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ウォーターレスは美容業界、トイレタリーの新トレンド。そのメリットを探る

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前回の記事のように、企業がより一層のサステナビリティ推進を求められているなか、世界で深刻さを増している水不足問題も大きなテーマのひとつだ。その解決法のひとつとして、化粧品やトイレタリーにおいて、製造過程はもちろんのこと、製品の原材料にも水を使わない「ウォーターレス」への取り組みが海外では活発になってきている。その取り組み事例と、環境に与えるインパクト、消費者が感じるメリットなどを考察する。

2017年に英国のマーケティング会社Mintelが発表した2025年までの美容トレンドで、水が「新しいラグジュアリー」だと位置づけられた。水の消費量は第二次世界大戦以降、世界規模で2倍に跳ね上がったうえに、現在も年1%ずつ増大しており、世界人口の3分の1にあたる約24億人が水不足に直面しているという。

ロレアル、ユニリーバなど美容トップ企業が続々と参入

ロレアルは2018年に、自社工場で使用する水を来年2020年までに、2005年時点と比較して60%削減すると発表した。またユニリーバも、同社が2018年にローンチしたブランド「Love Beauty and Planet」で以前よりすすぎに必要な水の量を減らしたコンディショナーを発売し、さらに2030年までに水の消費を含む同社の企業活動が環境に与えるインパクトを、現在の半分にすると宣言した。

図1

「Love Beauty and Planet」の
コンディショナー
出典:Love Beauty and Planet
の公式サイトより

P&Gもこの分野に積極的に取り組む企業の一つだ。同社によると、消費者の27%は水の使用量を削減しようとしており、その声に応えるべく2018年に2つのウォーターレスブランドを発表した。

1つ目は「DS3」と命名された、パーソナル・ホームケア用品ブランドだ。パーソナルケア用品のラインナップは、シャンプーやコンディショナー、ボディからフェイスウォッシュまで幅広い。いずれもスウォッチと呼ばれる使い切りサイズのタブレットで、入浴やシャワーの際に、その都度少量の水に溶かして使う。ショートヘアなどで1スウォッチが大きすぎる人は、スウォッチを半分に分割して使用できる。水で溶いたあとは、従来タイプのシャンプーと同じく頭皮をマッサージして洗い流すだけだ。

またホームケアアイテムでは、たとえば、夜寝る前にトイレの便器内にスウォッチを投下し蓋をした状態で一晩放置して、翌朝水を流すタイプの洗浄剤など、利便性の高いアイテムが揃う。DS3は、2018年に初めてクラウドファンディングサイト「Indiegogo」でプロトタイプ版がリリースされたとき、完売したことが話題となった。現在はウェブサイト上で一般販売も開始されており、シャンプー、コンディショナーともに30スウォッチ入りで29ドル(約3,300円)、ボディーソープは30スウォッチ入りで19ドル(約2,100円)。サイト上のレビューでも「泡立ちがいい」や「使いやすくてリピート中」など高評価が多く散見される。

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