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ベトナム人が漢字に目覚めるとき

こんばんは、今日動物園に行って自分と同じ名前のツルに巡り会った日本語教師、knkです。基本的に鳥類全般苦手なんですが、同じ名前と分かった瞬間愛着が湧くから不思議。


今日はそんな名前と、ベトナム人の漢字に対する興味の話。


ベトナム人は漢字が苦手です。

もともとベトナム語は中国の影響で漢字を使って読み書きをしていたので発音や意味ではかなり似たものを見つけることができますが、今は完全に漢字が撤廃されてアルファベット表記なので、漢字は全く新しい文字として勉強しています。そして、見慣れない文字は度々彼らを苦しめます😓 


そんな彼らでも、漢字に開眼(?)することがあります。それは、

少し漢字を勉強してきたころ、

そして初級の文型で「〜は…という意味です」を勉強するとき。


ここで、私が必ず聞く質問。

「皆さんの名前は何という意味ですか?」


一生懸命説明してくれる学生たち。逆に「意味はありませーん」という子も。まあ、名付けの文化はそれぞれだからね。タイ人なんかしょっちゅう改名してるしね。

でもそこで、ベトナム人の学生に対して

「じゃあ◯さんの名前の漢字は△だねー」

というと

「えー!漢字がありますか!?」

または「漢字はこれですかー🤩(書き書き)」

「そうですよ。ベトナム語は昔漢字がありましたから。皆さんの名前も漢字でかけますよ」

そうするともうベトナム人の

「私の名前は漢字で何ですか」大会の開催です。

ベトナム語は声調によって意味が変わるので難しいですが、最近は私も慣れたものでこの名前はこの漢字、を覚えて来ましたし、授業準備の段階で予め名簿を見て彼らの名前を調べておきます。(もちろん日本語で説明してもらいたいのでギリギリまで漢字は書きません)

たとえば、

グエットnguyệtさんは「月」さん

ニュットnhựtさんは「日」さん

タンthắngさんは「勝」さん

みんな自分の名前が漢字であることに驚き、またその意味を調べるとすごく良い意味であることに気付いたり。


「先生、私の名前はいい名前ですねー🥺嬉しいです」

そう言ったのはクオック・バオquốc bảo(漢字では(国宝))さん。そうだね、国の宝だもんね。お父さんお母さんがいい名前つけてくれたね。実はこのバオさん、ベトナム語でよく使うバオbảoは『包』の意味のほうが多いそうで、自分の名前の意味は「袋」だと思っていたそう😅世界中探して、自分の子に「袋」と付ける親はどのくらいいるだろうか…文化としていないとは言い切れないけど…


「先生、漢字は面白いですね!中国人とも話ができる!」といいながらその日から自分の名前を書く際は漢字で書き始めたのはゴックngọc(玉)さん。実際、中国の学生に自分の名前の中国語発音を教えてもらったり、その学生の名前の意味を聞いたり。

ナムnam(男または南)さんはフィリピン人に「South manさんですかー?」と言われていました。サウスマン。。笑


『清水寺』の字を見て、「私のお寺ー!笑 先生、ここの日本語の名前は何ですか!?」と言ったのはタイン・トゥイthanh thuỷ(清水)さん。たしかに、世界遺産と同じ名前は嬉しいね😆


反対に「中国人の〇〇さんの漢字と、意味は何ですかー?」と質問して、中国人も一生懸命説明する、という場面が出てくることもあります。

その時、ベトナムのヴォンVươngさん(苗字)と中国の王さんは漢字にすると同じと知って「おおー!じゃあ家族ですね!」(とおーーーーーーーい昔はそうかもね)

みんな、漢字がどんどん身近になっていく。


そしてまとめに

「ベトナム語にたくさん漢字があるのわかった?自分たちに身近なものに置き換えると楽しいでしょ?クラスメイトの中国人とも日本語がかわからない時も会話ができるよ。

難しいけど、覚えるととっても便利ですね。」

というと

「本当ですねー!😊」


ま、すぐにいつもの漢字読めない地獄😱に落ちるんですが。笑

国の政策の一環で漢字文化が廃れてしまって、ご両親も「よくある名前だから」で付けているだけかもしれないけど、そこにある真の意味まで知れた彼らはとても嬉しそうな顔をしています😊


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