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大学合格のための英語(1)文型(svc)

 初めまして。takukei です。大学受験英語の個人塾「琢啓塾(takukei-juku)」を主宰しています。

 現在はZOOMによるオンライン授業に移行しましたが、それを機に、ブログ(note)を立ち上げました。
 
 英語の成績が思うようにいかなくて悩んでいる受験生のために、英文が正確に読めるように、その基礎固めをしたいと考えています。英文読解の土台となるのは、文法・単語・イディオムです。ここではまず、「文法」と取り組んでみたいと思います。
 
 当初は、文法の何か1項目をトピックス的に取り上げて、1話完結型にするとスッキリしてよいかなと考えたのですが、それでは知識が飛び飛びになって、いつまで経っても英文を正確には読めないままになってしまいます。ブログを立ち上げた意味もなくなってしまいます。
 
 やはり、語学の習得には時間がかかるものです。ここは、腰を据えて、じっくりと体系的な文法解説にとりかかっていくことにします。長期間にわたる連載となります。

 高校2年生、3年生、高卒生が対象です。
 
 本題に入る前に、確認しておくことが3つあります。
(1) ひとつは「品詞」です。品詞は、もちろん知らない人はいないでしょうが、これから話す文法の体系化の結節点となりますので、念のため、簡単に触れておきます。文型に関わる品詞は以下の3つです。

 ①名詞 = 人、動物、物、事などの名称。
 ②形容詞 = 1. 名詞を修飾する。2. 補語になる。
 ③副詞 = 動詞、形容詞、副詞を修飾する。


(注)形容詞の後置修飾
形容詞が名詞を修飾する際、
1. 1語のときは名詞の前に置かれる。日本語と同じです。
2. 修飾語句を伴って長くなるとき(情報量が多いとき)は、名詞の後ろに置かれる。日本語と違うので、注意すること

This is a [useful] dictionary.  (useful は前から dictionaryを修飾)
「これは役に立つ辞書である」

This is a dictionary [useful for our studies]. (useful for our studies は後ろから dictionaryを修飾)
「これは私たちの研究に役に立つ辞書である」

(2) 次に本文で使用する記号(略号)です。
①品詞:
    名詞 → (n)、形容詞 → (adj)、副詞 → (adv)
②文型:
    主語 → (S)、動詞 → (V)、自動詞 → (Vi)、他動詞 → (Vt)
              目的語 → (O)、補語 → (C)
③その他:
    修飾語句 → (M)、動名詞・分詞・分詞構文 → (Ving)、
    過去分詞 → (Vpp)
 これ以外の記号を使用するときは、その都度説明します。

(3) 塾の目標はあくまでも合格ですから、当ブログ(note)では入試でねらわれやすいポイントに焦点を当てた構成になっています。したがって、問題は全て大学入試で実際に出題された過去問になります。

 それでは、本題に入りましょう。
 「読解」とは英文の構造を把握していくことです。「構造を把握する」とは、(1)文型をとること、(2)文を複雑にする要素である句や節の文中での役割を把握すること、です。ですから、ここでの文法解説は(1)文型、(2)句・節に関わる解説ということになります。 


Lesson 1 文型


 英語には日本語のように助詞がありませんので、語順が変わると変な英語になってしまいます。例えば、日本語では「彼は彼女カメラ買ってあげた」と言っても、「彼はカメラ彼女買ってあげた」と語順を変えても問題はありませんが、英語では “He bought a camera her.” はおかしな英語で、正しくは “He bought her a camera.” ですよね。
 
 つまり、英語は語順が大事なポイントで、その語順を文型と言い、どの参考書もこの文型から解説しています。当ブログ(note)も例外ではありません。
 
 英語には5つの文型(SV、SVC、SVO、SVOO、SVOC)がありますが、実は、これらは中心に位置する動詞(V)がとっている型なのです。

  そして、その動詞には、中学校で習ったように、be-動詞と一般動詞の2種類あって、be-動詞(「~である」という意味での)がとる文型がSVC、その他の文型は一般動詞によって形成されています。


[1] SVC

(例文)
* She is a high school student.
「彼女は高校生です」
* This cat is cute.
「この猫は可愛い」

【解説】
(1) 和訳は「SはCである」
 be-動詞には「存在する」という意味もありますが、この文型では状態を表す「~である」の意味のほうです。

(2) C(補語:complement)とは何ぞや、と問われたら、「主語の意味内容を補うもの」ということができますが、実は入試ではあまり役立ちません。むしろ、SVCは主にbe-動詞(「~である」という意味での)がとる文型ですから、補語とは「be-動詞の後に来る語句」と考えれば簡単で、かつ実践的です。

  ただし、そのとき肝心なことは、「語句」(C = 補語)の品詞で、名詞(n)か、形容詞(adj)になります。上記の例文では、a high school student = 名詞、cute = 形容詞ですね。

  ついでに、S(主語:subject)の品詞は名詞(n)です。

(3) この文型のbe-動詞は連結動詞と呼ばれ、[ S = C ]の関係を成立させています。これがSVCの最大の特徴と言われています。

 ですが、C=名詞(n)のときは、S(名詞)=C(名詞)[she = a high school student] で問題ないのですが、C=形容詞(adj)のときは、S(名詞)=C(形容詞)となってちょっとおかしいですよね。そこで、[this cat = cute]は意味上イコールと解釈するのが一般的です。

(4) SVCをとる動詞は、be-動詞以外にもあります。これらの動詞はほぼ決まっていますので、暗記しておいた方が便利です。そのうち重要なものを、例文といっしょに以下に記しておきます。

 * remain(~なままである)、keep(~なままである)
 * seem(~に思える)、look(~に見える)、appear(~に見える)
 * feel(~に感じる)、taste(~な味がする)
 * prove(~だと分かる)、turn out (~だと分かる) 
 * become(~になる)、get([短時間で]~になる)、
      go([悪い状態]になる)、come([結果的に]~になる)、etc.

