遺書のいらない赤入れのすゝめ~修正の指摘は、最大限注意しよう~3/3
そして実は、本題はこの3回目です。
第1回では、クソみてぇな赤字は命の危険があるぜ! 注意しような!
というお話をしました。
第2回では、より良く赤字を入れる方法をお伝えしました。
1.制作前/チェック前準備
2.問題個所を発見
3.調査
4.赤字を記入
5.赤字後のコミュニケーション
上記が、赤字を入れる流れです。上記のうち、4.赤字を記入/5.赤字後のコミュニケーションについてさらに詳しく解説し、遺書がいらない命の危険がない赤字の入れ方をお伝えします。
おさらい
・赤字を入れられるほうは、基本ムカついてる
・赤字を入れるほうは、基本ムカついてる
・赤字を入れるほうが立場が強く、入れられるほうが弱い
・赤字を入れる者は、その権力に酔っているかもしれない
・最悪の場合、赤字を入れる側が制作の連絡をする段階でミスってて、赤字を入れる側に非があるかもしれない
このあたりは押さえておきましょう。
威圧的にならない
「は?」とか言わない、書かない。
特に、意図を説明してもらっているときなどには絶対ダメです。
「はい?」もダメです。そもそも社会人のコミュニケーションとしてダメですが、フランクな場だと、つい出てしまうかもしれません。
ただでさえ、チェックしている側のほうが立場が強いのです。立場が強いほうが立場が弱いほうに、相手が逆らえないという立場を利用して強く出るのは、大変卑怯な行為です。
ダサすぎる。そんなクソダセぇやつの赤なんか、直す必要はないです。ダサいので。
直す価値のねぇクソダセぇーー赤だと思われないためにも、威圧的に振る舞うのは止めましょう。
ていうかそもそも、仕事において威圧的に振る舞うのは止めましょう。ダサくて見てらんないです。「唯一威圧的に振る舞ってもいいのは、上の人に対してだけ」なんてこともありません。上位職者に対してでもダメです。
例外中の例外として、威圧的なヤツに対してだけはいいかもしれないですが、同じレベルに堕するのは自己のスキルの陳腐化にもつながるので、あんまり好きじゃないです。
嫌みを言わない
これも基本は「威圧的にならない」と同じ感じですね。皮肉なども同様に避けましょう。
相手が下の立場であることを利用した卑劣な行為です。ダサすぎる。
威圧的に接するのは、パワハラにあたる可能性があります。だから、それはできない。だけど、どうしても自分のイラつきを相手にぶつけたい。そんなときにとってしまいそうな態度です。
特に、誤字脱字とか、見りゃわかるような初歩的なミスとか、同じミスを何度もしているとか、そういうのを見つけたときは「ちゃんとしてよ!」と感じてしまって、叱咤激励のつもりで嫌みな態度になってしまうことが増えそうです。
嫌みで励まされること、あるわけなかろうが。
・過去のミスを指摘する
・プライベートや仕事と関係ないことを非難する
こういった内容にもつながりやすい、危険な行為です。遺書不可避。
赤字では、素直に事実だけを書くようにしましょう。
茶化さない
真面目に制作したものを提出したうえで、「なんだよこれ、〇〇かよw」みたいなボケ&クソつまらねーセルフツッコミを言われたら、「はぁ? ×すぞ(真顔)」ってなりますよね。
これ! これ、めっちゃやりがちです。
威圧的にならず、嫌味も言わない人は、明るいユーモアのつもりで茶化す系の赤字を入れてしまいます。
茶化しは一部の偉人にのみ許された名人芸です。素人がマネすると大ヤケドします。
・コミュニケーション能力が極めて高い
・ギャグセンスが抜群
・相手に寄り添うことができる
・嫌味な感じが一切ない
・普段から気軽に話しかけられる雰囲気がある
・上記を自然に維持できる人柄をもっている
・過去の実績が華々しい
・現在もパッと見て分かるだけの高い能力を保有している
・部下に慕われ、同僚全員と仲が良く、上司から頼られている
・そもそも人間的に尊敬できるスゲー偉人
上記のみが、茶化す系の指摘をしても大丈夫な人です。(過去に一緒に仕事をした方で、何人か思いつきます。例えば北川さんです。改めて言語化すると、すごい人だよな……。)
しかも、そういう人は絶対に茶化しません。
それ以外は、大ヤケドする素人です。上記のすべてを満たしているわけではないなら、茶化す系の赤字は絶対にやめましょう。
