ボランティアは善。お金儲けは悪。
カナダで学校スタッフをしていると、毎年お決まりのお問合せがあります。
日本の中高生が、夏休みや冬休みに2週間ほど、海外の高校や大学で現地の学生と一緒に勉強したり、ボランティアをしたりして国際交流をさせたい、というものです。
日本の中学や高校からの依頼で、旅行会社さんや留学エージェントさんが受注をし、そのようなプログラムができないか、現地の学校に問い合わせがあるのです。
素敵な響きのプログラムですよね。
カナダで英語や専門的な勉強をし、現地の学生と交流をして、異文化を知って帰って来る。
カナダの中高生も日本に興味を持つ学生が集まって、日本人の友達ができてよい思い出になる。
理想的ですよね。
素敵な響きなので、毎年お決まりでお問合せがあります。
では、現実はどうでしょうか。
まず、日本の夏休みや冬休みはカナダの中高生も休みなので、学校は閑散としています。
また、現地の中高生は家族と旅行をしたり、バイトをしたりしていて忙しく時間がありません。
時間があったとしても、休みなのにわざわざ学校になんて、余程メリットがなければ行きません。
友達と遊んだり、家でゲームをしたりした方が楽しいからです。
そして残念ながら、日本に興味のある学生は、いるようでいません。
それどころか、日本が世界地図のどこにあるか知らない学生の方が多いです。
これが現実です。
日本人が認めたくない現実かもしれません。
日本には、誇れるものがたくさんあります。
私はカナダに12年以上住んでいるので、ほとんどの物は日本製でない商品を購入しますが、日本製の方が質がいい、壊れない、物持ちがよい、というアイテムはたくさんあります。
ですが、海外生活が長くなってくると、『物は壊れるのが普通』という感覚になってくるので、本当にこだわっている物でない限り、海外では高額の日本製品を、あえて買う理由がありません。
日本のアニメは凄いです。
カナダでも一部の映画館では、鬼滅の刃や呪術廻戦の映画版を上映したりと、人気を集めています。
アニオタもいますし、YouTubeでアニメの解説を英語でしているほどの熱狂的ファンもいます。
ですが、同じようにディズニーが人気ですし、MARVELファンも多いので、日本のアニメだけが抜きに出ているわけではないと感じます。
日本車は比較的燃費がいいですし、価格帯も手ごろで壊れにくい。
中古車でも当たり外れが少なく安定しているので、カナダでも日本車をたくさん見かけます。
ですが、日本ではあまり見かけないヒュンダイやKIA、フォードやジープなども、日本車と同じくらい人気があります。
これが現実です。
私は、日本に住む中高生のための、オンライン国際交流サークルを運営しています。
日本とカナダの中高生がオンラインで毎日のように交流することで友達になり、お互いの文化や慣習の違い、また、同世代ならではの共通点を知り、『自分』を見つけてほしいと思って始めました。
運営するにあたり、カナダの中高生には、バイト代を支払って参加してもらっています。
私は、カナダの中高生にバイト代を支払っていることを、日本の参加者の方には伝えていません。
なぜなら、日本の皆さんが、中高生がお金をもらって参加しているなんてけしからん、と思うのではないかと思ったからです。
『友達をつくる』というプロセスにお金がからむなんて、不純で合理的な中高生だと思われてしまったらいけない、と思ったからです。
ボランティアは善。
お金儲けは悪。
日本には、そんな風潮があるように思います。
無償や無料でサポートやケアをしてくれる人や企業は善。
サポートやケアにお金を取る人や企業は悪。
バイト代を支払わなくても参加してくれる中高生がいい子。
バイト代を支払わなければ参加してくれない中高生は悪い子。
それでも私は、無償のボランティアで参加してくれる中高生を募るのではなく、バイトならやってみよう、という気持ちの中高生にも参加してもらいたいと思いました。
理由はとても単純で、ボランティアで募集しても、人が集まらないからです。
日本の皆さんが、カナダの中高生は日本に興味があり、参加希望者はたくさんいる、と思っていらっしゃったら夢を壊してしまいますが、『日本人(外国人)と友達になるボランティア』に興味がある中高生は、それほどいません。
他にもバイトはたくさんありますし、友達と過ごしたり家族と旅行するのも楽しいのに、あえて友達をつくるオンラインサークルに参加してもらうには、バイト代を支払うのが自然なのです。
ですが、バイト代を支払うことにより、結果的に責任を持って日本の中高生と交流してくれる中高生が集まりました。
そして、最初はバイトだと思って始めた国際交流でも、毎日、毎週のようにお互いの様子を見ていると、どんどんと仲良くなっていって、『バイト代』はただのきっかけに過ぎなくなっていきます。
日本が世界地図のどこにあるか知らなかったカナダの中高生が、「日本に行ってみたい」「日本に行ったら案内してほしい」「カナダに来てくれたら案内する」と言うようになるのです。
私がオンライン国際交流サークルを今の形にできたのも、カナダの中高生にバイト代を支払っているから、という要素は大きいです。
無償や無料でできることには限りがありますが、有料であれば、できることが大きく広がります。
日本の参加者の方にとって、英会話学校にはお金を払っても、国際交流サークルにお金を支払ってもらうことはまだハードルが高いようですが、有料であるからこそ、他では体験できない『自分』を見つけることができるサークルができたと思っています。
続きは次回。ちょっとアピール。こんなことやっています。👆
教育関係の皆さま、コラボにご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください💛
イラストは、みんなのフォトギャラリー、nanana_momomoさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?