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D&D2024年版配信まとめ

こちらは、6月18日に配信された「2024 Player's Handbook | Everything You Need to Know」の内容を日本語でまとめたものです。2024年版のあらましから説明しますので、初心者でもお読みいただけます。

2024年版って何?OneD&Dはどうなったの?

現在のD&D5版は2014年に英語で発売されました。今の日本だと割と最近まで公式が流通を初めて知名度が上昇していますが、実は10年も前に作られた割と年季のあるシステムです。

今後の商品展開に耐えうるしっかりとした基盤を作りつつ、10年前にはなかったリソースを注ぎ込んで豪華にリマスターしよう!……というのが「D&D2024年版」です。

こちらはえいりが解説していた当初はOneD&Dの名前で知られていましたが、これは開発コードらしく、今では正式名称が変わっています。
概ねOneD&D=D&D2024だと思ってください。
以下の解説動画プレイリストに当時のOneD&Dのルールを追っていた配信を見られます。調整中のデータを先行して和訳で見れるのでお勧めです。

ここからが動画の内容になります。その前に用語を説明させてください。
PHBとは「プレイヤーズハンドブック」の略で、主にプレイヤーが遊ぶために必要な「基本ルール」である。
MMとは「モンスターマニュアル」の略で、モンスターデータやNPC用ルールがあるもの。
DMGとは「ダンジョンマスターズガイド」の略で、シナリオ運用やGMするうえでのマジックアイテムデータやプレイの指南が書いてあるもの。

概要

D&D2024年版はなんのために開発されたの?
それは、現行のルールを以下の3つの軸に分けて強化したかったから。

  • なるべく多くのルールを洗練する

  • 使いづらかったルールを簡単にする

  • 物語や背景世界を犠牲にすることなく深堀りする

キャラクターの成長一つとっても、レベルアップするときに単調にならず、ちゃんと戦い方が変化するさまを見てほしい。
例えば、戦士系が使える武器マスタリー(*)などは一つ入れ替えるだけでもキャラクターの戦い方が変わる楽しみを提供した。

(*)武器マスタリー:ファイターやバーバリアンなどの戦士系が覚える特徴。武器を選択して、その武器で行う行動が強化される。例:グレートソードの場合は、攻撃が命中しなくてもかすりダメージを確定で与える等。

概要

新ルールのハイライトは以下の通り。

  • 呪文の種類が400以上収録され、新規呪文や呪文を戦闘外で活躍させやすい調整を施した。

  • 戦闘外と言えば、バーバリアンなどの戦闘特化だったクラスも戦闘外で筋力を使って知覚ができるようになる。

  • アイテムを作るための製作ルールが追加された。

  • ルール辞典というものを追加して、索引のように素早くルールを見つけられうようにした。

今回の2024年版では、10年前になかったリソースとフィードバックを用いて最高のものを届けるのが目的だ。キャラクターデータ以外にも面白いルールを取り入れている。
例えば、ハウスルールだったものが正式なルールになった。
よくあるハウスルールとして「回復ポーション」をボーナス・アクションで使っても良いというものがあるが、なんとこれは2024年版のPHBに含まれている。ほかのルールも人気のハウスルールなどを参考にしている。

アート

今回の挿絵や表紙はアートスタイルを崩さずにそのボリュームとクオリティを強化した。特に表紙はセットとして作られている。
その表紙から冒険感を感じられるように、もしも戦闘していたらその最初のラウンドはどうなっているのか?という質問に対する回答を出力している。

PHBの表紙は冒険者が戦っている様子を描いて、インパクトのあるゴールドドラゴンとレッドドラゴンが描かれている。MMは仲間の一人が開幕触手に掴まれていて、DMGはラスボスの部屋に入ったときに最初に見る光景をイメージした。

今回はサブクラス全てに専用の挿絵が用意されている。
この挿絵は「このクラス・サブクラス使ってみたい!」と訴求してくるようなものを用意した。魔法使いを遊ぶのが難しいと感じても、この素敵な挿絵を見て遊びたくなる……ようになったら嬉しい。

キャラ作成の挿絵はあえて線画にした。これはキャラクターがまだ骨組みであることを物語っているからだ。

背景の場合は文字通り風景画像を入れて、作ったキャラクターがこの背景とコラージュされて想像しやすくなるためである。

2024年版PHB

PHBのデータについては以下がハイライトとなる。

  • 能力値上昇が種族から背景へ移り、特技も背景が配布するようになった。

  • 背景には3つの能力値が指定されていて、「一つを+2、もう一つを+1」するかすべてを+1するか選べる。柔軟性を保つために能力値上昇の幅を広めた。

  • クラスやサブクラスなど、データを改修したものあれば、ほぼ作り直したものもある。

10年前はPHB、DMG、MMを「バラ売り」していて、お互いの連携は考えるリソースはなかった。今回は三冊ともにより大きな書籍の一つとして作る事ができた。

例えば、PHBに含まれるモンスターデータはもちろんMMにもあるが、ちゃんとPHBで使う呪文やクラス特徴が不自由なく参照できるようにPHBに入ってる。
特にドルイドはPHBのみで適切な変身先が見つかるだろう。月の円環はもちろんMMを後々必要となる。

レンジャーのビーストマスターも新MMのデータに合わせてより強化されている。召喚系呪文も選べる種別も強さも強化された。

ファンが求めていたサイオニクス(超能力)も中に含めることができた。ローグのソウルナイフやファイターのサイ・ナイトも収録され、10年前出来なかったことがやっとできた。

