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三遊亭白鳥×田島貴男 ペルソナとソウルの粋な戯れ「一期一会」

…という、大阪市中央公会堂で開催されたイベント(11/23)を配信で観ました!これは6月に東京で開催された柳家喬太郎×田島貴男の大阪場所といった感じで、本当はこの公演も6月に行われるはずだったのですが、コロナのことがあって半年近く延期になっていたのです。延期になったことで会場もなんばHatchから大阪市中央公会堂の大集会室へと変更。この大阪市中央公会堂がなんだかとても素敵な建物で。
(↓田島さんがツイッターにあげていたのを拝借)

ひえー、行ってみたい!田島さんによればここにはかのアインシュタインも来たことがあるとのこと。すげー!(※田島さんはアインシュタインの残り香を感じ取ろうとしていたようですがどうだったのでしょうか)。歴史のある建物はいつまでも残って欲しいものですね。

さて、本編に入ります!まずは三遊亭白鳥師匠と田島さんが揃って舞台に登場。この時の出囃子はやはり「接吻」!「接吻」の出囃子バージョン、最高!!(≧▽≦)衣装はというと白鳥師匠は白地に白鳥マークがついた着物、田島さんはシックに白シャツと黒ジャケット&パンツ。

ここで田島さんは白鳥師匠との出会いについて話してくれました。10年くらい前、たまたまフラッと入った寄席で観たのが喬太郎師匠と白鳥師匠の高座だったらしく、そこで「これはすごい!」と田島さんはショックをうけたそうなんですね。で、田島さんが一人で"ひとりソウルショウ"というステージを始めるにあたって落語を参考にしたそうなんです。なぜ落語?という感じもするけど、たった一人で場の空気を作る、という点ではやはり共通するものがあるように思います。

白鳥師匠としても初めて田島さんと会ったときのことが印象に残っているようで。ある時、師匠は『ギンギラ 落語ボーイ』という小説を書いてそれを会場で売ったことがあったそうなんですが、全然売れなくてどうしたものか…と思っているとき、背の高い男性が現れてその小説を買い、本に「サインください!」といって差し出してきたそう。すると周りが「えっ、この人有名な人じゃない?!」という感じでザワつき出したらしいのですが…

まあもうお分かりかと思いますが、その男性とは、なんと、田島さん!当時田島さんのことを知らなかった白鳥師匠は(誰、この大きい人?!)と思ったそうですが、田島さんは師匠に対して「僕のことは知らなくていいんです。」と言ったらしいです(カッコよ!(笑)。田島さんはこのことについては「そんなことあったかなあ~?」と覚えてなさそうでしたが、そんな出会いから10年以上経って今回初共演することになったのですね。

さて、そんなトークのあと、まずは田島さんの出番。ギターで弾き語りしつつ足でフットストンプとフットタンバリンを踏みつつ歌う、というひとりソウルスタイルでのステージ。まずはリゾネーターギターで「フリーライド」。ばっしんばっしんギターを叩きながら一発お見舞い、といったところ(初めて観た人は迫力にビビると思う)。続いてはアコースティックギターに持ち替え「遊びたがり」を歌ったあと、「田島貴男でございます」と改めて自己紹介(ここでさっきのアインシュタインの話をしてました)。

3曲目はまたリゾネーターギターで「築地オーライ」。はて、大阪で築地…?と思いながらしばらく聴いていたのですが、途中で前回の喬太郎師匠とのコラボの時もこの曲を歌って、突然師匠が出て来て一曲歌を披露したんだっけなあ~と思い出しました。えっ、じゃあ今回も白鳥師匠が歌うの?Σ( ゚Д゚)と気付いた私、この曲が始まってすぐ気付けよ!と自分にツッコミを入れたくなりました(笑)思ったとおり田島さんは途中から台詞口調になり「こんなところに寄席があるじゃないか」「新曲発表会?ひやかしに入ってみるかな」と言ったところでやっぱり白鳥師匠が登場!

