このブックカバーを目にした人の大多数が真っ先に思い浮かべるであろうコメントは私と同様に「え? 札幌なのに〝なにわ〟?」だろう。1950年にこの書店を創業した浪花剛氏の苗字から取られたものであると知った時点で違和感は一瞬にして消えるのだが。  北海道の書店文化の一時代を築き、多くの人々の知的好奇心を満たしてきたこの老舗書店も今では姿を消し過去の存在となっている。  文庫本サイズのブックカバーには大小さまざまな四角形が印刷されておりシンプルながらも独特なデザインであ

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第22回 「リーブルなにわの落書きコーナー」

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第21回 「哀愁漂うブックカバー」

           ブックカバーのことを、古い言葉で「書皮」と言う。書籍を包むから「書」に「皮」で「書皮」。普通はすぐに捨てられてしまう書皮だが、世の中にはそれを蒐集する人たちがいる。  連載「本を包む」では、古本愛好者のカラサキ・アユミさんに書皮コレクションを紹介してもらいつつ、エッセーを添えてもらう。  私には特定の好きな風景というものがいくつもあって、その中には〝スーツ姿のおじさんが電車の中で文庫本を読んでいる姿〟も挙げられる。読まれているものが長編歴史小説などだったら特に良い。  

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第21回 「哀愁漂うブックカバー」

          東京消費 #3 革靴 「MEERMIN」 sandz

          「コードバン? グッドイヤーウェルト製法?」 「コードバンというのは馬のお尻の革のことで、一般的な牛革よりも丈夫なのが特徴です。グッドイヤーウェルト製法というのは……」  20歳の冬。革靴初心者の僕の素朴な疑問に対して、百貨店の店員さんはとても丁寧に説明をしてくれた。  成人式に向けて、初めてスーツと革靴を買うことになった。どうせ買うなら長く使えるものを買おう。そう思った僕は、自宅近くの図書館でスーツと革靴について調べてから買い物に行くことにした。  当時は大阪に住んでい

          東京消費 #3 革靴 「MEERMIN」 sandz

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第20回 「本読みの止まり木」

           ブックカバーのことを、古い言葉で「書皮」と言う。書籍を包むから「書」に「皮」で「書皮」。普通はすぐに捨てられてしまう書皮だが、世の中にはそれを蒐集する人たちがいる。  連載「本を包む」では、古本愛好者のカラサキ・アユミさんに書皮コレクションを紹介してもらいつつ、エッセーを添えてもらう。 「京都で暮らしてみたい」と心のどこかに漠然とした憧れを抱いて生きている京都圏外の人は結構多いのではないだろうか。 「隣の芝生は青い」という諺があるが、圏外で日常を送る者にとって、京都はそ

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第20回 「本読みの止まり木」

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第19回 「〝変わらない〟ことの魅力」

           早速だが今回紹介するブックカバー、まずは見返し部分の一文に注目してもらいたい。  購読年月日、蔵書番号を記入する項目に続き…… 〝此のカヴァーは当店のサービスとして独特の図案を以て永く皆様に御愛用して戴きたいと存じます〟 ……と、味わい深い手書き文字が印刷されている。「カヴァー」という表記に趣を感じるのは私だけではないだろう。  店側のメッセージ、それも書皮の存在意義が添えられたものを見るのはこれが初めてだった私には大変珍しく新鮮に感じられた。  高円寺の古書即売

          カラサキ・アユミ 連載「本を包む」 第19回 「〝変わらない〟ことの魅力」