見出し画像

診断士試験合格に必要なこと(2次試験編)

今回は中小企業診断士2次試験の合格に必要なことを私なりに綴っていきます。私は2次試験を5回目で合格したというベテラン(苦笑)なので、人よりは苦労しましたが、この内容が少しでもお役に立てれば幸いです。

2次試験は紙上コンサルティング

1次試験は、中小企業診断士に必要な知識をテストするもの。2次試験は、診断士に必要な考え方・伝え方を試す試験。4つの事例問題(①組織人事②マーケティング③生産技術④財務会計に関する事例)にはすべて仮想企業の事例が出てきて、その企業の課題を抽出し、社長にコンサルティングを行う。実際のコンサルを紙上で行います。解答する相手は、試験委員ではなく、与件に出てくる中小企業の社長に対してのアドバイスなのです。

私も受験生時代には与件に出てくる企業に対して、社長の顔を思い浮かべたり、店舗や工場を想像していました。

2次試験は勉強すればするほど、論理的思考力が身につく

2次試験は、与件文の中小企業に対して助言をする試験ですが、実際のコンサルと同じように、助言する際には論理的に説明をする必要があります。なぜそれが問題なのか?その原因は?その改善策はどのようなメリットがあるのか?等、相手に納得してもらいすぐにでも実行できる改善策を提示するのが2次試験。この論理的思考力が2次試験には求められますが、はじめは全くなくても勉強すればするほど身につきます。そんな意味で2次試験は非常に面白い試験だと思います。

私は元々人に説明したり、論文を書くことの経験が無かったのですが2次試験の勉強を多年度するうちに自然と身につき、今実務で役立っています。

与件企業の課題テーマと改善方向性を考える癖をつけると点数が上がる

2次試験の勉強を始めた時は、答案練習をすると100点中、9点(笑)とか取っていました。それは、与件企業や問題文の小さなところばかりを見ていて、大きな視点での課題や改善の方向性を考えることをしていなかったからです。例えば、製造業であれば「下請け脱却のための自社ブランド展開」とかサービス業であれば「従業員満足度向上よるサービスレベルの向上」等大きなテーマが必ずあります。この大きなテーマ「木の幹」を明らかにしないで問題を解くと「一貫性のない解答」なってしまいます。大切なことは与件企業の課題テーマは何なのか、改善の方向性は何なのかを見つけることです。これが出来れば、その方針に沿った各論を書いていけばいいので、ぶれることはありません。

画像4

この課題テーマと改善の方向性を考える癖をある受験校の先生に教えてもらってからは飛躍的に点数が上がりました。そして、与件企業に実際コンサルティングをしているような視点で試験問題に向かい合うことが出来て、勉強も楽しくなりました。

過去問攻略は必須

2次試験は1次試験と違って、問題の出し方が独特です。例えば「〇〇についいて考慮するべきことはなにか?」、「〇〇について長期的な視点の課題を述べよ」等、具体性が低く、抽象度が高い問題がたまに出てきます。「これはいったい何を聞いているの?」と何について答えたらいいのか分からない。初めて2次試験にチャレンジする人はその壁にぶち当たります。

もちろん、なにを答えたらいいのか分からないという問題も必ず解答の方向性はあります。まずは国家試験の中でも特殊と言われる診断士2次試験に慣れること。それは過去問を最低3年分は何度も解くことをお勧めします。(下記の写真は私が受験生時代使っていた過去問)

画像3

短時間で解くには自分なりの解答プロセス(型)を確立する

リアルな企業診断であれば、じっくり社長から話を聞いて助言できるのですが2次試験は1事例につき80分しか時間がありません。この時間を有効活用するために試験開始から解答するまでのプロセスを自分なりに確立しておくことが有効です。これを時間ごとに区切っていけばタイムマネジメントも行えます。例えば私の場合は以下のようにタイムマネジメントをしていました。

⓪試験開始⇒①受験番号と名前を書き、与件文と問題文の分量を確認(1分)⇒②問題文で問われていことを事前に把握(5分)⇒③与件文を読む(SWOT分析しながら)(15分)⇒④与件企業の課題テーマと改善方向性の設定(経営戦略)(10分)⇒⑤個別課題や改善策について問題文に沿って解答骨子を余白に記入(15分)⇒⑥解答用紙に一気に解答を書く(30分)⇒⑦誤字脱字の見直しと修正(4分)