理由は、茶化されるとすげーーーイラつくからです。
ただでさえ赤字を入れられてムカついているのに、そのうえ平時でもムカつく文章をぶつけられたら、もう耐えられません。
そういうタイプの赤字を入れる人に対しては、「こいつ、オレをイラつかせるのが仕事か? ちょれぇ仕事もあったもんだな! てめぇーのツラ見りゃすぐにイラついちまうからよ!!」と思って軽蔑していたんですが、あるとき、気づいたんですよ……。自分も、そんな感じのイラつく赤字を入れていたことに……。(現代の怪談)
イラつく茶化し系の赤字を入れてしまう側の心理
・「ミスとか、気づかなかったこととかに怒っているわけではないよ」って伝えたくて、フランクな感じを出したかった
・事例を用いて、分かりやすくミスを伝えたかった
・おもしろいツッコミを思いついたから書いちゃった
たぶん茶化すタイプの赤字を入れる人は、上記のどれかに当てはまるのではないでしょうか。
・赤字を入れられるほうは、基本ムカついてる
・赤字を入れるほうは、基本ムカついてる
好意的に解釈するなら、上記をうまいこと処理しようとした結果、真逆の効果になってしまった、ということですね。
自分のムカつきを、おちゃらけて消費。さらに相手のムカつきも、愉快な語り口で相殺。みたいな。
おしい! ×す!
(逆に、クソほどムカついて煽りたくて煽りたくてしょうがないときは有効です。「なにこの無意味な空白。メモ帳?」っていうのが、個人的にもっとも”来る”し”効く”煽りだと思っています。遺書を用意してからやろうね!)
真摯に、角が立たないように書くべし
こんくらい注意して修正の指摘してるんだよ、ということと、もししていないチェック者がいたら、こういうことを注意すると角が立たないよ、と教えてあげてください。
すなわち、真摯に対応することだけが唯一の解決方法です。
角が立たないようにするのは、角が立つことに比べて、よりスムーズに、より良い制作物ができるからです。
ウソだと思う方は、ぜひ、すべての会話の冒頭に「チッ。死ねよ」とひとこと入れてみてください(チッは舌打ちです)。角が立たないことの素晴らしさを実感できることでしょう。
こういうと、「まさかそんなバカなマネをするヤツはいないだろう」と考えることでしょう。ですが、それの小さい版は、けっこうやっている人がいます。
機嫌が悪い感じを隠さないとか、渡した書類を乱暴にひったくるとか、やたら高圧的だとか。自分が直接体験していなくとも、〇〇さんが、とか、隣の△△の部署では、とか、目にしたこと、耳にしたことはあるのではないでしょうか。
された側にすれば、『すべての会話の冒頭に「チッ。死ねよ」とひとこと入れられた』のと、さして変わらない行為ですよね。ムカつき度的に。
赤字に対しても、同じです。しかも赤字の場合は、する側は立場が強く、される側は立場が弱く、する側もされる側も攻撃的な気持ちになりやすい、という点が特に危険です。
もし、今回お伝えした気をつけるべき点に注意を払っていない赤字を見つけたら、こう伝えてください。
「足りないアイテムがあります。“気遣い”です。気遣いをご用意できなければ、代わりに”遺書”でもいいですよ。」
最後に
・赤字は、入れる側も入れられる側も攻撃的になっている、と意識しよう
・立場が強いからといって、権力行使に酔いしれないようにしよう
・赤字を入れる目的を理解しよう
・威圧、茶化しは絶対にやめよう
まとめるとこんな感じですね。
より良い制作物を作るために集まったはずのチームが、ギスギスしたり、結果的に“なぁなぁなモノ”ができて終わったり。それでは、もったいないと思います。
いつもは制作者側の目線からでしたが、今回はチェック者からの目線でより良くできることはないか、まとめてみました。
チェック者と制作者のみなさんが少しでもやりやすくなれば、そして結果的により良い制作物が世に出ることの助けになれば幸いです。
それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。
そして実はエクストラ回があります。
謝罪
茶化すな、という文意でしたが、全体としてフザケたページになりました。遺書の用意ができるまで、しばらくお待ちください。
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