jewel《宝石》の瞳〜風街へ連れてって |#短篇小説
このnoteは、松本隆トリビュートアルバムからインスパイアされて創作しております。以下のnoteの続篇です。
よろしければご高覧下さい・・・😊
✥過去作
▶Femme
▶Male
Male et Femme
ある日の仕事帰り、君と再び会う瞬間が訪れた。
僕は東京から、関西の支社に打合せのために来ていた。
それは、まさしく、奇跡だった。
後ろから「後藤くん」と声を掛けられ、振り返ったとき、君の顔が僕の中でクローズアップに映り、胸がぎゅっと締め付けられた。
―――忘れようとして、忘れられなかった顔。
帰ろうとする人の流れに逆らうのもお構いなしに、僕は不器用に立ち竦んで、君と向かい合った・・・。
「・・・後藤くん、こっちでお仕事だったの?」
上目遣いに僕を見る君は、前より少し痩せていたけれど、全く雰囲気が変わらなかった。
食事のために対面して座っていると、すれ違いで喧嘩していた過去が、融けて失くなる気がした。
「2日ほど、出張で来てるんだよ」
「明日も居るの?」
「そう。・・・週末にかけてね」
本当に奇跡だった。土・日は実家に帰るつもりで、出張の段取りを組んだのだ。
「―――あの・・・」
ふたりはほぼ同時に口を開いた。
ちょっと泣きそうな顔をして、君は僕が話すのを促した。
「先にどうぞ・・」
僕は、勇気を振り絞って言った。
「この休みに・・・
また、ふたりで逢えるかな?」
君の身体が椅子からぐらりと揺れて、そのまま俯向いたので、表情が見えなくなった。
顔を上げたとき・・・その瞳が潤んで、きらきらと輝きを放っていた。
まるで、色の付いた、大ぶりのジュエルキャンディのように。
「逢えるわ・・・後藤くん。
逢いたいの・・・」
【fin】
✥松本隆トリビュート(3)
▶キャンディ/三浦大知
🌟Iam a little noter.🌟
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