医学には哲学が必要

医学は最も哲学が必要だと思う。
医学の目的は何か。
人を救うこと。
健やかに生かす。
人の命を延ばす。
命というのは大変尊いものだから、
その命を守ると言うことで、医者は聖職者とも言われる。
医者とか、看護婦に呼ばれる。
白衣の天使とか。
マクドナルドの店員を聖職とは言わない。
それだけ誇り高き職業であり、目指す人もそれなりのプライドを持って目指している。
だけど、こんなことがある。

私が知っている人だが、50歳の時にガンにかかった。
日本では難しいと言うことで、アメリカにいってなおしてもらった。
それで80まで、生きた。
ところがガンが再発転移の繰り返しで、30年間ほとんど寝たきり。
チューブをさしっぱなしで、抗ガン剤を打つ。
顔も腫れっぱなし。
お金も使うし、孫も近寄ってこない。
それでも闘病生活を続けてきて、80で死ぬときに、
こんなにツライのなら、あのとき死ねば良かったと言って死んでいった。
この言葉を治療した医者が聞いたらどうかな?
やりきれない。
のばした命でその人は何をしたのか、
のばした命を何に使ったのか。
医者が答えを出す問題ではない。
その人その人が答えを出す問題。
医学もそういう問題を抜きにしては語れない。


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