認知科学に基づくコーチングを学ぶ

セッションを受けて頂く方に、事前に目を通していただきたい内容です。セッション前に是非ご一読を頂ければ嬉しいです!


初めに; コーチングをより効果的に進めていくに当たり、是非理解しておいて頂きたいキーファクターについて共有させてください。これからお話する4つの要素;self efficacy, RASとスコトーマ, Comfort zone, self talkは、脳と心のからくりを使った認知科学に基づくコーチングの根幹となるものです。あなたの脳と心をコントロールして、なりたい自分になるということが、夢物語ではないということをきっとご理解いただけると思います。


self efficacy: 

・まず、1つ目はself efficacyについてお話します。

・あなたは過去に、それまでやった事も挑戦したこともない事に対して、根拠もなく「私には絶対できる!」という自信を持ったことがありますか。もしあればその時のことを思い出してみてください。

・これから説明する「セルフエフィカシー」とは、その当時のあなたが感じていたであろう「根拠のない自信」のことです。正確には、「自己のゴールの達成能力の自己評価」。これは、これからあなたが設定するゴールを達成するために、最も重要なものなのです。

・あなたの本音の欲求から導き出されたあなたのゴールは、他の誰でもないあなた自身が最も「自分らしい」と思えるものであるはずです。ここでは、過去の経験や他者の評価に関係なく、あなた自身が未来の自分らしさをデザインし、それを信じて挑んでいくことが一番大切なのです。

・私達コーチは、あなたのゴールを誰よりも信じ、あなたのゴール達成までの道のりを、認知科学に基づいた脳と心のからくりを使ってサポートしていく存在です。

・まずは未来のなりたいあなたを想像し、そこからその未来のあなたらしいゴールを設定してみましょう。そのゴールは、今のあなたからすると、とてもハードルの高いゴールであるはずです。資金も人脈もアイデアも、リソースと呼べるものは何一つない、強いて挙げるなら大きな不安だけが頭をよぎる、といった具合でしょうか。

・ここで、今一度冒頭で私が言った言葉を思い出してください。「ゴール達成に最も重要なもの」、それは「セルフエフィカシー(自己のゴールの達成能力に対する自己評価)」であると。多くの人は他人からの評価をそのまま受け入れ「自己評価」としていますが、これは(他者からの)外圧や外部影響がなければ消失していくものです。

「自己評価」とは、「あなた自身が自分を評価する」こと。あなた自身が自己のゴールに対して「最も自分らしい」と評価することなのです。これは絶対に譲れないポイントです。

・そして、そのゴール達成能力に対する自己評価の臨場感を高めていくこと(或いは高く維持していくこと)をサポートすることこそがコーチの役割です。日々の生活の中で、仕事や家庭、人間関係などに忙殺されていくと、「(未来の)ゴールに生きる自分」に対するイメージやその臨場感を維持することが難しくなります。これは、「現状に生きる自分」に対しての臨場感がより高いことにより、脳がその「現状の自分」を維持しようとするからです。

・ここで、覚えておいて頂きたいことは、「(未来の)ゴールに生きるあなた」と「現状に生きるあなた」は共存しえないということです。「現状の自分」を維持する限り、「(未来の)ゴールに生きる自分」を実現することはできません。

これは、人間の脳の恒常性維持機能に起因するもので、例えば、平熱が「35度」の人はどんな環境においても「35度」を維持しようとするのと同じ原理です。人間の平熱が、時に「35度」、時に「37度」とはならないですよね。

・このように、あなたの脳に「(未来の)ゴールに生きるあなた」を恒常性維持の対象として認識させることで、あなたのゴール達成に向けたプロセスが始まるのです。


RASとスコトーマ

・では次に、そのゴール達成に向けたプロセスにおいて、大切なことをお話しします。

・先ほど、私は、「ゴール達成に最も重要なもの」は「セルフエフィカシー(自己のゴールの達成能力に対する自己評価)」と言いました。「(未来の)ゴールに生きるあなた」を信じ、その姿が最も自分らしいと自分自身が思えること。そこを自身の中で確たるものにして頂ければ、ゴール達成に向けたプロセスは脳の仕組みが示してくれるのです。

・実際にどういうことなのか、順を追って説明します。

 あなたは普段生活する中で、五感を通しあらゆる情報に接しているはずです。一方で、実際に知覚し認知する情報はほんの一握り。これは、脳が(情報処理の)負荷を減らそうと「重要な情報」と「その他の情報」をふるいに掛け、あなたにとって「価値のある情報」以外を認識させないように機能しているためです。(この機能をRASと言います。)

 そのため、あなたの目の前の世界は「あなたの脳が重要だと判断したもの」のみで成り立っているということになります。結果、あなたにとっては「それが世界の全て」となっているのです。

・次に、RASによって認識されなかった情報はどうでしょう。これらの情報は全て「心理的盲点(スコトーマ)」となります。今のあなたにとって「重要ではない情報」は、あなたの脳が自律神経レベルで積極的に排除しているということになります。

