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ポーカーの知らないゲームを攻略する

ミックスゲームをやっていると、勉強したことないゲームをプレイする機会があります。僕が知らないゲームをやる時に注意している点を言語化してみました。NLHだけプレイする人にとっても読みやすい内容に注意しました。

基本哲学

すべてのポーカーの原則はチップを増やすことだと考えています。また、チップを増やすためには自分が勝っている時に利益を最大化し、負けている時に被害を最小化することが求められます。しかし、ポーカーにおいて確実に勝つことは殆どなく、勝つ可能性のある時(またはベットするとフォールドさせられる可能性がある時に)に大きく掛け、負ける可能性のある場合に消極的(フォールドまたは必要に応じてコール)になるべきです。さらに言うと、ビックベットゲームでは利益を追求しすぎると相手にフォールドされすぎ、被害を最小化しすぎようとするとフォールドさせられすぎるというバランスが難しいゲームです。

このゲームにおいてチップを賭けるタイミングは二つでベット/レイズとコールです。ベット/レイズは相手のコール(以上の)レンジに対して50%以上エクイティ(タイを含む現状の勝率)がある時に行います。例えばトップヒットを持っている時にセカンドヒットやボトムヒットに対しては十分にエクイティがあり、ベットに対してコールされることで利益を得られます。またはチップを掛けた時に相手をフォールドさせられる可能性のある時にベット/レイズをします。例えば、ポットの半分のベットをした場合に3回に1回以上の割合でフォールドさせられると考えている場合、ベットすることで利益が得られます。

一方、コールは相手のベットレンジに対して必要勝率が十分な時にします。具体的には、それ以上アクションが起きない場合にエクイティが20%しかなくても、相手のベットが33%以下のベットであればコールする必要があります。

これらの哲学はベットサイズが異なるゲームにおいても同じです。よって、正確に判断するためにエクイティの理解とプレイアビリティの理解が重要と考えています。EVの理解やバリューブラフのバランス、レンジやハンドセレクションも大事ですが、これらはエクイティやプレイアビリティが分からないと感覚が掴めないので優先度が下がると考えます。

ストリートによるエクイティの変化

ここでのエクイティはタイを含む現状の勝率を指すことにします。エクイティは各ストリートで変化し、例えばNLHではプリフロップでAAを持ってたとしても全てのハンドに対して80%程度のエクイティしか無く、フロップのコミュニティカードによって0%から100%まで大きな変化をし、ターンとリバーでそれぞれ小さな変化をします。ゲームの種類によってエクイティがどの様に変化するかを理解することがゲーム攻略にとって大事だとわかります。

エクイティの計算

エクイティの近似解はアウツを計算することで概ね計算することができます。アウツとは勝利するのに必要なカードの枚数の事を指します。また、補数の法則を利用し、対戦相手のエクイティを計算して100%から引く事で自分のエクイティを計算することもできます。

ホールデムだと2x-4xの法則がありアウツに対してフロップからの残りコミュニティカード1枚ごとに2をかけ算して近似する方法があります。ただしこれはデッキの残数が限定されたホールデム専用の近似方法です。具体的な例を出すと、2-7TDのラストドローで相手は98Loから86Loであると確信している時に2345xを持っている場合、789の捲り目があり相手が平均2枚持っていて3枚はデッドカードだとすると7枚ほどアウツがある計算になります。お互いに2枚1枚で捨ててサードでパットされた時、観測されたカードの枚数は16枚なので、36枚(52-16)から7枚を引くので19.4%(7/36)となります。観測されたカードの枚数によって1枚あたりの確率が高くなってるのがわかります。また複雑な計算が必要な場合は、計算機を使ってシチュエーションごとにざっくりと暗記するしかないと考えています。例えば2-7に於いてJLoは1枚交換に対して50%、2枚交換には25%などです。

