遠野のホップが結う移住者と地元の人の新しい関係 #005佐々木教彦 #006葛巻静栄
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遠野のホップが結う移住者と地元の人の新しい関係 #005佐々木教彦 #006葛巻静栄

佐々木教彦
Sasaki Norihiko
遠野ふるさと公社営業販売部部長

プロフィール
遠野市出身。盛岡のいわて生活協同組合で鮮魚担当業務に携わる。遠野へ戻った後は、キクコーストアでも鮮魚担当。2003年、観光の仕事に興味を持ち、一般社団法人遠野ふるさと公社へ。伝承園、道の駅 遠野風の丘の業務に携わった後、2011年に盛岡結いの市の店長に。2015年から販売促進部に異動となり、TKプロジェクトに携わる。遠野市在住歴47年。

葛巻静栄
Kuzumaki Shizue
遠野ふるさと公社営業販売部次長

プロフィール
遠野市出身。佐々木教彦とは高校の同級生。遠野を離れて東京で仕事をした後、結婚を機に遠野へ戻る。アルバイトから一般社団法人遠野ふるさと公社に関わり、伝承園、遠野ふるさと村の業務を担当。2014年に道の駅 遠野風の丘の販売促進部に異動し、TKプロジェクトに携わる。遠野市在住歴45年(通算)

遠野市の中心部から西に向かい、花巻へと抜ける猿ヶ石川。そして、猿ヶ石川に並行して走る釜石線。それらを見下ろす小高い丘の上に、道の駅 遠野風の丘はあります。

道の駅 遠野風の丘は、車で訪れる人たちにとっての遠野の玄関口。地元産品を販売したり、レストランで遠野の食材を使った料理を提供したりと、遠野の魅力を発信する拠点となっています。

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運営しているのは遠野ふるさと公社。かつての遠野の生活様式を再現した伝承園や、山里の暮らしを体験できる遠野ふるさと村なども運営しており、遠野の観光や物産の振興に力を入れている一般社団法人です。

その営業販売部に勤務する佐々木教彦と葛巻静栄は、2人ともビールの里プロジェクトに関わるキーパーソン。実は2人は高校時代の同級生なのです。

「遠野の観光に関わる仕事がしたいと思って、遠野ふるさと公社に入ったんです。伝承園の担当になって仕事をしていたら、葛巻さんが入ってきて。久しぶりの再会でした」

その後、2人とも別の部署に異動になりますが、数年後、また同じ部署になりビールの里プロジェクトに関わっていくことになります。

「結い」が人と人をつなげていく

佐々木は2011年から、盛岡のイオン内で勤務していました。遠野の産直テナント「結いの市」をイオン内に出店することになり、遠野風の丘で青果を担当していた佐々木が店長を任されることになったのです。

結いの市で販売していたのは、遠野市の結いの市生産者直売組合に所属する生産者の野菜など。しかし、遠野から盛岡までの運送費や結いの市での従業員人件費がかかってしまうこともあり、結いの市の収支は厳しいものでした。

結いの市はやめたほうがいい。そんな声が出てきた頃、結いの市生産者直売組合に入ってきたのが吉田敦史。そこで佐々木と吉田は初めて出会うことになります。結いの市生産者直売組合は比較的新しい組合だったため、吉田も含め、若い生産者が多く所属していました。

「そこで、結いの市をただ遠野の生産物を売る場所にするのではなく、若い生産者たちの実験の場、成長の場としたらどうかと。組合長を吉田君にして、幹部も若い生産者にする。それを、当時の組合員の方々に頭を下げてお願いしたんです」