    He remained silent.「彼は黙ったままだった」
 He looks pale. 「彼は顔色が悪い」←「彼は青ざめて見える」
 This cloth feels rough. 「この布はざらざらした感じがする」
 She proved a true friend. 「彼女が真の友人であると分かった」
 I got angry with the boy. 「私はその少年に対して怒った」
 He went mad. 「彼は気が狂った」
 My dream came true. 「私の夢は実現した」←「本当になった」

(5) 上記のbe-動詞以外の動詞は、be-動詞に置き換えても意味は通ります。例えば、She proved a true friend. を She was a true friend.と変えても、「彼女は真の友人だった」と意味は通ります。

 つまり、言い方を変えれば、proveはbeに意味を添加しているだけなのです。「---だった」+「分かった」→「---だと分かった」

(6) be-動詞は、目的語(O)をとりませんので、自動詞(Vi)です。


【大学入試問題】
(1)次の英文の太字の語句には誤りが1箇所あります。それを指摘しなさい。
Nowadays the price of tomatoes (1)is so (2)expensively (3)that my wife (4)rarely buys them.
(東邦大学)

(2)次の英文の空所に入れるのに最も適した語句を下から選びなさい。
After the car hit the boy, he (     ) unconscious for two days.
1. remained        2. remembered        3. removed         4. rescued
(入試センター試験)

(3)次の英文の太字の部分とほぼ同じ意味のものを下から選びなさい。
Jascha Heifetz was a concert violinist at the age of thirteen. Shirley Temple was a movie star at the age of five. Most of us are not so talented , or so lucky. Everyone has skills, but yours may not so obvious; may, in fact, go undetected.
1. You may, in fact, not have skills necessary for the career.
2. You may, in fact, not notice your hidden skills.
3. You may, in fact, neglect to make your skills better.
4. You may, in fact, make your skills unnoticed.
(関東学院大学)

(4)日本文の意味に合うよう、空所に入れるのに最も適した語句を下から選びなさい。
「誰も来ないので、彼女は散歩に出かけ、にわか雨に会い、びしょぬれになって帰ってきた」
As no one appeared, she went (  a  )(  b  )(  c  ), got caught in a shower and came (  d  )(  e  )(  f  ).
1. a walk       2. wet        3. out        4. to        5. home        6. for       7. all
(福岡大学)

【解答・解説】
(1)(答)(2)
ポイントは2点。① SVCなので expensively(adv)は不可。② 主語が priceのとき「値段が高い、低い」は high/lowを使用するので、expensiveは不可。

  expensive/cheapは主語が「物」のときに使用されます。expensive/cheapの意味にはもともと priceの意味が含まれているからです。「値段が高価な、安価な」

「近ごろトマトの値段があまりにも高いので、私の妻はトマトをめったに買わない」

(2)(答)1
空所の後ろの単語 unconscious「意識を失った」は形容詞(adj)なので、文型はSVC。選択肢中SVCを取る動詞は remainのみ。

「その少年は車にぶつかった後、2日間意識不明のままだった」

(3)(答)2
go + adj(C) には、① 解説(4)にあるとおり「[悪い状態に]なる」と、もうひとつ、②「状態の継続」を表す「~の状態である」の意味があり、本問は後者の意味。

 *undetected(adj)気づかれていない (← detect(vt)見つける)

「Jascha Heifetzは13歳の時、コンサートで演奏するバイオリン奏者であった。Shirley Templeは5歳の時、映画スターであった。私たちのほとんどはそれほど才能があるわけではないし、また幸運であるわけでもない。才能は誰にでもあるのだが、あなた方の才能は(彼らほど)表面に現れていないのかもしれない。実際、気づかれないままでいるのかもしれない」

(4)(答)As no one appeared, she went (out for a walk), got caught in a shower and came (home all wet).

太線部を解説します。

homeと allは副詞(adv)で修飾語句(M)ですので、これらを除くと、
(she) came wet.となり、came(vi) + wet(adj) ですからSVCになります。

 ですが、この comeは解説(4)の「~になる」の comeではなく、ふつうの「来る」。SVCの変種ですね。cameを be-動詞に置き換えて (she) was wet.「彼女は雨にぬれていた」+「(もどって)来た」→「彼女は雨にぬれて帰宅した」

 *home(adv) 家に  
 *all(adv) [形容詞、副詞、前置詞句などを強調して]まったく、すっかり
    *go out for a walk「散歩に出かける」

今日は以上です。お疲れさまでした。


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