私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #16 【14日目】スティック盗難〜サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダでリンジー達とディナー
こんにちは、ナガイです。今日はナヘラからサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダ(Santo Domingo de la Calzada)へ向かいます。
前回の記事はこちら。
天気予報(サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダ) 曇り 最高気温13℃ 最低気温2℃
2時半に一度起床。まだ眠気を感じる。再び寝て6時半起床。今日はたっぷり眠れた。今日歩くのは21kmとそれほど長くないのと、気温も上がらない予報のため、ゆっくり準備して出発することにする。
時間があるので1階の食堂で昨日買ったパンを朝食に食べようと降りると、なんとクリスティアーノがいた。ピレネー手前で泊まった宿で会った以来だ。お互い笑顔で再会を喜ぶ。Google翻訳で会話をすると、彼は足に大きな問題(マメか水膨れだろう)が発生したとのことで、今日は荷物をトランスポートしてもらっているそうだ。「今はみんな問題を抱えているよ」と伝える。
いざ出発しようとすると、アルベルゲの入口付近に置いておいた自分のスティック二本のうち一本がなくなっていることに気づく。一本だけ取り違えて持っていくことも考えにくいので恐らく盗まれたのだろう。幸いにも今日はコンディションがいいので問題なさそうだが、必要があればどこかの町で新しいスティックを買うことにしよう。
8時前に出発。外は寒いので手袋をつけて歩く。
歩き始めるのが遅かったので当たり前だが、すぐに朝日が差し込んでくる。今日も少し天気が悪いかと思っていたが、空にはほとんど雲がなく巡礼日和のいい天気だ。
30分ほど歩いたところで体が温まってきたので手袋を外す。この時間に歩いている巡礼者は比較的ゆっくり歩く人が多く、自分は元々歩くのが速い方なのでどんどん追い抜いていく。
よく食べて、よく寝た次の日は調子がいい。足の指先も具合はよくなってきたが、唯一昨日の途中から痛みを感じ始めてきた左足のアキレス腱を気にしながら歩く。昨日道中で会った女性から学んだ道の端のフカフカな土の上を歩く作戦も取り入れた。
今日は視界に入る巡礼者が今までで一番多いかもしれない。みんなでハイキングしているようで楽しくなってきた。
9時頃にアソフラ(Azofra)の村を通過。
アソフラで休憩していたミアに「スティックを一本盗まれちゃったから、もし見たら教えてくれない?」とお願いする。ミアが自分のスティックを見せてきて、「私はあえて緑色のスティックにして、さらにテープを貼って目立つようにしているの」と教えてくれた。自分のスティックは黒一色で特に目印も付けていなかったので盗みやすかったのかもしれない。ミアが言うにはごくまれに靴が盗まれることもあるらしい。スティックがなくても最悪歩くことはできるが、靴がなかったらさすがに歩けないので、もしそうなったら死活問題だ。
同じくアソフラで休憩していたドイツのマルコスも後ろからやってくる。同じようにスティックが盗まれた話をすると「おお、そんな…」と心配してくれた。
またしばらく歩いているとアニータとウリーが後ろからやってきた。ウリーとしばらく並んで歩き、これまでの巡礼で学んだことや感じたことを話し合った。
今日も風が強く、しかも冷たい。昨日までは半袖Tシャツに薄手のジャケットを着ていたが、今日は下に着るのを長袖に変えていたのでちょうどよかった。
10時半過ぎにシルエニャ(Cirueña)の村を通過。
村を抜けて間もなく、前にも見た黄色の花が一面に広がっていた。
この花は後で教えてもらったがキャノーラらしい。確かにキャノーラ油のパッケージに描かれているのを見たことがあるが、実物はこんなにも目を楽しませてくれるものだとは知らなかった。
それから見晴らしのいい一本道をひたすら歩いていく。
11時半頃に今日の目的地サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダの町並みが見えてくる。
最後の道も辺り一面に草花が広がる一本道だ。
この時間になると少し気温も上がり、風が涼しく感じられてちょうどいい。
12時にサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダへ到着。今日はかなりいいペースで歩けたのではないだろうか。
今日は道が終始なだらかだったこともありスティック一本でもほとんど不便を感じずに歩くことができた。しかも片手が空いているとスマホの操作やデジカメの撮影もしやすいことが分かった。この発見は怪我の功名だろう。
アルベルゲはすでにオープンしていたのでチェックイン。近代的で清潔感のあるアルベルゲだ。
シャワーと洗濯を済ませて14時頃に町へ出る。風が冷たいのでダウンジャケットを着て歩くのがちょうどいい。
近くにおいしそうなイタリア料理屋があり、ランチはピザを食べることにした。店の名前が付いているStradaというピザがおいしそうだったのでそれを頼んだ。トマトソースをベースにチーズ、ハム、マッシュルーム、ピーマン、半熟卵が載ったピザだ。
生地は薄めのパリパリタイプ。このピザがおいしかった。おいしいものを食べると大抵のことはどうでもよくなる。コーラと合わせて14.30ユーロ。ウエイターの女性から「日本から来たの?」と聞かれたので「そうだよ」と答えると、彼女は今年11月に日本を2週間旅行する予定だそうだ。店を出る時に「日本旅行楽しんでね!」と言うと彼女は笑顔で「アリガト!」と日本語で応じてくれた。
スーパーで明日の朝食用のボカディージョと、甘いものを摂取したかったのでグミとココアスムージーを買う。4.36ユーロ。
アルベルゲに戻ると、ピレネー手前の宿から顔見知りのリンジーがディナーに誘ってくれた。19時頃に巡礼者仲間9人でディナーを食べに町へ出る。リンジー、ウリー、アニータたちのグループは普段ネイティブのスピードで話すため会話についていけないことが多く、そのグループとはやや距離を置いていたのだが、リンジー達はそれを少し気にしていたようだ。
ディナーではリンジー、ウリー、アニータ、それと新たにニュージーランドから来たオーウェンと話した。オーウェンはすでに仕事をリタイアしており、息子さんからカミーノのことを聞いて歩くことにしたそうだ。彼はユーモア抜群で若い巡礼者仲間ともすっかり打ち解けており、初対面の自分の話も親身になって聞いてくれた。
一皿目に海鮮パエリア、二皿目にミックスサラダ(本当は一皿目にサラダ、二皿目にパエリアを頼みたかったのだが焦って順番を間違えた)、デザートにヨーグルトムースを注文。赤ワインやパンも付いて15ユーロ。
料理はどれもおいしい。このクオリティとボリュームでこの値段なら文句なしだろう。食事の終わりの方にリンジーとアニータが「あなたは私たちの友達よ」と言ってくれた。
夕食後アルベルゲに戻り、リンジーにディナーへ誘ってくれたことのお礼を言うと、リンジーの方からも「来てくれてありがとう」と言ってくれた。その時の彼女の穏やかな表情は忘れられない。21時半就寝。
歩いた距離
今日21.0km 合計213.5km 残り566.9km
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