ポットオッズとインプライドオッズ

エクイティの計算ができるとポットオッズから取るべきアクションが見えてきます。ポットオッズとは支払うチップに対して得られるチップの倍率を指します。また倍率からコールすることが正当化される最低限必要なエクイティを計算することができます。例えば3bigのポットに対して1bigのベットがされると1bigを支払って5bigを取りに行く事になるので、ポットオッズは5倍で、5回に一度でも勝てれば期待値がプラスになるので最低限必要なエクイティは20%になります。先ほどの2-7の例で言うとエクイティが19.4%なのでポットオッズが5倍強以上あればコール以上することが正当化されます。更に言うとリレイズが返ってきてもポットオッズが十分に確保できる場合は、フォールドやチェンジさせられる可能性があるのであればレイズも可能と言うことが分かります。

さらに大事なのは、スタックサイズが小さい場合にインプライドオッズを計算することです。インプライドオッズとは将来的なアクションを見越した期待値のことです。例えば、ブラインドがあるFLゲームでBTNがレイズした時にBBで2bigしかない場合、パッシブにコールした場合でもセカンドベットでオールイン状態になることが予想されます。つまり、これをコールした場合は2bigを賭けて5.25bigを取りに行く事になり、ポットオッズが2.6倍で38%のエクイティが最低限必要です。つまり、インプライドオッズに対しての期待値を判断するにはプリドローでのエクイティを理解する必要があるわけです。

プレイアビリティとHi-Loゲームの鉄の公理

勉強していくと分かってくるのですが、実はHi-Loゲームには鉄の公理があります。それはエクイティが強固になりやすいハンドを優先的に含めることでプレイアビリティが高くなるというものです。具体的な例を見ていきます。例えば、BadeuceyではBadugiを完成させてから2-7は完成できるけど、2-7を完成させるとBadugiを完成できなくなります。崩して引き直す事はできるけどアウツが少なく非常に難しいです。言い換えると、Badugiを完成した場合に対戦相手より強い2-7が完成するまでフリーロールになるということです。以下で他の具体例を見ていきます。Stud Hi-Loの4thストリートで、自分が[AK]-KTを持っていて対戦相手がxx-35を持っている場合、一見Kペアが強固に見えるのですが、5thで相手にAが落ちた場合、AのペアかLoのみか判断できなくなってしまいます。つまりStud Hi-LoはLo側のレンジの方がプレイアビリティが高いと言えます。さらに言うとAのペアが無い場合はLoを完成している可能性が高く、Aが落ちるかつ相手に2ペア以上ができない場合に常にフリーロールになってしまします。これはBadeuceyと同様にエクイティが強固になったLo側のプレイアビリティがあるためです。同様に考えるとドラマハはどの様にプレイするべきかなど見えてくると思います。

スキルエッジの理解

ポーカーはスキルエッジが大きいほど利益を得られると考えています。特に対戦相手がそのゲームにおいて熟練度が低い場合にはスキルエッジの差を見つけ出すことが特に重要になります。ここで言うスキルエッジとは、自分と相手の知識やミスの差を指します。例えば相手がポットオッズやエクイティを知らない場合に最低限必要なエクイティよりもコールしすぎる場合、そのエクイティと実際にコールしたエクイティの差が利益となります。

そこで、ミスを次の4つに分類します。

  1. 自分も相手もするミス

  2. 自分も相手もしないミス

  3. 自分はしないが相手がするミス

  4. 自分がして相手がしないミス

スキルエッジは3と4の差のことを呼び、自分のミスを発見→自分のミスを最小化→相手のミスを発見→相手のミスを最大化、と繰り返すことでスキルエッジを大きくできます。発見できないミスは修正することができません。つまり、ポーカーは自分または相手のミスの発見が特に大事になってくるゲームとも言えます。

ミスを減らすだけではなく自分の知らない知識を増やすことも効果的です。詳しくはメンタルゲームA-Game Pokerを読んでください。

まとめ

本記事では自分なりのポーカー理論をまとめました。これらの基本的な理論はどのゲームでも一緒で、エクイティの理解が最も重要ということを示しました。また、ミスを発見して修正することでスキルエッジを大きくし、利益を最大化することも紹介しました。本当はもっといろんなことを書きたいですが、これ以上長くすると誰も読まなくなるのでこのくらいにしておきます。

本記事に書いていることがすべて正しいわけではないと思ってるので、ここも重要だよ!とかこういう視点でポーカーやってるよ!みたいな人は X やリアルワールドで声を掛けてくれるととても嬉しいです。

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