ユーモアはどのように入れるのか
聴衆を笑わせよう
プレゼンテーションの幅を広げたいならユーモアを入れるのが効果的です。
少々退屈なテーマでも、話術により聴衆の表情を綻ばせれば一体感が生まれますし、より積極的に聞いてもらえます。
ただ、面白い原稿を作ろうと意気込んでもなかなか筆が進まない方が多い。
そんな文章の書き方はどこでも習わないからです。
本日は笑いの仕組みを解説して、漫才やコントのような「お笑い」と
プレゼンテーションで魅せる「ユーモア」の違いを比較します。
この微妙な差を理解すると、あなたの文章は一段階深くなります。
笑いの仕組み
二人が話している場面を例に考えていきます。
こんな会話だったとしましょう。
↓↓
「就職が決まったんだ!」
「どうなったの?」
「商社だよ」
「そんな勝ち誇らなくても、、、」
「違うよ!勝者じゃなくて商社!」
こちらは佐藤の思いつきですので、画面を見ているあなたが無表情なのは予想しています。
このやりとりは笑いの公式の一つを表しているのです。
漫才にもこういった聞き間違えと訂正があり、最後のツッコミで会場が沸くようになっていますよね。
ポイントは聞き間違いの箇所です。
「そんな勝ち誇らなくても、、、」の発言は文脈から逸れた異質さを持っています。
通常なら「商社に決まったんだ!おめでとう」とか「どこの商社なの?」のように展開していきます。
ですから、業種を言っただけなのに「そんな勝ち誇らなくても、、、」と返されるのは不思議ですよね。
淀みなく流れる会話の中で、突如現れるこの雑音が笑いの源です。
そして、雑音は次のセリフ「違うよ!勝者じゃなくて商社!」の訂正によって解消されます。
聞いている人、それから当人たちはこのタイミングで口からプッと息を出します。
雑音が解消される安心感で、笑いが起こるのです。
この一連の現象を、”緊張と緩和”で呼びます。
お笑いの養成所や落語を勉強すると触れる概念です。
笑いを真面目に解説するのは少々滑稽ですがいわば王道のスタイルですので、バラエティ番組や漫才を見ていると頻出しているのに気づきます。
目の前に出された料理に対して
「このラーメンが美味しいって??そんなわけないやろ、、、ほんまや!!」
緊張と緩和に忠実な、大御所芸人の看板ネタですね。
プレゼンテーションのユーモア
当記事は若手芸人には向けていませんのでプレゼンテーションの話をします。
緊張と緩和は2人組でなくてもできます。
漫才におけるツッコミは、ボケの起こした緊張(意図した間違い)を大声で指摘して緩和させて笑いをとります。
対して、プレゼンテーションでは緊張も緩和も一人で行います。
間違いではなく、言葉で違和感を作り出して自ら回収するのです。
例えば、商社についてのテーマであれば、
伝統がありながらも革新を続ける商社業界に目をつけるのは、就職活動における敗者、ではなく勝者です。
ネタは会話例と同じです。
語りでも同じ構造を作れるのを示しました。
「就職活動における敗者」は本来不要なフレーズですが、これにより勝者と商社がかかっていると聴衆は音だけで気付きます。
不要な箇所は際立つので違和感となり、即座にそれが解消されるから表情が緩みます。
プレゼンテーションの随所に緊張と緩和を入れ込めば「上手いこと言うなぁ」と賛辞と笑顔がもらえるのです。
いかがでしょうか?
ユーモアの作り方、イメージができてきたでしょうか。
磨けば更に光る あなたの文章
ユーモアはセンスだと思われがちですが、仕組みを把握すれば誰でも作れます。
日々の鍛錬の中で色々と実験してみてください。
プレゼンテーション道場では、あなたの実験(原稿)の全てを添削して、一緒に磨いていきます。
練りに練ったプレゼンテーションを仲間に披露したとき、作戦通りに笑いが起きると格別ですよ。
『論語』で有名な思想家も言っています。
「学びて時にこれを習う、またよろこばしからずや」
(学んで実践するのは、なんと喜ばしいか)
正しくその通り。
教える立場の人間は、同じ考えに行き着きますね。
同じ”こうし”として尊敬いたします。
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