白鳥師匠が歌を出してるかどうか私は知らなかったのですが、新曲発表会という前置きから、初披露の曲なんだろうな、とわかりました。出だしのところはタイミングをつかみづらかったようですが、田島さんのリードによりそのあとはいい感じに歌い上げた師匠。この曲は後で白鳥師匠が話してたことによると、山手通りを歩いてたら急に降ってきた曲なんだそう。なんと言っても歌詞が面白かった!「人生なんて落語になればいい」とか「幸せの呪文はテケレッツのパー」とか(笑)タイトルは『落語居酒屋』というそうです。CDを出した折には買う、と田島さんはMCで言っていました。

白鳥師匠が舞台から降りると再び田島さんの弾き語り。「白鳥さんの新曲だったらしい。なかなかいい歌で思わず聴きいっちまった。再び先に参ろうか…」という語りのあと元の歌へと戻ったのでした。続いてはエレキギターに持ち替えての「接吻」。今回の選曲は白鳥師匠の落語の内容に合わせてか弾けた感じの曲が多かったので、唯一ロマンティックな曲となっていました。

最後の曲はリゾネーターギターにブルースハープをくわえて「JUMPIN' JACK JIVE」。ハープを吹きながらの演奏は圧巻!これまた初めて観た人は迫力に圧倒されたんじゃないでしょうか。自然に手拍子もわいていたようですが、コール&(手拍子での)レスポンスもあったりと大盛り上がりで田島さんのステージが終わったのでした。

続いては白鳥師匠の出番。よっ、待ってました!田島さんはそのまま舞台に残り、師匠の出囃子をリゾネーターギターで披露。白鳥師匠の出囃子はまんま「白鳥の湖」だったので笑ってしまいました。師匠はマクラで先ほど披露した「落語居酒屋」について、出来上がったいきさつや今回のステージのために田島さんとZoomで打ち合わせしたことなどを話してくれました。また、今回披露する新作ホラー落語(?)『奥山病院綺譚』が出来たときのエピソードなども。白鳥師匠のマクラは自然体な口調で、素もこんな感じの人なのかもなあ~と思いました。

10年くらい前に作られたというこの新作落語は当時白鳥師匠が病院に入院していたときの体験を元に考えられたネタのようです。ちなみにこのイベントでこの噺にしたのは田島さんのリクエストだったからだそう。私は師匠の落語を初めて聴いたんだけど、話の展開が全っ然読めなくて面白かった!これどう着地するの?っていう(笑)ざざっとあらすじを述べるとこんな感じ↓

ある山奥の病院で働いている警備員。深夜の警備で落武者の亡霊が出るらしいという噂を思い出し怖れをなしていると、そこに院長先生が登場。院長先生はそこでかつて給食センターにいたヨシエさんという女性の思い出話をする。思いこみが激しくおせっかい焼きのヨシエさんの話はにわかには信じがたい内容も。その後、院長先生に頼まれてとある自動車に乗り込みふもとの病院へ届けものをする羽目になった警備員。そこで出会ったものとは…といったお話。

ヨシエさんは生まれも育ちも大阪という設定で、江戸落語家の白鳥師匠がエセ関西弁でヨシエさんを演じるところが面白い(笑)ていうかこれめちゃくちゃ大阪でやりづらいだろうな(^-^;しかもミュージシャンとの共演で、観に来てる人たちが落語好きとも限らないだろうし、アウェー感半端なかったんじゃないかと思います。しかし白鳥師匠はすごかった!院長先生と警備員の会話を交互にしゃべっているときは右を向いたときと左に向いたときと全然違う人に見えるし、ヨシエさんのあり得ないエピソードもただ面白いだけでなくて伏線になってて見事に回収!

そんなわけで白鳥師匠の話術にすっかり引き込まれて世界に入りこんでいると、配信なのでこちらからは見えないけれど、途中から何やら効果音が聞こえてきます。どうやらそれはリゾネーターギターの音で、下がっていた田島さんが舞台に戻ってきて効果音を入れている模様。なるほど、今回はそういうコラボレーションなのね!と思いました。ギターで怪談話の時に流れる効果音や車が落ちてゆく音を表現してましたが、臨場感が増してすごく良かったです!

そして効果音だけでなく、最後はやはり田島さんの歌も。「人生は楽しくなきゃ。人生は祭りだ!」「田島さん歌ちょうだいなー!」との白鳥師匠のフリで田島さんの演奏が始まりました。「フィエスタ」という曲でしたが、この曲は死者という単語も出てくるけどタイトル通り祭りをテーマにした明るいイメージの曲でもあるので、師匠のオモシロ怪談話に合う!(笑)田島さんの歌に合わせて座ったまま手ぬぐいを振り回して踊る白鳥師匠。最後は一緒に口ずさんだりも。いやー、お二人の芸の化学反応、面白かったしめちゃめちゃ楽しめました!

終わったあとに白鳥師匠は思わず「落語界で感じたことのないような疲労感(笑)」とおっしゃってましたが、また田島さんと共演して欲しいなあ~!今度は東京で!そして田島さんと落語家さんとのコラボレーションイベントも今後ぜひシリーズ化してほしいな、と思ったのでした。FM COCOLOさん、面白いイベントを企画開催していただき、ありがとうございました!!

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