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プレゼントすることの恐怖。されることの恐怖

私はお土産を買うのが好きだ。というより、相手がどういう反応をするか、喜んでくれるのかな?笑ってくれるのかな?という想像を膨らますのが好きだ。国内外出張の多い仕事をしているため、ほぼ毎週お土産を買っていると言っても過言ではない。

しかしプレゼントとなると別だ。それは2度の苦い経験があるからだ。

1.母にプレゼントを渡したら激高された話

当時高校生だったわたしは、妹と母への誕生日プレゼントを相談していた。妹は中学生だったため、高価なものは買えないが母が喜ぶものを真剣に選ぶつもりだった。

 ●過去の事件

母は外国人で、化粧っ気もなくブランド物も好まず質素倹約な生活を好む人だった。文化の違いなのか、ある事件が起きる前までも、自分が気に入らないプレゼントは散々文句を永遠という人だった。母は自分でプレゼントが欲しいとねだる人ではなかったが。

例えば小学4年生で父と妹とお金を出し合ってあげた、ジルコニアのイヤリングは「イヤリングしない」と言われ使われることはなかった。

そして小学6年生でも懲りずに、ベージュのパンプス(正直ダサいと思ったが、父のセンスを信じた)を贈ったところ、「こんな色のパンプスはいらない」と言われた。なおこのパンプスは20年弱経った今も新品のまま何故か眠っている。

こういった過去の経験があり、母がプレゼントに対して辛辣な感想を小学生の私たちに言ってくるのだから、いつも母の日と誕生日は頭が痛かった。

 ●激高された事件

事件があった高校生の時に話を戻す。母と妹と駅前のデパートへ寄った際、珍しく「ママこれを誕生日プレゼントに欲しいなー!かわいい」と言ってきたのだ。それはあるキャラクターのペットボトルホルダーで、1000円もしないものだった。私たちの財布事情を気にしての発言だったのだろう。

これで今年は文句を言われない!と思った私たちは後日デパートへ向かい、同商品を購入しようとしたが、あいにく色違いの商品しかなかったので仕方なくそれを購入した。これが間違いだったのである。

誕生日に自慢げに母にプレゼントを渡した。包みを開けた母の顔は次第に鬼になっていった。「わ た し が 欲 し い 色 じゃ な い!」私と妹がどんなに在庫がなかったか説明し、父も散々なだめたが母はますますヒートアップした。

「なんで買い物もできないの」「こんなものは要らない。一生使わない」「今から返品してくるからレシートを渡せ」今考えれば更年期だったのだろうが、ひどい言葉を投げて自室に閉じこもってしまった。私も妹も号泣し、父はドン引きし散々な誕生日会は終わった。

後日談だが、冷静になったのか母はその後プレゼントを使用していた。母の神経が分からず恐怖だったため、この日の話は20年弱経った今も家族で触れていない。

2.彼氏に財布を返品させられた話

20代前半で3年程付き合っていた彼氏がいた。溺愛されていたし、毎年の誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントは欠かせなかった。プレゼントに苦い思い出があったので、毎回欲しいプレゼントを聞き、回答してくれる彼はとても楽で安心感があった。

当時の私はブランド物思考だったため、高価なバッグや靴をねだり、彼も誕生日に若干価格帯をさげたブランド物を希望してきた。

付き合って3年目の誕生日、珍しく欲しいものを言わなかったので困ったが、彼の財布がくたびれていることに気付いた。よし、財布にしよう。

 ●誕生日前日

2歳上の彼は営業職だったため、身だしなみにいつも気を使っていた。好みは渋く、ゼニアのスーツや小物を身に着けていた。だからゼニアで何か買えば間違いないだろうと安直に考えた。

私の誕生日に高価な靴を頂いていたため、お返しとして同じ価格帯のものを考えた結果、財布を渡すことにした。店員のお姉さんと1時間程悩みながら決定した。「色が気に入らなさそうであれば、返品交換も可能ですよ」と言われた。不吉な予感は当たった。

 ●誕生日当日

地元のラグジュアリーホテルに宿泊していた。ルームサービスで誕生日ケーキを頼み、そのトローリーの下にプレゼントを置くよう手配しサプライズを実行した。サプライズ成功だと思っていた。

包みを開けた彼は顔色を変えずにこう言った。

「あ、上司が持ってる財布と一緒だ」

固まる私に慌てた彼が「すごくいい財布だと思う」「でも上司と同じものだと気が引ける」とフォローにもならない言葉を伝えてきた。しばらくして冷静になった私は返品交換も可能である旨を伝えたところ、「うん。そうしよう」と即答してきたのだ。

リサーチ不足のこちらにも非があるのか?しかし上司や同僚の使用している財布を送る側が確認するなんて聞いたことがない。

次の日に暗い顔で返品してもらう私と、ベルトに交換したウキウキの彼を前日の同じ店員さんが申し訳なさそうに対応してくれた。

彼なりのフォローなのか、その年のクリスマスプレゼントにはいつもより豪華な品物をくれた。わたしはその年何も渡さなかった。

3.プレゼントに対する恐怖

これらの経験から、プレゼントすることに神経質になってしまった私。プレゼントは値段ではなく気持ちが大切だと今でも思っているが、それでも毎度頭が痛くなる。

だからこそなのか、贈られるプレゼントに対し、どう喜びを表現すればいいのか分からない。私のようにトラウマを作ってしまわないよう、相手の顔色と空気を読み多少オーバーに喜びを表現するようにしている。

お祝いしてくれようとする気持ちが心から嬉しいし、それだけで十分なのに。

経験を重ねた今は、大事な人達(私の事も同様に大事にしてくれる人)には「経験」のプレゼントを贈るようにしている。旅行だったり体験だったり様々だが、時間を割いて一緒に過ごすひと時は何にも代えられない最高のプレゼントだという考えにたどり着いたからだ。


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