クトゥルフ系から力を借りるウォーロックのグレート・オールド・ワンも大幅に強化され、ちゃんと邪神たちの力を呪文発動に紐づける事ができる。

新サブクラスも追加

  • ドルイドの海の円環

  • バードの踊りの楽派

  • バーバリアンの世界樹の道

モンクの元素の戦士(旧:四大門)もまるっきり別のサブクラスになるぐらい作り直された。

武器マスタリーはファイター、バーバリアン、モンク、レンジャー、パラディンがデフォルトで使え、ついでに特技で他のクラスも取れるようになった。

特技

特技は2024年版PHBで75個に強化(2014PHBは47個)
レベル1で取得する「初級特技」以外に、レベル19で獲得する偉業の証もある。その中間にはみんなが慣れ親しんだ特技たちが強化されたり形を変えたりしてる。

戦闘スタイルなどはクラスから切り離され、特技専用となった。

フィードバックの賜物

今までのプレイテストで得られたデータを元にちゃんと改善をした!
全てはフィードバックを送ってくれたファンの皆さんのおかげ。
例えば、インスピレーションは今までの「有利」を与える効果から、「振り直し」を与える効果に変更した。

これは攻撃だけではなく、ダメージ、回復、あるいはDMがふらせた謎のロールも全部振り直し出来る!

ルールの互換性

2014年のPHBと2024年のPHBで作られたキャラ同士は同じ卓で存在できるようにルールを調整した。もちろん根幹となるロールや状態異常のルールは2024年版を使ってほしいが、仮に2014年で作られたキャラが居ても問題なく遊べるように気を配った。

キャラクター作成

キャラクター作成を強化し、実際にプレイヤーのためのちょっとしたリプレイを用意してる。挿絵もゲームの外のプレイヤーとゲームの中のキャラを対比させたものになっている。

わかりやすい指南を元に、すべてのクラスのためのお勧め能力値割り振りとお勧め背景などをリストアップしてる。

さらに、高レベルキャラクター用のルールも収録し、レベル3でも18でも好きなところから作成が可能(要DM許可)。

種族(*)

*英語版では種族はRaceからSpeciesに変わっている。日本語ではもとより種族だから関係ないが、英語では人種差別などの連想から離れるためにSpeciesになった。

もともとのPHBになかったゴライアス(巨人族)、アアシマール(天使族)、オークが追加され、能力も使いやすくなるように調整を入れた。

このルルブが今後10年使用され、ボロボロになるまでにファンに愛用されることを願っている。

2024年版DMG

以下の内容が含まれている

  • サンプルシナリオ5つ

  • キャンペーンセッティング(グレイホーク)

  • よく使われる用語集

  • 拠点ルール

と、なかなか「おデブ」な本になっている。

シナリオ作成関連

よく使われるパターンのサンプルシナリオを5つ用意して、これをベースにオリジナルなシナリオを作ってほしい。マップも同封。

キャンペーンセッティング(背景世界)はグレイホークを選んだ。これは過去に愛されていたキャンペーンセッティングの一つで、巨大なポスターマップと共に、拠点となる町を描いたマップも用意してる。50周年記念ということであえてこのワールドを選んだ。
ワールドは我々が用意したので、後は好きに使ってほしい。

グレイホークのポスターマップ

用語集

PLもDMもこの書籍を購入するだけで「ミスラルって何?」「アダマンティンって何?」などの世界観的な解説を受けられるようにした。

拠点(Bastion)ルール

これはキャラクター達がレベル5になったときから、DMの許可で運営できる自分だけの拠点みたいなもの。店や城等、冒険に出ている間に利益やイベントを生み出してくれる。

PLが自分で運用するので、DMも楽である。あるいは、誰かがセッションに参加できず、キャンセルになった場合、この拠点に「行動をとらせて」結果を楽しむこともできる。

マジックアイテム

魔法のアイテムはすべて見直して、数と種類を大幅に増やした。特にコモン(一番低いレア度)は全然少なかったからそちらも増やした。
50周年を記念して、D&Dアニメから主人公たちが使っていたアイテムも収録。
PHBにはポーションやスクロールの製作ルールが入るが、DMGにはマジックアイテムを幅広く製作するルールが追加される。

トラッキングシート

発売後にダウンロード可能な用紙、いろんなものに特化して、記録を残すための便利なテンプレート。

  • シナリオ情報

  • NPC

  • 町の概要

  • 拠点の状態

  • 配布したマジックアイテム

  • キャラの重要な情報

等が記録可能

イントロダクション強化

DMGの最初の3つの章は次の通り。

  1. 基本:DMに興味がある人のための誘い

  2. ゲームの運用:ルールを説明する長めのリプレイ

  3. DMの道具箱:罠、毒、攻城兵器、NPC作成方法、ファイアボールファンガスの生態等……いろんなものが入ってる

2024年版MM

今までで一番でかい、以下がハイライト。

  • 500体以上のモンスターデータ

  • 元のモンスターに75体の新規データを追加

  • 2014年版のモンスターをすべて作り直した

  • カテゴリー別の「最強種」を収録した

MMにはいろんなカテゴリーのモンスターが居たが、強すぎたり弱すぎたりして、使い勝手が悪かった。例えば、ヴァンパイアは2種類しか無いので、ここでは超低レベルでも遭遇できる雑魚ヴァンパイアから、既存のものを遥かに強化したヴァンパイアを収録してる。

他の種別でも同じことをした。

  • 人造種別の町を破壊するコロッサス

  • ウーズ(スライム)種別の破壊のブロッブ(Blob of Annihilation)

  • フェイ(妖精)種別のアーチハグ(上位種の魔女)

  • エレメンタル種別の無敵巨人

等、いろんなレベル帯やニーズを想定した新規データを大幅に収録した。



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