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雪の中房温泉その2

『中房温泉』(なかぶさおんせん)を目指してスパイクタイヤ を装着したブロンプトンで走行中だ。安曇追分駅をスタートしてから既に3時間、標高は既に1,400メートルを越えた。

ロードコンディションはさらにチャレンジングな状況となってきた。この坂は硬く凍結していたので大丈夫だったが、ブロンプトンのタイヤが新雪で滑ってどうしても登りきれない箇所も出てきた。そういう場合は押して登るのだが、その際、靴裏に新雪が付くと、その雪がペダルにも付着して凍りつき、踏み込みで滑るのには参った。

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中房温泉まで残り1キロ程度となったが、路面が完全に雪と氷で覆われた。走りにくい。車の轍のあとをたどってよろよろと進む。気温が低いのでブロンプトンがクリスマスの砂糖菓子のようになる。

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11時半、中房温泉に到着した。不思議なことにこのあたりに来ると、地上に殆ど雪が無いのだ。除雪したわけではないようだ。地熱で全てとけてしまうのであろうか。ちなみに中房温泉のすぐ裏手の焼山一帯は常に蒸気を噴出しており、卵や芋などを埋めると地熱でたちまち蒸しあがるらしい。

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宿のオジイサンが出てきたので日帰り湯をお願いした。すると「今日はお湯を全部落とす日で、いま、お湯をためておるのよ。ホントウは一時からなんじゃが。」 当方が困った顔をすると、「未だ半分しか湯がたまっておらんが。それでもよければ入るか?」

入ります入りますよろしくお願いします!

急いで浴場へ。登山者の立ち寄り湯では、別館にある大浴場と露天岩風呂の二箇所に入らせて頂ける。充分充分。宿泊者は本館にある御座の湯(ござのゆ)と大湯にも入れるようだ。

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内湯の大浴場だ。真ん中にある樋に湯を貯めて温度を下げてから湯を大量かけ流しとしている。心配された湯も七分程度たまっている。問題なし。

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あとから入ってきた若い登山者とあいさつ、どこからどうやって来たから話が始まり、暫く自転車談義をした。強い関心を持ってもらえたようだ。外気をいれようと窓をあけると、青空がまぶしい。

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次は露天岩風呂だ。真ん中にある石組みのタワーの上から高温の源泉を流して冷却している。中房温泉は源泉が豊富だが、源泉温度がいずれも90度以上と高いので、冷却に工夫が要るのだ。

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このように岩肌を伝わせて温度を下げる。冬場なので掛け流しする湯の量が多いのがとても素晴らしい。

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青空を見上げながらの雪見風呂は最高だ。やはり来てよかった。

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尚、中房温泉には利用していない源泉を含めて何と36の源泉があり、自家源泉数では日本一の温泉宿である。異なる源泉を利用した風呂がなんと十六箇所もあり、通常営業のシーズンであれば一つの宿で温泉めぐりを楽しめる。夏に宿泊で来て見たい。

中房温泉
日本アルプスの中腹、海抜1,462メートルの燕岳登山口にある中房温泉は、文政4年に開湯し、山深き谷あいの出で湯として名高く、昔からの湯治場の良き面影を残しながら現在に至ります。中房温泉は、周囲の大自然によくとけ込み、やわらかい泉質とともに信州の代表的な温泉として知られております。夏には遠く槍ヶ岳や穂高上高地へ行かれたり、有明山への日帰り登山や燕岳から餓鬼岳への登山を楽しまれる方も多く見られます。(公式ホームページより)


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