"Entrée" behind-the-scenes②TRUE/GLUE

“GLUE”とは、直訳すると「接着する」となり、”くっつける”という意味のスラングでもある。


―警察学校に通う”僕”は、久方ぶりの休みに、大学時代に通い詰めたクラブに羽を伸ばしていた。
 0時を過ぎ、フロア全体がトランスに包まれた頃、隅っこで1人テキーラを飲むブロンドの女性に気づいた。ミラーボールに反射した、見覚えのあるクロムハーツのネックレス。
二人は秒を待たずに恋に落ちた。"GLUE"は偶然にして必然さ。“僕”は、彼女が踊りながら流す涙の理由がなぜか100%理解できたんだ。なぜだろうね?
真実に、言葉はいらない。二人は、パノラマの桃源郷を夢見た。


Entréeのストーリーは、曲順の通りの時間軸ではなく、時系列がバラバラになっている。
しかし、大きく捉えるとストーリーの流れと曲順はリンクしている。
2曲目であるTRUE/GLUEは、物語の導入部。

音楽的には、TUXEDOに大きく影響を受けた。フィリーソウルとヒップホップのビートが混ざった時、懐かしくも新しい魔法がかかることを彼らは教えてくれた。それと、ソロ以降のジョージ・マイケルへの想いを込めて。

僕は、直接的に言ってしまうのなら、ナード気質である。
スクールカーストのどこにも属していなかったように思える。
だからなのか、そうなのかは分からないが、自分の内面と闘う骨太で由緒正しいリアルなロックをやらなければならない、という一種の強迫観念のようなものに支配されていた。
本当は、ポップスやソウルを聴いた時、しっくりくるなあ…なんて思っていたのに。

僕にとって音楽は、闘うための媒介ではなく、最上級のコミュニケーションツールであり、自分のいま現在の思考の確認方法でもある。
名ドラマ「泣くな、はらちゃん」のテーマソングのように。

僕の体内から、初めて封印していたソウルが流れ出てきた。初々しい。人生で初めて作ったあの曲のように、新鮮さがあった。
僕は、自分自身をどれだけ勝手に抑圧しているのだろう?
本当は何が言いたいんだろう?
“本当に言いたい”ことって、”本当の自分”が考えていること?
かりそめの自分が、本当の自分を侵食しきってしまう前に、僕はこの曲を書けたのかもしれない。

奇跡はきっと起こる。”偶然”を”偶然”だって決めているのは、いつだって自分自身だ。
泣きながら踊ったら、きっともっと世界が瑞々しく光るよ。
下手っぴでもいいよ、こっちにおいで。一緒に踊ろう。

2018年、ビクターよりメジャーデビュー。シンガーソングライター/トラックメイカー。愛猫カールをこよなく愛す。ベイスターズと北欧料理に励まされるピアノマン。◆新曲「三角形のミュージック」MV→https://youtu.be/hKb500zLQCE