吉田を組合長とした体制で、結いの市は2020年2月まで継続。現在はイオンから撤退してしまいましたが、遠野の情報発信の場としても機能していました。

その後、佐々木は販売促進部に異動。そこからTKプロジェクトとの関わりが始まることになります。

とはいえ、当時の佐々木はTKプロジェクトが何なのかもわからない。そんな状態で初めて出席した会議に、キリンの本社からもCSV担当の社員も出席していました。

「CSVなんて言われても意味がわからないんですよ。会議の内容も覚えてないですし、『何言ってるんだ、この都会の人は』って思ってましたね(笑)」

その社員こそが浅井隆平なのですが、その会議の後の懇親会で2人は意気投合することに。2人とも岩手県出身という話から、ホップを使った新商品のアイディアにまで広がり、熱く語り続けていました。

何も感動する話じゃないのに、なぜか2人で涙流しながら話していて

そうやって徐々にプレーヤーが揃い、お互いにつながり、2015年の遠野ホップ収穫祭を開催するに至るのです。

一方、葛巻は遠野を出て東京で仕事をしている時期があり、結婚を機に遠野へ戻ってきました。その後、アルバイトで遠野ふるさと公社に関わり、社員として伝承園担当になった際に佐々木と再会することになります。そんな葛巻もサポートに加え、2015年の第1回遠野ホップ収穫祭開催へと動いていきました。

しかし、準備までの期間は短く、これだけのイベント運営に慣れた人がいるわけでもありませんでした。当時の実行委員は、佐々木、浅井、吉田、菅原を含めた8名のみ。浅井が考えていることは実現させたいと思っているものの、佐々木が想像していた以上に大きいイベントになっていく。イベントの宣伝もできていない。はたして、お客さんは来てくれるのだろうか。日を追うごとに不安が増幅し、みんなピリピリしていきました。

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そして迎えたホップ収穫祭当日。準備不足は否めませんが、会場に立つテントや訪れるお客さんを、佐々木たちは感慨深く見ていました。結果的に、収支などの面では納得のいく結果にはならなかったものの、これがビールの里へと舵を切る転換点だったのかもしれません。

ビールの里だからこそできたホップソーセージ

TKプロジェクトからは、ビールの里を象徴するかのような商品も生まれています。それが、葛巻が担当している「国産ホップの若芽入りソーセージ」

ホップの里というだけでは、もしかしたらここまでの発想はなかったかもしれません。ビールに合うおつまみとして、ホップを使ったソーセージはぴったり。

このソーセージは、ホップの若芽を摘み取って刻んだものを材料として使用。実はホップの若芽は入手が難しく、大量生産することはできません。葛巻たちは、隣町や秋田にまで若芽を摘みに行ったことも。

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そこで、国産ホップの若芽入りソーセージだけではなく、ホップのペレットとレモングラスを使用したソーセージも開発。葛巻たちの努力の甲斐あって、いまではともに遠野市のふるさと納税の返礼品にも採用されています。

遠野のキラキラを取り戻すために

佐々木と葛巻にとっては、TKプロジェクトに関わるまで、ホップは遠野でいくつも栽培されている農作物のひとつにすぎませんでした。それが今は特別なものに変わってきています。

「生産者の人たちがキラキラしているんですよ。日本一のホップがあるという誇り。生産者はキラキラを取り戻したので、あとは市民だと思っています。遠野はホップと民話の街だということを、自信を持って言えるような街にしたい

「ホップがもっと増えて、遠野がホップの緑でいっぱいになるといいですね。ソーセージだけでなく、ホップ関連商品をもっと増やしたいと思っています」

その上で、2人は口を揃えてこう言います。「遠野に移住してくれる人が増えてすごく嬉しい」と。

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「このプロジェクトに関わっていなかったら、移住者に『遠野の寒さに耐えられるかな』としか思わなかったかもしれないけど、今は『遠野に来てくれてありがとうございます!』と言いたいですね。遠野のために、自分たちができないことをしてくれるので、本当にありがたい」

ビールの里へと動いていく遠野では、移住者も大きな役割を果たしています。その移住者が安心して生活できるのは、佐々木や葛巻のような地元の人たちの支えがあってこそなのかもしれません。

ホップの里からビールの里へ VISION BOOK


富江弘幸
https://twitter.com/hiroyukitomie

企画
株式会社BrewGood
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