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【私的Disc Review-003】Edwin Starr ‎– War And Peace

2013年秋に東京から移住してから街中の築100年以上経っている古民家を借りた。改築自由、ペット可という物件。
雨の多いところなので床はすぐ腐るし古い家なので隙間風もあるが都度自分で直し住み続けている。
この家は骨董を見る感じで柱や階段の手すり、建具など素晴らしいものが使われていて自分が一番好きなのは漆塗りの戸だ。当時物のすりガラスと経過でできた艶。それがいい風合いが出ていて履き古したビンテージジーンズのように色褪せていてすごくいい。

もともと菓子商を営んでいた家で職住一体型の構造になっており通りに面した部屋が土間打ちの店舗になっている。
奥に細長い作りで途中には坪庭もあり近くの川から流れてくる川風が気持ちよく窓を開けて茶の間で寝転がってるとついウトウトしてしまう。
またそれが気持ちいい。

大雪のあった年は屋根に雪がのっかり重みで戸が開きにくくなったり、大雨が続いて雨漏りがあったりと大変な部分もあるが、愛着が増してまだまだ住み続けようと思っている。こういう家は年取ったら住めないと思っているのでいずれは出ていくことになるだろうが、多分この家を出ていくということは次の住んでみたい街に移住する時だと思っている。

Edwin Starr ‎– War And Peace
Arranged By – David Van De Pitte, Henry Cosby, Paul Riser, Wade Marcus, Willie Shorter
Art Direction, Design – Curtis McNair
Mastered By – Randy Kling

このアルバムには強烈な思い出があって個人的な思い出話になってしまうかも。

このアルバムは高校時代から持っている一枚だ。
高校受験も終わりあとは卒業式まで学校に行かなくていい長い春休みに親友と夜中家を抜け出し、初めてCLUBというところに行った。
実家が街中だったこともあり小学校6年生位から深夜徘徊を繰り返していてスケボーやってるお兄ちゃんや、他の中学で深夜徘徊をしているグループなどと大人に見つからない場所で集まったりしていた。
そんな中でCLUBという存在を知ってはいたが流石に子供だとバレてしまうのでなかなかいく勇気がなかったが、受験からの開放感と長い春休みの退屈からCLUBというところに行ってみることにした。
歳を誤魔化すために目一杯のオシャレをして。

大音量で流れるレゲエとリズムに合わせて踊る人たち。
その当時はレゲエが第二次ブームで平日夜でもレゲエのパーティーが地方都市仙台でも活況していた。
当時二十歳かそこらのお姉さんたちに「えー中学生なの?可愛いー」とか言われながらも「大人って夜中に人知れずこんな楽しいことしてんのか!悔しい!」ってのとDJを見て漠然と「俺もあれやりたい!」って言う衝動に駆られた。

それから高校生になり県民会館の裏のローソンでバイトしてDJ機材を買った。
高二の夏休み、相変わらず県民会館の裏のローソンで毎日バイトしており、一緒にシフト入ってる一学年下のAというやつがいた。
こいつがまた見た目は真面目そうなのに、ものすごく悪いやつでエンジンかけて止めてあるスーパーカブをそのままかっぱらって通勤してくるような奴だった。
彼とは意気投合して仕事上がりで飲みに行ったり夜遊びしたり夏休みの間帰宅は午前様みたいな状態だった。

正直高校生の分際で居酒屋で呑んだり、クラブで朝まで遊んだり今では考えられないことだが90年代初頭はまだまだ未成年には緩かった最後の時代だと思う。10代にしてクラブで東京から来た有名なDJとかアーティストを目の前で見れたりしたのは幸運だったと思う。

そんな夏休みのある日。確か仙台七夕くらいの時だったか。
Aから「俺のいとこ東京でDJやってて今夜帰ってきて仙台の昔のお客さん集めてパーティーやるから早い時間DJやらない?」って誘われてそのままやることになった。人前でやるのはほぼ初体験である。

広いキャバレーみたいな場所にスピーカーが入れてあってDJブースが組まれてて、もうお客さんはすでに入っててよく見ると自分の母親くらいの世代の集まりだった。「よろしくお願いしまーす」とか言いながらレコード持っていきさて始めようとすると、、、。
「あら?○○ちゃん(本名)?」遠くで聞き覚えのある声。
ふと見ると自分の母親の友達だった。幼少期から顔見知りなのですごく気まずいというか何というか、、、。
周りのおばちゃんとかも「え?あの○○ちゃん?大きくなったねー」なんて声が聞こえてくる。
ナント!そこにいた人たちほぼ全員母親の昔の友達だったのだ!
そして何人かのおばちゃんたちはDJブースの前に陣取って我が子のように見守られるという、、、。

そんな場でなにかけたとか覚えてないけど、、、。
AのいとこはアースとかJBとか往年のディスコクラシックスかけてて、みんな同じステップ踏んでて大盛り上がりという記憶しかない。

次の日昼過ぎに起きると母親からこのレコードさっきOOちゃん(あら?〇〇ちゃん?と言ったおばちゃん)が持ってきたのよと言って手渡された。「あんたこれすごい流行ったのよ昔。WARって曲がね。」
それ以来このレコードはいまだにターンテーブルに載っかる。
だけど絶対WARだけはかけない。
今思うとあの頃の母親と同じ歳になってるのだなーと思いつつあの頃の友人や思い出がぱーっと蘇る。

いや。なんかディスクレビューというよりこのアルバムにまつわる思い出話になってしまったけど、、、。ま。私的レビューということでお許しを。

でDJでこのアルバムからいつもこの曲をかける。
ノーザンソウルの大名曲。7インチシングル盤は結構いい値ついてたりする。
このアルバムの中でこの曲が一番ソングライティングが完璧だと思う。


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