・認知科学に基づくコーチングでは、このRASとスコトーマの仕組みを使って、あなたのゴール達成のサポートをします。

・今よりも最も自分らしく(未来の)ゴールに生きるあなたは、まだ見ぬ可能性に溢れています。あなたの本音の欲求が手に入れたいと感じたこと/ものを、全て手に入れている「未来のあなた」を想像してみて下さい。きっとそこには、「現状のあなた」とはまったく異った価値観を持った別人格の「あなた」が見えるのではないでしょうか。そう、その「まったく異なった価値観」が、今まであなたの認識を阻んでいたスコトーマを外し、新たなRASを活性化させてくれるのです。

・「現状のあなた」では手の届きそうにないゴールであればるほど、自律神経レベルで認識できる範囲も広がります。ゴールに向けて決断したその時から、少しずつそれまで気づかなかった(未来のゴール達成に必要となる)人、コト、モノの存在に気付き始めることでしょう。

 

Comfort zone(ホメオスタシス-身体の恒常性維持機能-);

・では次に、3つ目の要素として、先ほど少し触れた脳と心の恒常性維持機能について、具体的に説明していきます。この機能は私たちのパフォーマンスの限界を決めるものであり、私たちはこの恒常性の中でしかパフォーマンスを発揮することができません。この恒常性のことをComfort zoneと言います。(認知科学的にはホメオスタシス-恒常性維持機能-)

・人間は一定の安定した状態を維持する才能を有しています。先ほどの例でいくと、平熱35℃の人であればどんな外部環境/刺激があろうとも抗って35℃の体温をkeepしようとします。この一定の安定した状態が、CZまたは恒常性です。

・日常の生活環境、仕事/職場、友人関係、食習慣などなど、いつもと少し変わっただけでも落ち着かなかったり、違和感があったり、居心地が悪かったりした経験はないですか。その時の感覚が、脳と心がCZを維持しようとしている(認知科学的にはホメオスタシスのFBがかかった)状態なのです。

・ゴール設定にはこのCZを「現状のあなた」から「(未来の)ゴールに生きるあなた」へずらす(或いは広げる)ことがまず必要になります。何度も言いますが、「(未来の)ゴールに生きるあなた」と「現状に生きるあなた」は共存しえません。人間の脳は2つ同時にCZを取れないのです。

・では、どのようにして「(未来の)ゴールに生きるあなた」へCZをずらすのか。

 それは、ゴールの世界の臨場感を高めることから始まります。

・人間の脳は臨場感がより強い方にCZを作り上げます。従って、あなたが「現状」に臨場感を置いている限り、脳は「現状のあなた」というCZを維持していくことになります。反対に、「(未来の)ゴールに生きるあなた」により強い臨場感を持てれば、CZは自ずとずれていくのです。CZをどこに置くかで、あなたのパフォーマンスが決まるということになります。

・一方で、未来に臨場感を持つということは簡単なことではありません。物理的現実世界での生活やゴールに向けたプロセスの中での失敗・挫折など、どうしても現状のCZに引っ張られてしまうの自然なことです。だからこそ、誰よりもあなたの可能性を信じ、あなたのゴールを信じて、あなたの脳と心を励まし続けるコーチが横にいるのです。


self talk(自己内対話);

・加えてもう一つ、ゴールの臨場感生成にとても重要な役割を果たすものがあります。それが4つ目にお話しするセルフトーク(自己内対話)です。人間は一日に3-6万回のセルフトークを行っていると言われています。そして、このセルフトークにより、私たち自身の思考方法や言動をコントロールしているのです。

・人間は通常自分自身が語り掛ける言葉によって、頭の中で映像を想起させます。そして、その映像が情感を生み、最終的に自己イメージを形成します。CZはこの自己イメージから作り上げられます。

・ということは、このセルフトークをコントロールすれば、ゴール側のCZの臨場感を高められ、ゴール達成に向けたパフォーマンスを決定的なものにしてくれるのです。「(未来の)ゴールに生きるあなた」からのセルフトーク、これほどパワフルなツールはないということを、是非覚えておいてください。

・まずは「(未来の)ゴールに生きるあなた」とは何者かを決めることから始めましょう。「(未来の)ゴールに生きるあなたは」(自分自身を含む)世界に対してどのような信念を持っていますか。「(未来の)ゴールに生きるあなた」を取り囲む家族、友人、職場などあなたを取り囲む全てのものを丁寧にイメージしてみてください。さぁ、そこで未来のあなたは周囲からどのように思われていますか。どんな言葉が聞こえてきますか。一言一言丁寧に、自分自身が理解できる言葉で発語してみてください。

・最後に今ほど発語していただいた言葉で、今日からあなた自身に語り掛けてください。決して、それらの言葉を否定したり遠ざけようとはせずに、今ほど出てきた言葉を素直に口にし続けてください。心の中で自分自身に語り掛けてもいいでしょう。もしくは、常に目につく場所にその言葉を掲示しておくのもいいかもしれません。あなたにとってのパワーワードで満たされた日常を、早速、今日から実践していきましょう。




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