超個人的プロ野球いい話~吉井理人編~

僕は福岡県出身、福岡県育ちなのに
オリックスファンだ。

周囲はもちろんホークスファン。
しかも、僕がプロ野球の魅力に
取りつかれた頃は
ホークスがどんどん強くなっていき、
オリックスがどんどん弱くなっていった時代だった。

そんな環境でオリックスを応援するのは
なかなかしんどい。
周りに味方は1人もいない。
めちゃくちゃディスられる。
ただ孤独に応援するしかなかった。

しかし、当時の僕はメンタルが強かったらしく、
福岡ドーム(当時)に
オリックスのキャップを被り、
オリックスのTシャツを着て、
オリックスのメガホンを持って
周囲のホークスファンの目を気にすることなく
声援を送り、歓声をあげていた。

そんな中、2003年にメジャーリーグのエクスポズから
吉井理人投手がオリックスに入団した。
メジャーリーガーが入団するということで
とてつもない期待を持った記憶がある。


2003年のある日、福岡ドームに
オリックスVSダイエーの試合を見に行った。

試合開始前、オリックスの選手たちの練習を見ようと
グランドのギリギリまで行き、かじりつくように
練習を見ていた。

その時、1人の選手がこちらに向かって歩いてきた。
吉井投手だ。
元メジャーリーガーだ。
スターだ。

そして、そのスターが僕の前で足を止めた。

驚く僕。

すると吉井選手が口を開いた。

吉井「お前オリックスファンか?」

僕「はい」

吉井「福岡の人?関西出身とかじゃなくて?」

僕「はい」

憧れのプロ野球選手との会話に緊張し、
「はい」としか言えない。

すると吉井投手が

吉井「珍しいな~(笑) じゃあボールやるよ」

と言って僕の方に持っていたボールを
投げてくれた。

しかし!
そのボールを隣にいたオジサンが
圧倒的身長差を活かして
横取りしてきたのだ。

しかも、ホークスのユニフォームを
来ているところからして
完全にホークスファンだ。

天国から地獄に落とされた気分だ。

しかし、そこで救いの一言。

吉井「おい!お前!その子のもんや!」

なんと吉井投手本人が助けてくれたのだ。

強面の吉井投手からそう言われた
オジサンは僕にボールを渡した。

緊張と動揺のあまり、
お礼すら言っていないことに
気づいた僕は、慌てて

「ありがとうございました!」

と吉井投手に言った。

するとすでに練習へ戻ろうとしていた
吉井投手は、こちらを振り向き
微笑みながら
「しっかり応援しろよ」
と一言残して去っていった。

カッコよすぎた。
やはりプロ野球選手はヒーローなのだと実感した。
僕は吉井投手をずっと応援しようと
心に誓った。


こういう事ってファンは一生覚えている。
今でも、テレビ中継でコーチとして映る吉井さんを
見るたびに、その時の事を思い出すほど。

いつか吉井さんに会ったら、この話をしたいなあ。

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