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スペイン語の二人称は奥が深い!

先週からメキシコ人のゼロ初級の人たちに日本語を教えております。つまり全く日本語が通じないので、こちらがスペイン語で話す必要があります。久々に完全スペイン語の授業は久しぶりすぎて口が回らなかった!反省。

しかも何が困ったってメキシコ流スペイン語が出てこない!そもそも口が回らない上にこれだなんて!

一言にスペイン語と言えど、話者は4億人にも上り、公用語として使われている国は20以上もあります。国連の公用語だし。そうなると表現も多種多様です。

そのスペイン語の世界に片足ツッコんでは引っ込めてを繰り返しているわたしのスペイン語は

大学で叩き込まれたスペインのスペイン語がもとになっています。

しかし卒業後メキシコへ行ったので、実践的なスペイン語はメキシコ流に切り替わりました。

その後、今度はスペインに飛んだのでまたまたスペイン流のスペイン語に切り替えました。

メキシコへ行った直後は「スペイン風の話し方だね」と言われ、

スペインへ行った直後は「ラテンアメリカのスペイン語」と言われました。そ

私が知る限り、スペイン語圏の人たちってアジア人がスペイン語を話すだけでウェルカムなので、私がどう話そうが大きな問題はありませんが、

一つだけ彼らの間でも「ん?」と思うことがあるよう。

それは

二人称の使い分けが違う

英語は二人称は複数だろうが単数だろうがYou一辺倒ですが、

スペイン語は単数ではtú(トゥ)かusted (ウステッ)(アルゼンチンなど一部の国ではvos ボス)、複数ではvosotros(ボソトロス)かustedes(ウステデス)と言葉が違う。

言葉が違うだけではなく、Túは「君」、Ustedは「あなた」と丁寧さの度合いが違います。複数もvosotros「君たち」、ustedes「あなたたち、皆様」という感じです。

簡単に言うと敬語かタメ口かという話。

こう書くと敬語大国ニッポン人には別に難しい話ではないのですが、これを使い分ける国と使い分けない国がありまして。そして使い分けたとしても使い分け方がまたちょっと複雑でして。

しかも言葉が違うだけならいいのですが、その後に続く動詞の形まで違うもんだからえらいこっちゃ。

人称代名詞の多さなら世界トップクラスの日本語話者に言われたくないでしょうが、この使い分けが国や地域によって結構違うのでそれが今回のトピック。

スペインの二人称

スペインではVosotrosが多用され、Ustedesはごくまれに本当にかしこまった場面でしか聞きませんでした。目上の人に使っていたらあちらの方が「そんな堅苦しい表現、やめてよ~」「誰だ、そんな死語を使ってるのは?😁」と出会って3秒くらいで言われて、そこからはずっとvosotros(これは単数の場合も同じ、というか単数の場合の方がもう挨拶の時点で「ustedはいらないよ」と言われることも少なくない)。そしてUstedesは三人称複数(英語のThey)と同じ動詞の活用をするので聞いていると混同するのだとか(現地人談)。

vosotrosは男性(+女性)に使いますが、相手が女性しかいなければvosotrasと-osが-asに変わるので、個人的には使い分けがちょっと面倒。

スペインで主流のtúを使おうぜ風潮は一般にtutearとかtuteoと呼ばれます。

中南米の二人称(特にメキシコ)

逆にメキシコをはじめ、中南米ではVosotrosは言葉として廃れてしまって全く使わない。目上だろうが自分の子供たちだろうが複数はすべてUstedes。 彼らも知識としてVosotrosを知ってはいますが、活用の形もよくわからないと。かといって、Ustedesを使っているから敬語で常に話しているわけでもなくて、ただ単に二人称複数がこれなだけ。

しかし、単数のtúとustedはスペインに比べると使い分けが細かい(気がする)。目上の人にはきちんと敬称ustedを使っている人をよく見かけたし、教え子たちも最初打ち解けるまでは私にustedを使って話しかけてきていました。勤務先の日本語学校の校長先生(日本人)も現地の先生も、生徒の保護者と話すときは基本的にustedを使っていました。オンラインの生徒たちも私にUstedで話しかけます。

スペインで出会ってニカラグアで働いていた台湾人曰く、ニカラグアはもっと徹底されているそう。

時を戻そう(ペコパ風)

そういうことで、中南米でVosotrosを使うと、「スペインで勉強してきた、ちょっと気取ったスペイン語に聞こえる(現地友人談)」のだそう。

スペインでは「スペイン語はスペインの言葉なんだから、勉強するならスペインのスペイン語を身に着けるべきだ!」とこれもまた現地人に言われ続けましたが、メキシコでは「今はメキシコにいるんだからメキシコのスペイン語を話した方が友達増えるよ」と言われる。双方の言い分はわかる。

このことを知ってしまうと、ガラスのハートの私は中南米の人にvosotrosを使うことも、スペインの人にustedesを使うこともためらってしまうので切り替えます。

でも、話していればうっかりするもので。たまにスペインの人にustedesを使ってしまったり、中南米の人にvosotrosを使ってしまう。一番やってしまうのが平叙文や疑問文ではvosotrosなのに、命令文ではustedes。

別にひっくり返って使ったところで怒られたり嫌な顔をされることはありませんが、個人的に「あちゃ~😵」と思いますし、相手も一瞬「えっ?」ってなる。笑 

南米の二人称単数

もっと言うなら中米ではなく南米の人、特にアルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイの人には二人称単数のvosを使うほうが親しみを持ってもらえるんでしょうが、これは学んでいないし現地に行ったこともないので使えない。でも使ってみたい💦一度だけ、アルゼンチンの人と話したときに初めてvosを使って話しかけられて、「おお、これがリアルなvosの使い方なのか✨」とちょっと感動したことがあります。笑

このvosのときの動詞の活用はtúともustedとも違うので、それも覚えてみたい。

アルゼンチンかウルグアイか、とにかくvosを使う国の友だちも欲しいぜ!

(注意しないといけないのが、vosはスペインでは今や日本語の「貴様」のような相手を蔑む言い方なので全く使われないしむしろ嫌がられる。)

しかし複数形はustedes一辺倒でvosotrosは使わないらしい。

さてさて

こんな日本語も怪しいのにスペイン語も欲張りなことをしている私が相手に合わせてスペイン語の使い分けがスムーズにできるようになる日は来るのか!?逆にいろんなスペイン語圏の人と一斉に話す場合はどこに合わせるべきなのか!?

言い回しや語彙のレベルではもっともっと細分化されるし、発音の話なんてしだしたら同国内でも全然違うので、ここには書ききれませんが、変なところで細かい人間の私は、気になりながら今日もスペイン語(これはスペイン式)を聞き流しています。

あ、忙しさにすっかり忘れていたけど、Zoomでスペイン語圏の人と話そうぜ企画、いつやろうかな…世界が夏休みになるころがいいかな…

とにかく、仕事ではない語学の勉強は楽しいものです。日本語を突き詰めるのも楽しいんだけどね。学生の母語をいろいろ聞きかじるのもおもしろいし。

どうでもいいんですが、NHKラジオのスペイン語講座のネイティブ講師の先生の声がお笑い芸人ハリセンボンの春菜さんの声に聞こえて仕方がありません。



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