あくまでも例ですがこんな感じです。2次問題に取り組むときには必ず自分で決めた解答プロセス(型)を守ることで、本試験でも緊張せずリラックスして取り組むことが出来ます。

1次知識は使うが、2次で必要なものだけカードにする

2次試験では1次知識をすべてではありませんが、活用します。最低でも4つの事例。①組織人事②マーケティング③生産技術④財務会計に関する知識は必要です。ただそのまま知識を当てはめることはほとんどありません。その知識を応用して事例企業の課題抽出や改善策を考える際の「切り口」にするのです。過去問題や受験校の問題を解いていくと、与件企業に出てくる課題や方向性は共通する部分が多いことに気が付きます。それは中小企業の抱える課題に共通点が多いのと同じです。

その課題に対する改善の方向性を考える上での「切り口」をノートやカードにまとめることが有効です。私の場合は小さなカードに事例①~④で課題と改善策の切り口にまとめて、それをいつも持ち歩いていました。もちろん与件企業の情報が最優先ですが、課題に対する改善のパターンをある程度覚えておくとそれを転用するだけでいいので情報整理の効率化が図れます。(下記の写真は私が実際作っていた切り口カード)⇒今でも宝物です。

画像2

書き方が分からない時は「写経」がいい

解答は20字くらいの短文から200字までの長文があり、特に長文になると200字でどのような構成で解答をすればいいのかはじめは分かりません。例えば、結論+理由や結論+具体策などの構成や、3C(市場・顧客・競合)の切り口で答える等様々な書き方があります。でも言葉の使い方や文章の長さ、表現方法などは見て覚えるよりも実際書いて覚える「写経」をお勧めします。具体的には、過去問を解いてみてあとは、予備校の模範解答をひたすら原稿用紙に書いていく。とにかく書く。これを何度も繰り返すうちに、100字の表現方法、200字の表現方法等が体で掴めてきます。考えるよりも書いてみることが長い目で見ると、解答技術向上に繋がります。

画像5

受験校の活用をした方がいい理由

2次試験を独学でした方がいいのか受験校を利用した方がいいのか。予算があれば利用した方がいいと思います。理由は、1次試験はマークシートのため間違ったところを復習すれば勉強になりますが、2次試験の場合は記述式のため、〇×だけでは間違いを判断できないのです。このため、どこが悪くでどうしたらいいのか?個々の解答に対する客観的なアドバイスをもらうことが有効です。それが「添削指導」です。添削指導を受けることで自分の解答の考え方や記述方法の誤りがより具体的に分かります。具体的なため、より修正もしやすくなり、解答レベルも上がります。

独学では主観的な視点での学習が中心になり、間違いを正すことが難しいため、お金をかけてでも受験校を利用することをお勧めします。

継続して受験し続ければ、必ず合格できる

2次試験は、合格した人に聞くと「なぜ合格したのか分からない」と言われることが多い試験です。それは与件企業の改善の方向性をつかむのが難しく、明確な解答が出しにくい問題が多いためです。でもこれは試験であり、一定の解答の方向性で採点をしていると思われます。私は5回2次試験を受けましたが、3回目で手ごたえばっちりだったのに落ちた時は相当ショックでした。次の4回目も同様です。模試は常にAランクだったのに。

合格した5回目の試験は最も難しく感じて、まったく手ごたえがなく、「今年もだめか…」とほとんど諦めていた矢先に合格。本当によくわからない試験だなと改めて思いました。私のように多年度受験する人もいますが1回で合格する人もいます。

たぶん5回目の難しいと感じた試験はどの受験生も難しく感じたのだと思います。合格できたのは「合格するまで受験し続けたから」です。前回の1次試験の話でもお伝えしましたが継続すること。諦めないことが合格の秘訣です。

成功曲線を知っていれば継続できる

成功曲線はご存知でしょうか?それは努力してもそれに比例してすぐに成果が上がらず、時間差を置いてある日突然成果が上がるという法則です。2次試験も同じだと思います。勉強し続けてもなかなか点数が上がらない、それがある日突然上がる時が来ます。それは継続した人が受けれる恩恵。継続していれば必ず実力が付いているはずです。

画像1

皆さんもぜひ2次試験を突破されて、同じ診断士としてお会いできることを楽しみにしています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?