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Tmall Globalがトップシェア、P&Gや資生堂など外資ブランドの中国主戦場へ

◆ English version: Tmall Global dominates is now the key battleground for P&G, Shiseido, and other global brands in China
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中国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染流行のなか、ECの利用率が上昇し、主要ECプラットフォームは軒並み好調だ。とくに美容業界でのプレゼンスが増しているのは、アリババグループ傘下の越境ECプラットフォーム「Tmall Global(天猫国際)」で、中国の好調な消費者向けに外資ブランドの主戦場となっている。同プラットフォームの施策や出店企業の動向について紹介する。

中国では近年、越境ECが盛り上がっている。中国テック系リサーチサイト「艾媒諮詢(iiMedia)」によると、2019年の越境ECによる輸出入小売総額は前年比38.3%増の1,862億元(約2兆8,490億円)で、うち輸入は917億元(約1兆4,030億円)だった。2019年第3四半期のシェアは、アリババグループが52.1%の圧倒的1位で、JD.com(京東商城)の「海囤全球(現京東国際)」が15.1%、女性向けEC「唯品会(vip)」の「唯品国際」が10.5%、SNS型ECアプリ「RED(小紅書)」が4.8%と続く。これら4社で市場シェアは8割を超える。

しかし、同年上半期のシェアの顔ぶれは違っていた。ポータルサイト「網易(ネットイース)」傘下の「Kaola(考拉海購)」が27.7%の1位で、アリババグループのTmall Globalは25.1%の2位だったのだ。Tmall Globalはもともと、中国国外のブランドが出店するモールを主体に展開してきたのに対し、Kaolaは早くから自社販売に力を入れてきた。メーカーから直接商品を調達することによる低価格を売りに、シェアを伸ばしてきており、日本や韓国、欧米には、そのための拠点も設けている。

ところがアリババグループは同年9月、Kaolaを完全子会社化することにより、アリババグループの絶対的地位を確立した。そして、コロナ禍を経て存在感が増しているのは、アリババグループのプロパープラットフォームであるTmall Globalのほうだ。モール型は出店の手間が少なく短期間で立ち上げられ、自社のカラーを打ち出しやすいことや、海外ブランドにとって、Tmall Globalのほうが知名度が高いという理由もあるだろう。

3時間で倉庫が空になったライブ配信

2014年2月にローンチされたTmall Globalは美容アイテムとの親和性が高い。前述の艾媒諮詢によると、2019年第3四半期時点でのユーザーは58.6%が女性で、年齢別に見ると、24歳以下が43.8%、25〜30歳が33.7%で、30歳以下が約8割を占めている。美容関連の商品も多く扱われ、日本をはじめとする世界各国のブランドが出店。メーカーだけでなく、セフォラやマツモトキヨシ、@cosmeなど小売としての出店もある。

Tmall Globalは、Webサイト版では単独のページがあるが、アプリ版はTmall(天猫)のなかに混在している。そのため、輸入品を目的にしているわけではないユーザーにも訴求できる可能性が高く、中国国内ブランド同様、ライブ動画を積極的に取り入れているブランドが多い。

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