青春の残滓

底抜けバケツのような抱擁だった
それでも不完全だった青色達は
油の切れたブランコを漕ぎ出して
飛び出してしまった

流した汗も 雨粒さえも
その温度が僕らを 置き去ってしまったの

忘れられぬ残酷な記憶が
僕らの明日に追い付かぬように
ただ盛夏 逃げるように走った
誰もいない場所 目掛け走った
そしたら何にも見えなくなって 
確かなものなどどこにも無くて
どこで掛け違えた愛だったか 
一人行き場無く熱に溺れた 夏だったか

行き止まり 立ち止まった 私をどうかして
助け出した 救い出した あなたをどうして
忘れてしまった 失ってしまった

君みたいな温度だった 28 度じゃ暑すぎた
ゼロカロリーの夏は 人工甘味料の味
思い出すの 存外チープな青色

今を失うことを恐れたら
誰もいない場所に辿り着いた
そしたら何にも見えなくなって
確かなものさえ消えてしまって
あの時の傘も こんな地球も
真っ直ぐにして仕舞えばよかった
感情が涙に解ける前に
この夏にさよならを告げるんだ

忘れられぬ残酷な記憶が
僕らの嘘を明かさないように
ただ残暑 逃げるように走った
誰もいない場所に辿り着いた
そしたら全てが綺麗に見えて
手を伸ばしても届かなくなって
それは幸せな悪夢だったか
夢だとすぐに気づいてしまった 夏だったか

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