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プリンストン大学の学生新聞から見える東大に通う僕らの課題(仮)

学生新聞と大学との関わりを調べるために、東大新聞オンラインのメンバー2人とアメリカに来ています。

ひとつ目の大学は、NYから車で1時間のプリンストン大学。アイビー・リーグの有名校で、学生は学部・院あわせて7000人程度の小さな学校だ(東大は25,000人)。
学費は45000ドルと、東大の54万円と比べたら10倍近い値段だけど、合格さえすれば家計に応じて奨学金が出る。

ここにはthe Daily Princetonianという1867年創刊の学生新聞があって、もうすぐ140周年を迎える。東京大学新聞が創刊したのが1920年(大正9年)だから、それより50年以上長いことになる。
ウェブ版のthe Daily Princetonianを見ていて思うのは、読者との交流がとても活発だということ。

emailやSNSで記事についての問い合わせを積極的に受け入れていて、「オフィスのオープンアワーにはぜひ編集部を訪れてフィードバックをください」というメッセージも出している。読者からの投稿が“Letter to the editor”という形で公開されることもある。

記事からは「学生同士の会話のきっかけになる」問題を取り上げて、身の回りの議論を活発にしたいという意識がひしひしと伝わってくるし、「キャンパスで消し去られがちな少数者の声を可視化する」ことでよりフェアな議論を提供しようとしている。LGBTや収入の少ない学生についての記事も多い。
http://dailyprincetonian.com/opinion/2016/01/letter-from-the-editor-6/

去年、アメリカ中の大学で人種差別問題が話題になった。ミズーリ大学では学生の運動を受けて総長が辞任する事態になったし、プリンストンでは人種差別主義者だったという理由で、Woodrow Wilson元大統領の名前を"the Woodrow Wilson School of International and Public Affairs”から取るべきという議論がいまだに続いている。
(ウィルソン大統領は、国際連盟を主張したあのウィルソン大統領。その名前を削除しようなんて議論になるんだからその規模の大きさがうかがえる)

こうやって、質の高い記事を出し続けているのはどうしてなんだろう。たぶん、いくつか理由があって、

・キャンパスに所属している学生の、議論することに対するモチベーションが高い
・授業のなかで議論することが推奨されている(コミュニケーションやディスカッションのための授業がある)
・コミュニケーションやジャーナリズムの授業の一環として、学生新聞が運営されているかもしれない(仮説)。アメリカでは、学生新聞に関わることで単位が出る大学も多いと聞くので。

などが考えられる。もちろん学生新聞内部の問題もあって、中の人としてはとては反省する点がたくさんあるんだけど(今日は棚上げさせてください)。

東大って、日本語でコミュニケーションをとったりジャーナリスティックに書いたりプレゼンしたりする授業が少ない。英語のライティングやプレゼンの授業はあるけど、学生が議論したりコミュニケーションを取る能力を高める仕組みが不足しているように思える。(これだけ僕ら東大生の「コミュ症」が話題になっているというのに!)

今日は昼からthe Daily Princetonianの編集部の人たちと交流してきます。どんな話が聞けるのか楽しみ。

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